【インタビュー】THE BEAT GARDEN、現体制最後のアルバムに託す意志「ずっと歌い繋いでいく」

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5月15日の広島公演を皮切りに、ワンマンライブツアー<Afterglow>を開催中のTHE BEAT GARDEN。感染対策を徹底した上で行われている2年ぶりのツアーは全会場SOLD OUTとなっており、彼らの音楽を待ちわびてきた"Beemer"(ファンの呼称)の思いと、最新にして最高の新曲を携えてきたメンバーの思いが重なり合い、これまで以上に愛と絆を深めるライブが展開されているようだ。ツアーファイナル直前となる8月4日には、前作から2年5ヶ月ぶりとなるアルバム『余光』もリリース。残念ながらDJ SATORUが今作をもってグループを卒業するため現体制では最後のツアー/作品になるが、相変わらず仲のいい、そしてチームワーク抜群の4人に、近況も含め楽曲にまつわる話をじっくりと聞いた。

◆THE BEAT GARDEN 撮り下ろし写真

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■恋愛だけじゃ収まらない“遠距離”

──現在、<The Beat Garden one man live tour 2021「Afterglow」>が開催されています。ファンである"Beemer"の皆さんが目の前にいるライブはどうですか?

U:この状況なのに全公演SOLD OUTになったのはすごくありがたいなと思っています。嬉しいという気持ちと感謝が、各会場で爆発している感じですね。

SATORU:それぞれの公演がファイナルだという気持ちで、感謝の気持ちを込めながらやらせてもらっています。

MASATO:会いたくても会えない期間、SNSの言葉だけでずっと繋がってくれていたじゃないですか。正直、弱気になってた部分があったんですよ。ライブが始まったら、本当にみんなまた会いにきてくれるのかなって。でもいざツアーが始まったら、いろんな覚悟を決めて来てくれた。そういうみんなの姿や、ルールを守ってライブを楽しんでくれている姿を見ると、やっぱり見えないものを信じていて良かったなというか、改めてBeemerってすごいなと思いました。

REI:何をしていてももどかしくて、焦りだけが募っていくみたいな期間があって。でもその中でも、Beemerがいてくれたから頑張れたっていう感覚はすごくありました。今こうしてやっと会える環境になって、実際に目の前にいてくれて、ライブができている。言葉は直接交わせないけど、言葉以上の熱量でみんなが気持ちを返してくれるっていう関係性は本当に幸せだなと思っています。

▲REI

──すでに新曲も披露されているそうですね。

REI:はい。今回のツアーは前期・中期・後期に分かれているんですが、中期からやってます。まさか新しいアルバムの曲を生で聴けると思ってなかったって、みんなすごく喜んでくれてます。

U:もう全曲やってるんですよ。

SATORU:サービス精神旺盛なグループですから(笑)。

──さすが、出し惜しみしませんね(笑)。ではそのニューアルバム『余光』について伺っていきたいのですが、制作段階ではやはりコロナ禍という影響も大きかったですか?

U:そうですね。結構早い段階でこれはもう集まれなくなるなとチーム的に感じていたので、1日1時間でもいいから4人でテレビ電話をしようって決めて、曲の話をしたりしなかったりしながら(笑)、いろいろ作ってました。曲をたくさん作れるっていうのは、ひとつ前向きな要素ではありましたね。でも歌詞を書くにあたっては、もちろん今の気持ちを書きたいというのがありましたけど、今後ライブが本当に開催できるのかもわからない状況になっていったから、すごくポジティブなことを書けるかと言ったら正直難しかった部分もあったんですよ。制作をしていることも、サプライズにしたかったからSNSで言えなかったし。だけどそのサプライズもどうなんだろうみたいなもどかしさとか苦しさもありましたよね。SATORUの卒業のことも、1年近く言えなかったし。みんなに会えない時間も積み重なっていましたから、後半はわりと苦しかったよね。

MASATO:うん、そうですね。

▲『余光』初回限定盤

U:今回「遠距離恋愛」という曲が収録されているんですけど、最初は本当に遠距離恋愛をする2人のことを俯瞰して小説みたいに書いていたんです。でも、そうはいかなくなりましたよね。メンバーに会えないし、Beemerにも会えない。だから今ライブでは特に、すごく素直な気持ちで歌っている1曲でもあります。

REI:まさに、恋愛だけじゃ収まらないなというのはありましたね。僕らとBeemerもそうだし、この状況下だからこそいろんな人たちに当てはまっていくだろうなって思いました。やっぱり歌っていても違うんですよ、この曲って。もちろん遠距離恋愛のことを歌っているんだけど、それ以上のもので通じ合えているような感覚が肌感としてあるというか。リハーサルしていても、すごく熱が入るんです。今後も大切に歌っていきたいし、歌っていける曲になったんじゃないかなと思います。

SATORU:この曲、ライブでは一緒に口ずさんでくれてる人もいるし、歌っている姿を目に焼き付けてくれているような人もいるんですよ。それぞれが熱い気持ちを持って向き合ってくれているなっていうのは、見ていてもすごく伝わってきますね。

