【インタビュー】WOMCADOLE、ノベル・コンセプトアルバム第二弾にバンドの現在「欲望みたいなものが表れている」

■これだけの数を回るツアーが始めてなんですよ
■ギターが折れたら現地で買うしかない（笑）

──『旅鴉の鳴き声』は全6曲中5曲にシンガロングパートがあるんですよね。シンガロングはWOMCADOLEの特徴のひとつでもありますが、だいぶ多いなと。

安田：それ、制作しているときから言ってたんですよ（笑）。
黒野：プリプロ中に気づいたもんな？ 並べてみて「5曲あるぞ！」って。安田：樋口とも話したんですけど、「やっぱりライヴがなかなかできない状況やからこそ、そういう欲望みたいなものが曲に表れてる感じがあるな」って。俺が作った「紫陽花」も、当初俺の中では二段階にするってことは決まってたんですけど、二段階目をシンガロングにする予定ではなかったんです。まず樋口にデモを渡して、それが返ってきたら、“あれ!? シンガロングになってる！”って（笑）。でも、これも悪くねえなって思ったのは、こういうご時世だからこそだし、そういうものを求めていたところがあったんでしょうね。

▲安田吉希 (Dr, Cho)

──なるほど。『旅鴉の鳴き声』収録曲より第一弾ミュージックビデオとして「ラブレター」が公開されていますが、このミュージックビデオは、 “「ラブレター」の歌詞からイメージされる”青春の思い出写真を一般ユーザーから募集”して、これにメンバーが撮った写真などを合わせて映像が構成されてます。

安田：もともとのアイデアは、メンバー個々が思い入れのある場所を使い捨てカメラで撮ってくるといういうものだったんですよ。だけど、もっと規模を大きくしたかったので、みんなの思い出もそこにフュージョンさせるというか。お客さんを巻き込んで作るのって初めてだったんですけど、送ってもらった写真がめちゃくちゃよかったんです。全部に目を通したら、自分の知らないところで誰かのこんなエモい思い出がめっちゃあるんやなって、ホントにもうエモくなっちゃって（笑）。

──写真一枚だからこそ、膨らむイメージがありますよね。

安田：俺らのライヴに来てくれた人がタオルを広げてる写真とかもあって、“頑張らんとな”って思ったり。あと、放課後とか部活の写真も結構あったんですけど、今の俺らにはもう撮れない写真じゃないですか。すごくキラキラとしたものがそこにあってね、クサイことを言うと。なんかもう羨ましいなって。

黒野：マジで輝きがすごかったから、嫉妬もすごかったわ（笑）。カップルの恋人つなぎの手元だけの写真とか、“うわああああああ！”って。めっちゃよかった、あの写真。

安田：言い方めっちゃ悪いけど、その子らからしたら、俺らをダシにしてるわけやん？「WOMCADOLEっていうバンドが、こういう写真を募集しててさー」みたいな。

マツムラ：それも青春の1ページやからな。

安田：そうなんよ！ それも込みの青春なんよなぁ……許せへんな（笑）。

──ははは。メンバーのみなさんも思い入れのある場所の写真を撮ったんですよね。

安田：俺は昔ユウスケと一緒に住んでたアパートの写真とか。樋口とユウスケは江ノ島にも行ってたよな？

マツムラ：うん。あと俺は地元の大阪でも撮ってきた。

黒野：俺も地元に写真を撮りに行ったんだけど、フィルムが少し残った状態の使い捨てカメラを機材車に置いといたら、勝手に使われてて（笑）。

安田：俺と現場マネージャーが使い切りました（笑）。群馬公演に行くときに、「微妙にフィルムが残ってるから、機材車を運転してるところも撮っておこうよ」って。

黒野：それを知らずに地元に戻って撮ろうと思ったら、カスカス……ってフィルムがゼロでシャッターが切れない。

安田：それに関してはマジでごめん（笑）。

▲マツムラユウスケ (G, Cho)

──そして、全国ツアー＜近今感魂（キンコンカンコン）ツアー＞が8月から始まります。

安田：みんなで飲んでる時に、誰かが“キンコンカンコン”ってタイトル案を出して、それに誰かが当て字して、すっと決まった感じでしたね。かなりラフやけど、めちゃくちゃいいタイトルだと思います。

──ですね。前作『共鳴howRING』のリリースタイミングでは東名阪ツアーを実施しましたが、ノベルコンセプトアルバム『共鳴howRING』と『旅鴉の鳴き声』を合わせると全15曲。セットリストも楽しみです。

安田：それはもう好きな曲を演りたいときに演るだけっすよ（笑）。『旅鴉の鳴き声』収録曲は全曲入れると思うんですけど……どうなるんやろうね？

マツムラ：ライヴ中にセトリが変わったりするからな。

黒野：変わり方によっては、ちょっとキレそうになるときあるけどな。そのときの自分の気分にハマったら「ウォー！」ってなるけど、演りたかった曲が急に消えたら「おいっ！」って（一同爆笑）。

安田：一回あったよな？ あのときは樋口も素直に反省してた（笑）。

黒野：あったな。ライヴの後に「あの曲やりたかったのに、なんで変えたん？」って（笑）。でも、今までは結構想像できてたんですよ、“こういう感じのツアーになるんやろうな”って。ところが、今回あんまり想像できないんですよね。なんでなんやろうな……なんでやと思う？

安田：うーん……。

──今までになかった感覚ですか？

黒野：ないっすね。その答えを見つけに行きます！

安田：ウェーイ！ フゥー！

マツムラ：アホや（一同爆笑）。僕の場合は、そもそもバンドでこれだけの数を回る全国ツアーが始めてなんですよ。楽しみですね、行ったことのないライヴハウスのほうが多いんで。

黒野：そうか！ ユウスケとこれだけのツアー回るのが初めてやから想像つかんのや。

安田：もう答えを得たのか（笑）！ けど確かにそうやな。今の感じで演ってたらギター折れると思うで？ やばいやろ、あのギターが折れたら。

マツムラ：もうすでに折れそうなんですよ、ステージで上に放り投げたりするんで。キャッチをミスったら終わり（笑）。折れたら現地で買うしかないな。

──ジャパンヴィンテージなトーカイ製ストラトタイプですよね。換えがきかないギターだと思いますよ。なんていうか、全体的にいろいろと気をつけてくださいね（笑）。

安田：はい（笑）。やっぱり、そのときそのときに歌いたい曲、演りたい曲を演奏していく感じになると思いますけどね。『共鳴howRING』と『旅鴉の鳴き声』が合わさったときにどうなるのか。過去の曲が今の俺らの曲と並んだときにどうなるのか。実際に演ってみないとわからんから。そういう意味でもめちゃめちゃ楽しみですね。

取材・文◎山口哲生
撮影◎野村雄治








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