【速レポ】<京都大作戦2021>10-FEET「ネットの噂とか誹謗中傷の対義語が“ロックのライブ”」

ポスト

時刻は18時半、10-FEETのステージがあと5分後に迫った太陽が丘。この時間になると、<京都大作戦>の2日目のエンディングが近づいてしまった寂しさ、今日の出演バンドのライブの充実感、これから10-FEETのライブへの期待など、いろいろな感情が勝手に切り替わりながら気持ちをかき乱していく。

◆10-FEET 画像

やや感傷的な気持ちを一気に吹き飛ばしたのは、勇ましく鳴り響くおなじみのSE。10-FEETの、そして<京都大作戦>のタオルを観客は掲げ、太陽が丘をいっぱいに埋め尽くした。またスクリーンに映るのはTHE 冠の鉄カブトだ。NAOKIのベースアンプの横にスタンドで飾られている。新型コロナウィルス陽性により出演がキャンセルになってしまったが、THE 冠をこの源氏ノ舞台に立たせたい。そんな10-FEETの優しさだろう。

優しさライセンス一級保持者、10-FEET。スタンバイした直後、TAKUMAの「おっしゃ、イケ!」という掛け声を合図に、バンドサウンドを轟かす。と思ったら「よっしゃ、みんな、座れ!」と座らせ、すぐに「よっしゃ、みんな、立て!」と、真逆の指示を繰り返す。優しさライセンスはく奪もんの反逆行為だ。とはいえ、10-FEETとオーディエンスの心はひとつ。それが分かる光景の連続でもある。




次の瞬間、本日の1曲目「goes on」でライブ本編に突入。ここでもTAKUMAは「前から後ろへウェーブ、どーん!」やら「よっしゃ、座れ。立て! よっしゃ、飛ぶぞ!!」と大忙し。それでも、長年連れ添った夫婦や恋人でも成しえない、見事な一心同体ぶりが繰り返される。完全に10-FEETのライブに太陽が丘にいる全員が巻き込まれた形だ。

またMCになれば、昨日もそうだったが、最近かけたというKOUICHIのパーマをネタにしてイジらずにはいられないTAKUMA。でも断固として「俺はイケてると思う」と譲らないKOUICHI。そんなおもしろおかしいやり取りでもライブに巻き込んでいった。



「ライブだから。みんなやることやって、守ること守って、あとは思いっくそやる。ルールのなかで。でも、オマエのパーマはやっぱルールからはみ出てると思う。そんな曲をやる」──TAKUMA

しかしそんなパーマの曲はない。始まったのは「蜃気楼」だ。すり切れた気持ちに寄り添い、気持ちを解きほぐし、自然と涙もこぼれてしまう10-FEETの名曲のひとつ。そこから曲は「アオ」へとつながる。




ここからライブは10-FEETらしいものに変化していった。客席エリアでは曲やリズムに合わせて乗るというよりも、歌に聴き入って、詞の言葉を噛みしめるオーディエンスの姿もあちこちに。生きることは、楽しいことばかりだけじゃなく、もがくことだって、闘うことだってある。そんなそれぞれの人生と並走し、力になってくれる曲や歌。切ない表情でコーラスを歌うNAOKIの姿も印象的だ。それにTAKUMAは、音源になった歌詞のまま歌うのではなく、その詞が生まれた根源にも迫る。分かり合えない人と人の心、イジメのことなど、本音だらけの言葉や本心で歌う。

「カッコよく、優しく、ちょっとずつ。今日からでもいい」。始まったときは笑いに満ちたライブだったが、気づけば、心の奥底にまでずっと響き続けるライブになっていた。自然にこぼれる涙を10-FEETのタオルで拭きながらライブに浸るオーディエンスも。本編ラスト「その向こうへ」を終えたとき、10-FEETに贈られたのは感謝の大きな拍手だった。




