【インタビュー】WOMCADOLE、新体制初アルバム完成「共に鳴らしたい。聴いてくれたあなたを大事にしたかった」
WOMCADOLEが1月20日、アルバム『共鳴howRING』をリリースする。メンバーの脱退、新型コロナウイルスの影響によるツアー中止、そして新メンバーにマツムラユウスケが加入しての再出発と、WOMCADOLEの2020年は激動の1年となった。そんな期間を経て産み落とされたオリジナルアルバムが『共鳴howRING』だ。
◆WOMCADOLE 画像 / 動画
“ノベル・コンセプトアルバム”と銘打たれた同作は、“未曾有のコロナ禍で他者との物理的なコミュニケーションが制限される中、君と僕とを繋げるRING=輪になるべく制作された”ものであることがアナウンスされている。事実、同作を最初から最後まで通して聴き終えたとき、ひとつのストーリーを味わったかのよう深い余韻が残る仕上がりだ。新体制として再び動き出した喜び、凄まじい熱量、成長や進化を感じさせる全9曲。そして何より、今、彼らがこの4人で音を鳴らすことを心の底から楽しんでいる姿が、楽曲からもインタビューからも伝わるはずだ。メンバー4人がアルバムについてじっくり語ったロングインタビューをお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■ダイナマイトを手に入れた感じ
■爆発の上限がさらに上がった
──完成したアルバム『共鳴howRING』収録全9曲を聴き返して、今、どういう感覚がありますか?
樋口:ユウちゃん (マツムラユウスケ)加入後、みんなでゼロから楽曲制作したのって、このアルバムが初めてなんですよ。前シングル「ヒカリナキセカイ」のときは、元々あった曲をユウちゃんと再アレンジした感じだったんで。そういう中で、俺としても今回は初めてのことが多いし、ユウちゃんが作ってきた曲も収録しているっていうことがやっぱり大きくて。
▲樋口侑希 (Vo, G) |
樋口:今までの俺だったら、頑なに「入れたくない」と言ってたはずなんすよ。だけど、ゼロからちゃんと一緒に作っていく中で、めっちゃ良い曲やなと素直に思ったし、素直に入れたいと思えた。だから、4人で食ったものをちゃんと出せてる気がしてますね。血液が流れている9曲を収録できたんじゃないかなと思ってます。
安田:ユウスケが加入したことによって俺個人も、ドラムプレイ的にメンタル的に、かなり影響を受けてると思うんです。バンドとしてもメンバー全員が言いたいことをより言い合って、4人の純度が高いまま結集することができている。結果、アンサンブルに対する共通認識が前より濃くなって、一曲一曲の密度もより高くなったんですよ。だから、ダイナマイトを手に入れた感じ(笑)。このあとは、バーン!って投げてボーン!って爆発させるだけ、みたいな。“これ最強やろ?”って毎回思ってるけど、前までは鋭い爆発だったものが、その上限がさらに上がったような感覚があります。
──今回のアルバムって、熱量は確実に高くなっているんだけど、決して勢い一発ではない印象がすごくあるんですよ。それはアンサンブルの部分が大きくて。楽曲制作時に、メンバー間でアレンジの話もよくしていたと?
安田:してましたね。「これカッコええやん」みたいなアレンジの話はよくしてたし、「うわ、それやわ!」みたいな感覚がめちゃくちゃあった。誰かが、「ここってちょっとやりすぎちゃう?」みたいなことを言ったとしても、「やりすぎるぐらいがカッコいいやん」みたいな。そうやってお互いがお互いを高め合っていく瞬間がめちゃくちゃあったんですよ。他のパートのアレンジにより関わったことで、アンサンブルがより緻密になったし、爆発するところは爆発する。そういう意思疎通がしっかりできましたね。
──黒野さんはアルバム制作時、どんな感覚がありました?
黒野:どの曲も今までと違う新鮮な感じがありましたね。やっぱりギターが変わるとバンドサウンドも変わるじゃないですか。そこからの影響は確実にあって、今までやってこなかったことも、このアルバムに入れることができた。だから、どの曲もベースフレーズを考えていくときは新鮮だったんですよ。今回はベースとギターがユニゾンすることが結構多いんですけど、それも新しい。
──ユニゾンしようという話は自然と出てきたんですか?
黒野:いや、最初は「ユニゾンしたらええんちゃう?」ってネタみたいな感じで。
樋口:以前から全編リフ押しの楽曲が欲しかったんすよ。黒野が「ここでリフ弾いてみようや」って案を投げてくれたのが、確か「DANGER」のプリプロ中で。サビ裏は元々、ただバッキングを鳴らしてるだけやったんですけど、黒野のアイデアを全員が否定せずに「絶対にカッコええやん!」ってやってみたら見事にハマって。そういうの増えたよな?
黒野:増えたな。
樋口:俺ひとりが考え込んで作るよりも、メンバーみんなが出してくるアイデアとかフレーズが全部カッコいい。そういうのって実は、楽曲としてまとまらないのが普通なんやけど、まとまっちゃうのがWOMCADOLEっていうか。
安田:そう。それが今回めっちゃ多かった。
マツムラ:閃きに閃きが重なり続けて、録ってる最中もアイデアを追加したし。
▲安田吉希 (Dr) |
安田:それ、めちゃめちゃ覚えてる(笑)。「軌跡」のサビ裏でユウスケがクソ速弾きしたんですよ。そうしたら、「それめっちゃいい! めっちゃいいやん!」って言いながら、タバコ吸ってる途中なのに駆け寄ってきて(笑)。「それ、もう一回やって!」って言ったんだけど、ユウスケは「いや、テキトーに弾いたからわからへん」って(笑)。
黒野:多かったな、そういうの。「Noah's」のアウトロも、最初にユウスケが「転調」というアイデアを出してきたときは、“マジで!? そんなんする!? 最後やで!?”って、ちょっと笑ってしまうくらい新しかった(笑)。
樋口:ケツのケツで転調やからな(笑)。でも、ちゃんと歌詞と繋がってる気がしたんですよ。最後に転調することによって“未来への箱舟”に乗ってるような感じがするっていうか。歌詞と結びつくアレンジ、それがめっちゃくちゃ上手くなったと思うし、そこをメンバー全員が共有できている。ほんま、いい曲ばっかりですね。
──アルバムを聴くと、マツムラさんのギターって詩的というか、歌詞に寄り添ったフレーズを弾かれる方なんだなっていうのがよくわかります。
マツムラ:デモ段階では樋口が仮のリードギターを弾いてくれていた曲も幾つかあったんですけど、自分でゼロから考え始めたものは、歌詞からヒントをもらって閃くことが多かったんです。僕が作ったフレーズを今度は(黒野)滉大が聴いて、「ギターがそう弾くならベースはこういう感じにするわ」っていうアレンジのキャッチボールもできた。面でただバーンといくだけじゃなくて、バンドアンサンブルとして編み込んでいくような意味ある演奏になっていると思うんです。それを僕が入って最初のアルバムでできたっていうのは、すごく嬉しいことですね。
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