【ライブレポート】ゴールデンボンバーが今日も金色に輝く理由(ワケ)
ゴールデンボンバーのライブはいつも予測不可能だ。ツアーファイナルが終わるまでネタバレ厳禁という約束があるため、内容を想像して待つ時間も楽しみのひとつといえる。
◆ライブ画像(全12枚)
世界中の人々が、新型コロナウイルス感染症という未曾有の事態に直面した2020年以降、ゴールデンボンバーとしてのワンマンライブを配信で観るのは、今回で3回目。過去2回、それぞれに時代を反映したメッセージがあった。
1回目は2020年8月に開催された初の有料無観客ライブ<ゴールデンボンバー有料無観客ライブ「去年の無人島より100倍マシ 〜電気があるって素晴らしい〜」>。緊急事態宣言だの、外出自粛だの、そこら中に暗い雰囲気が漂っていたなかで、彼らは「元気づけるためのライブ」を観せてくれた。
2回目は2020年10月に開催された<ゴールデンボンバー全国縦断無観客ライブ「エアーツアー」3days>。長距離移動が困難な状況を逆手に取り、北海道、大阪、沖縄を巡るツアーという設定のもと、ご当地名物を食べたりトークパートを多く設けたりして、「メンバーが元気であること」を知らせてくれた。
そして3回目が、2020年から2021年に延期になったものの、待望の有観客形式で開催された<ゴールデンボンバー全国ツアー2021「楽器を弾いたらサヨウナラ」>。何がどのようにサヨウナラするのか想像ができず、期待を胸に膨らませつつも、「一体どんなメッセージが……」と少しだけ構えながら、ツアーファイナルとなった7月25日の神奈川・ぴあアリーナMM公演の配信を観た。
まずは、ライブの内容についてざっくりと説明したい。
生演奏を極端に毛嫌いする鬼龍院翔は、メンバーが生演奏に興味を持たないように、日々手を尽くしている。鬼の形相で生演奏を禁じる鬼龍院に恐れをなし、歌広場淳はベースの弦をタコ糸に、樽美酒研二は演奏に必須のスネアとバスドラムをドラムセットから除外することで、機嫌をとっていた。
しかし、実は喜矢武豊はギターを弾くことが大好き。「大勢の人の前で生演奏がしたい」という思いが常にあるせいで鬼龍院の格好の餌食となってしまい、ギターの弦を切られたり、「(弦の代わりに)首の毛でも張っとけ!」と罵倒されたり、生番組の配信中に音源に合わせて指を動かしたことで顔面に水をぶっかけられたりと、辛い日々を送っていた。禁止されたことをやりたくなってしまうのは人の常。喜矢武の生演奏欲が限界に達した状態で、ライブがスタートする。
なぜ生演奏をさせたくないのか? それが今回のメッセージへと繋がるカギだ。
1曲目、本ツアーの主題歌「THE ガマン」から「暴れ曲」、「抱きしめてシュヴァルツ」でのギターソロ(鯛役を演じる)&ドラムソロ(腹筋太鼓をする)と、いつもどおり進んでいくライブ本編。「絶対に被ってはいけない熱々ローションパーティゲーム」の模様を収めた中間動画、演劇、サブステージでのパフォーマンス。そこに時折挟み込まれる、鬼龍院が見せる生演奏への嫌悪感。
ライブ後半で、「ボルダリングで東京オリンピックに出たい!」と宣言した喜矢武は、「Dance My Generation」のギターソロで段ボール製のボルダリングセット=段ボールダリングに挑戦して失敗した。そのため、アンコール1曲目「ホテルラブ」のギターソロでは種目を変えてシンクロナイズドスイミングに挑戦したのだが、これが原因となり事件が起こった。続く「女々しくて」でどうにも我慢できなくなった喜矢武はついにギターソロを弾く。が、次の瞬間、シンクロによりずぶ濡れになった喜矢武は電気の通ったギターにより感電し、火花が散り舞台は暗転。スタッフを呼ぶ声、救急車のサイレンが響いた。
スクリーンには、ベッドに横たわる喜矢武とそれを取り囲むメンバーの姿。医師によると、濡れた身体のままギターを弾いたことで電流が流れ、植物人間状態になってしまったという。すると、鬼龍院が語り出した。
