【インタビュー】WOMCADOLE、ノベル・コンセプトアルバム第二弾にバンドの現在「欲望みたいなものが表れている」

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■大量の酒の空き缶が転がってるリビングに
■“う〜ん…”って頭抱えてる2人がいた(笑)

──「紫陽花」は安田さんが作曲を手がけたナンバーですが。

安田:まずメロディとコード進行と構成を樋口に投げたんですけど、俺としてはこの曲でどうしてもやりたいことがあって。最後のサビで転調した後に、もう一段階入る構成。“そこさえ守ってくれれば、あとはみんなの好きにしてください”っていう感じでしたね。だからこの曲の仮タイトルは「2段熟カレー」やったんすよ。

──ははは。最後にシンガロングが入ることで、二段階的に展開するから?

安田:そうそう。転調で一回熟して、“そこで終わると思ってたやろ?”っていうところで、最後にもう一発別のシンガロングパートがくるっていうのが、2段熟カレーやなって。あとはもうメンバーのみなさんが最高にしてくれましたよ。ベースとギターのユニゾンとか最高やなって。

黒野:いろいろ考えるのが楽しかった曲ですね。2コードのイントロっていうのも今までなかったし。

マツムラ:この曲では僕、気付いたらずっと単音弾きしてるんすよ。

黒野:あれ、マジでヤバいよな(笑)。

安田:ほんまにすごいと思った。

▲黒野滉大 (B)

──「ラブレター」は樋口さんとマツムラさんの共作になっていますけど、これはどういう経緯で?

黒野:曲を作ったのって、たしかレコーディングの2日前とかちゃう?

安田:ほんまにそのレベルやったな。

マツムラ:そもそも樋口と一緒に曲を作るのが始めてだったんですよ、樋口の家で軽いセッションみたいな遊びはよくやってたりするんですけど。この曲は、他にも候補曲はあったんですけど「こういう感じの曲がほしい」って話になって。安田と(黒野)滉大がプリプロしてるときに、樋口と僕で作りました。

安田:みんなで同じ場所に泊まって制作してたんですけど、大量の酒の空き缶が転がってるリビングに“う〜ん……”って頭抱えてる2人がいた(笑)。

マツムラ:ほんまに追い込まれてたんで、もう飲むしかないなって(笑)。

安田:俺、酒を買い足しに行ったもんな、ストロングゼロと氷結のグレープフルーツ。“今、俺がサポートできるのはこれしかない!”って(笑)。

マツムラ:そういうときって、不思議となのか必然なのか、めちゃくちゃ飲んでるのに全然酔い潰れないんですよ。昼ぐらいから作り始めて、「ラブレター」ともう一曲あって、そっちはまだ形にしてないんですけど、とにかくいろいろ作ってみて。「とりあえず方向性を固めよう」ってなったときにはもう夜中でしたね。

──リズムは6/8拍子、イントロやアウトロのギターはブルージーという新たな雰囲気がありますが、“う〜ん……”って頭を抱えてたのはどういうところだったんですか?

マツムラ:最初はA面曲というか、キャッチーな曲みたいなものを考えてたんで、めっちゃ頭を抱えてたんです。それこそ、さっきの流行りの話じゃないけど、そういう曲ってある程度コード進行が決まってくる。それを使えばどうとでもなるんですけど、“別にそういうのを今作りたくないしな”ってピンとこなかったんです。僕はもともとブルースも好きやったんで、最初はソロギターみたいな感じでコードとメロディを適当に弾いてたら、樋口が「それやん!」って。それが「ラブレター」のサビメロになって。そこからは早かったですね。

──レコーディングの2日くらい前に作った曲に対して、黒野さんと安田さんはどうアプローチしようと?

黒野:まずサビから考え始めたんですけど、全然思いつかなかったですね。ユウスケが「どう?」って様子を見にきたんですけど、何も思いつかないまま6時間ぐらい経ってたんですよ。で、「とりあえずこれ」って、ストロングゼロを渡されて(笑)。

マツムラ:僕と樋口も飲んで作ってたんで(笑)。WOMCADOLEで6/8拍子って珍しいし、黒野が普段あんまり聴かへんような曲やったから、「こういうのあるで」って参考曲を教えたり、「これもあるで」ってお酒を渡したり。

黒野:結局、シンプルなベースラインにしたんですけど、俺としては「ラブレター」のベースラインがアルバムの中で一番気に入ってるんですよ。特にギターソロ裏。たぶん、10年後に聴いても恥ずかしくないものが弾けたと思う。

安田:ドラムは逆に、何も悩まずに作れたんです。語弊があるかもしれないけど、“ド頭のギターからしていいし、メロディも歌詞もいいから、ドラムは何もしなくてよくね?”って。もちろんしっかり考えましたけど、たぶん6/8拍子の曲が少なかったことが大きいと思う。WOMCADOLEはエイトビートがやっぱり多いので、フィルとかに変化をつけなあかん。だけど、6/8拍子の曲は少ないから、かぶりを気にせず感じるままにリズムを作れたところはありました。

▲安田吉希 (Dr, Cho)

──そして、アルバムを締め括る「hey my friend」は前作『共鳴howRING』リリース直後にはあった曲だということでしたが。

安田:デモの段階から樋口が結構作り込んでたんですよ。

マツムラ:淡々と進んでいく感じはデモのときからありましたね。上モノとなる鍵盤とかメロディ楽器のアレンジは樋口が作ってて。リズムギターを俺が弾いて、樋口はギターを持たないので、ギターはシンプルに徹した感じです。

安田:「オケに関してはこういう感じでいきたい」っていうのが、樋口の中ではっきりありましたね。ドラムは、デモを聴いてから自分が考えたんですけど、「ここはバッキングと完全にユニゾンしてほしい」とかリクエストもあったから。

──アウトロに「kamo river」の歌詞が出てきますけど、これも最初から入ってたんですか?

黒野:デモの段階から入ってました。

──そうだったんですね。最後に向かって壮大になっていく感じとかボーカルのフェイクがビートルズの「Hey Jude」っぽいなと思いましたが。

安田:「こういうのがやりたい」って送られてきた参考音源に「Hey Jude」もあったと思いますよ。あとなんやったっけ?

黒野:ヒップホップも結構あったよな? 「ベースはこういう感じにしたい」って送られてきたけど、一個も取り入れなかった(一同笑)。「そこはちょっとごめん!」って感じなんすけどね。結構自分っぽい感じになってしまったんで。

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