──「遠距離恋愛」の歌詞は女性からの視点になっていますが、初めての試みだとか。

U:そうなんですが、とても書きやすかったです。僕はもともと女々しいというか、情けないなぁみたいに思う歌詞を書くことが多かったんですけど(笑)、女性目線で書くとなると、女性だから「女々しい」って表現が当てはまらなくなるじゃないですか。だから逆に、この曲はいつも通り遠慮なく書けた感じがありましたね。

──なるほど、そういうことだったんですね。この曲は例えばその後の2人とか、逆に男性目線でとか、いろんな広げ方をしても面白いんじゃないかなと思いました。

REI:本当ですね。その後とか確かに面白そう。

U:うん、うん。この曲は今TikTokでも使えるようになっているんですが、「遠距離恋愛」っていうストレートなタイトルだからか、僕らを知らなかったっていう人もたくさん使ってくれているんですよ。楽曲としてちゃんと届いているんだなという手応えも感じているのでさらに届けていきたいなと思うし、だからこそ、そうやって広げていくのもアリだなって思いました。

──一方「マリッジソング」は、THE BEAT GARDENのラブソングとしては珍しく好きな人に対して直球ですよね。歌詞の最後に「!」がいっぱい並んでるくらいの勢いを感じました(笑)。

U:さっきの女性目線っていうのもそうだけど、この「マリッジソング」はドラマ『社内マリッジハニー』のエンディング主題歌になっているので、作品の力を借りて書けたっていうのも大きいと思います。気持ちとして「!」っていうのはまさにそうですよね。それくらい遠慮せず、勢いよく「大好き!」ってことを伝えています。《幸せも病める時も きみのずっと側にいたい》という歌詞があるんですが、Beemerのみんなもそうだと思うけど、僕ら自身もその気持ちは募っていたから、ある意味ただの書き下ろしではなかったなとも思うんですよね。会えない時も側にいたいんだよっていう、僕らの気持ちもちゃんと込めることができました。

──「好きな人がいる人を好きになった」や「夏の終わり 友達の終わり」、「Snow White Girl」みたいに、届きそうで届かない、もどかしいみたいなシチュエーションはTHE BEAT GARDEN節かなと思います。

REI:そうですね。「好きな人がいる人を好きになった」はUさんと落合渉さんとの共作になっているんですけど、4人だけだったらきっとこういうタイトルじゃなかった気がします。いい意味で、すごくストレート。頭サビのところなんかも含めて、今までとは違う新鮮さがあるなと思いました。歌詞は結構毒づいていたりして、歌詞をちゃんと見てもらった後、つまりリリース後のライブでの反応が楽しみな1曲でもあるかなと思いました。

U:渉ちゃんとはすごく仲がいいんですけど、今回初めて彼と一緒に歌詞を書きました。どこの部分が僕でどこが渉ちゃんとは明かしていないので、どれだけ毒づいても自分のせいにされないっていうメリットはありましたよね(笑)。共作っていいなって思いました(笑)。楽しかったですよ、すごく。

──「マリッジソング」で作品の力を借りたという話もそうですが、自分が書いてるんだけど匿名性があるというのは面白いですよね。使える言葉や表現とかも広がりそうですし。

U:そうなんですよね。1曲1曲、いい意味でこれまでの曲と違いや表現の幅も出てきたんじゃないかなと思います。

▲U

──「Everglow」は、今のこの状況下での気持ちがダイレクトに反映している1曲のようですね。

U:はい。この曲はコロナ禍のこともそうだし、4人のこれからのメッセージも込めた曲。MVも撮影する予定なんですが、僕らが言いたかったことがより伝わるものになると思っています。

SATORU:個人的には、最後の《叫び合おうか 鳴り止まなかった 愛を 想いを》っていう歌詞がすごく好きで。今はまだ声を出せない状況だけど、この歌詞のような未来は絶対に近い将来やって来るから、その時を心待ちにしているんです。改めて、ライブで聴こえていたあの「声」って大切だったんだなって思った1曲でもありました。


U:もちろんいろんな制限がある中での話ですけど、リリースのタイミングなどで「あのグループもイベントを再開したらしいよ」なんて話を聞くと、正直すごく悔しいなって思いもあったんですよ。SNSとかもそうだけど、握手会とか、そういう身近に感じてもらえるような機会を僕らは大事にしてきたし、そういう雰囲気を愛してもらっている感じもあったから。それでも今こうしてライブが始まると、みんながちゃんと僕らのところに帰ってきてくれたわけで、それが本当に嬉しいんですよね。「やっと会えた」っていうこの状況や気持ちともリンクする曲だと思うからすごくライブ映えもするし、SATORUも言ったように、ライブで一緒に歌える未来が早く来るといいなと思いますね。

──「Morning Glory」や「スタートボタン」のように背中を押してくれるようなタイプの曲も、ライブで聴きたい気持ちがグッと高まります。

U:そうですね。声は出せないけど、Beemerっていう仲間がいるその空間の一体感っていうのはいつも以上にある気がします。

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