その拍手がアンコールを求めるものに変わり、これに応えて再登場した10-FEET。コードを軽く鳴らしながら、マイクを通すことなくTAKUMAが歌い始めたのは「風」の一節。太陽が丘という野外で、風に問いかけるように歌い続けた。その雰囲気を一変させるようにNAOKIが赤い照明に包まれながら重々しいベースラインを刻み、「まだまだ楽しくやりたい人、手を挙げて」とTAKUMA。激しくも温かさある「2%」がみんなの気持ちをひとつにしていった。

「イジメ、ネットの噂とか誹謗中傷。その対義語の意味を持つ言葉が、ロックのライブだと思います。よっしゃ、いっしょにやろうぜ!」──TAKUMA

<京都大作戦>2日目のラストを飾るのは「4REST」。<京都大作戦>をまだ始めていないバンドの初期から、みんなでライブで一緒に育ててきたキラーチューンだ。いわば、いろんな人たちの思い出も作ってきたナンバー。客席エリアで広がるのは笑顔ばかり。やっぱりラストは幸せな光景に満ちるのが<京都大作戦>であり、10-FEETのライブだ。



取材・文◎長谷川幸信
撮影◎撮影◎HayachiN/青木カズロー/瀧本 JON...行秀

【10-FEET セットリスト】

M1. goes on
M2. 1sec.
M3. 蜃気楼
M4. アオ
M5. シエラのように
M6. ハローフィクサー
M7. ヒトリセカイ
M8. その向こうへ
encore
en1. 風
en2. 2%
en. 4REST

<京都大作戦2021~中止はもう勘弁してくだ祭(マジで)~>

2021年7月3日(土) 、4日(日)、10日(土)、11日(日)
京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
OPEN 9:30 / START 11:00
※終演時間=各日20:00 予定 ※雨天決行/荒天中止

【出演アーティスト ※50音順】
▼7月3日
【源氏ノ舞台】
岡崎体育 / Ken Yokoyama / coldrain / 10-FEET / Dragon Ash / ハルカミライ / MAN WITH A MISSION
【牛若ノ舞台】
COUNTRY YARD / climbgrow / J-REXXX BAND / SCAFULL KING / TOTALFAT / Vaundy
▼7月4日
【源氏ノ舞台】
氣志團 / THE ORAL CIGARETTES / SUPER BEAVER / dustbox / 10-FEET / Hump Back / マキシマム ザ ホルモン
【牛若ノ舞台】
ENTH / OAU / kobore / THE冠 / TETORA / 花団
■7月10日
【源氏ノ舞台】
打首獄門同好会 / ウルフルズ / SHISHAMO / 10-FEET / 東京スカパラダイスオーケストラ / HEY-SMITH / ROTTENGRAFFTY
【牛若ノ舞台】
Unblock / Suspended 4th / NAMBA69 / HERO COMPLEX / 夜の本気ダンス / LABRET
■7月11日
【源氏ノ舞台】
Creepy Nuts / G-FREAK FACTORY / SiM / 10-FEET / back number / ヤバイTシャツ屋さん / WANIMA
【牛若ノ舞台】
上江洌.清作 & The BK Sounds!! / Age Factory / SHADOWS / SHANK / Hakubi / LONGMAN

▼チケット料金
1日券9,878円(税別) /前2日券 19,690円(税別) /後2日券 19,690円(税別)
※オリジナル万能傘/オリジナルラベル除菌スプレー付き
※チケットのお申し込み・ご来場に際しては、オフィシャルサイト等の注意事項及び感染症ガイドラインを必ずご確認ください。

▼チケットに関するお問い合わせ
[問]京都大作戦チケットセンター
https://ticket-every.jp/kyotodai/contact/

▼公演に関するお問い合わせ
[問]サウンドクリエーター https://www.sound-c.co.jp
電話でのお問い合わせ:06-6357-4400 (月・金12:00~15:00 ※祝日を除く)
メールでのお問い合わせ:https://www.sound-c.co.jp/contact/


この記事をポスト

この記事の関連情報