昔、生演奏でパフォーマンスするバンドを組んでいた鬼龍院は、きちんとした楽器を使って雨の日に演奏をしたせいでギターとベースを感電で亡くし、ドラムスティックが突き刺さったせいでドラムを亡くした。そのため、新しくバンドを組んだメンバーには生演奏をさせたくなかったと告白。喜矢武の演奏を阻止できなかった自分を責めて泣いていると、喜矢武の頬に鬼龍院の涙が落ち、喜矢武が目を覚ました。直撃したと思われた電流だったが、床まで伸びた喜矢武の首の毛がアースの役割を果たして電流を逃したため奇跡的に命拾いしたのである。最後には喜矢武が渾身の生ギターソロを「女々しくて」で披露し、大団円を迎えた。
結局長くなってしまったが、これが大まかな内容だ。一番の謎として描かれていた、鬼龍院が生演奏をさせたくなかった理由は、「メンバーを失いたくなかったから」だった。
ライブの締めくくりに鬼龍院から「生きてりゃいろんなことがある。嫌なこともあるでしょう。そんなときに、絶対にゴールデンボンバーがいるから。だから、嫌なことがあっても、また僕らと会えるライブを想像してください。用意します。約束です。そのためにはまず僕らが元気でいることと、みんなもライブにこれる程度の元気をとっといてください」という発言が出た。この言葉からもわかるように、今回のライブには鬼龍院、喜矢武、歌広場、樽美酒がいるゴールデンボンバーを絶対に守るという強いメッセージが込められていたと思う。メンバーとファンが同じ空間にいるなかでの約束は特別で、「また必ず会えます!」の言葉が嬉しかったし、鬼龍院のリーダーとしての決意を強く感じた。
また、緊急事態宣言による数々のイベントの延期・中止で焦燥感に苛まれていた鬼龍院が、「極力人に会わないことを前提として、自分の将来の為に、意味のある時間の使い方をしたい」と思い立ったことをきっかけにダイビングの講習を受け、新曲「おさかな地獄」ができたというエピソードにも感銘を受けた。外出もままならない日々が続くが、それに悲観してダラダラと過ごすのではなく、プラスの方向に向けて行動ができるのは素晴らしいことだ。
誰かの生き甲斐であり続けるため、音楽だけに限らず、4人それぞれが得意な分野で輝くゴールデンボンバーは魅力的なバンドだ。彼らの金色の光を浴びた私たち一人ひとりが少しずつでも成長できたなら、それはとてもすてきな関係性だと思う。
文◎高橋ひとみ(BARKS)
撮影◎菅沼剛弘
セットリスト
M-2 暴れ曲
M-3 抱きしめてシュヴァルツ
M-4 首が痛い
M-5 毒グモ女(萌え燃え編)
M-6 かまってちょうだい///
M-7 死 ん だ 妻 に 似 て い る
M-8 男心と秋の空
M-9 さよなら、さよなら、さよなら
M-10 HEN
M-11 咲いて咲いて切り裂いて
M-12 101回目の呪い
M-13 Dance My Generation
M-14 キスミー
M-15 #CDが売れないこんな世の中じゃ
アンコール
M-16 ホテルラブ
M-17 女々しくて
M-18 さらば
ダブルアンコール
M-19 おさかな地獄
M-20 やり残した女々しくて
<ゴールデンボンバー全国ツアー2021「楽器を弾いたらサヨウナラ」>アーカイブ配信情報
詳細:http://pc.goldenbomber.jp/contents/438580
楽曲配信情報
2021年7月25日(日)配信リリース
※<ゴールデンボンバー全国ツアー2021「楽器を弾いたらサヨウナラ」>主題歌
レコチョク、music.jp(スマートフォン、PC)、dwango.jp、mora、mu-mo、AWA、LINE MUSIC、Recミュージック、dヒッツ、Spotify、iTunes store、Apple Music、Amazon music、KK BOX 他、主要サイトにて配信。
「おさかな地獄」
2021年7月25日(日)配信リリース
※<ゴールデンボンバー全国ツアー2021「楽器を弾いたらサヨウナラ」>ファイナル公演で披露した新曲
AWA、LINE MUSIC、Recミュージック、dヒッツ、Spotify、Apple Music、Amazon Music Unlimited、KK BOX 他、主要サイトにて配信。定額制音楽配信(サブスクリプション)サービスのみ。
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