【インタビュー】浮かび上がってきた7ORDERの本質。メジャー1stシングル堂々完成

■ただ気持ち良く夏を過ごしたかった！　難しいことは一切なし！

──そして「雨が始まりの合図」とは対極に位置する「SUMMER様様」。こちらはORANGE RANGEのHIROKIさんが作詞、NAOTOさんが作曲・編曲・プロデュースを担当なさっています。

安井：やっぱり夏と言えばORANGE RANGEさんでしょう！！　真田と僕は中学生、美勇人は小学生高学年でドンピシャの世代なんですよ。「＊～アスタリスク～」のサウンド感とか衝撃的だったよな～！！

森田：TVアニメ『BLEACH』のオープニングテーマね。ほんとわっくわくしたよね。すっごい楽しかった！

──「雨が始まりの合図」で大人なお話をしていただいたと思いきや、一気に少年に（笑）。

真田：僕最近気付いたんですよ。成人男性の心のなかにはみんな、成長していく大人の自分と、短絡的なままの少年の自分が住んでるんです（笑）。大ミーハーな動機でオファーしてます（笑）。

安田：「雨が始まりの合図」は7ORDER色が強いので、もう1曲は誰かの色に徹底的に染まりたくて。思いっきりORANGE RANGE節が効いた楽曲を書き下ろしていただきました。だからMVもORANGE RANGEさんをオマージュしてるんですよ。

森田：うん。僕らが学生の頃に見てきたORANGE RANGEさんの感じを、当時のORANGE RANGEさんくらいの年齢になった僕らが表現できるのがすごくうれしかった。憧れの存在だったから。

真田：「SUMMER様様」ってタイトルのワード感もすげえいいもんなあ～。

▲真田佑馬

──ヴォーカルだけでなく、プレイヤーのオイシイ見せ場もちゃんとある曲ですよね。きっとNAOTOさんも7ORDERのバンドとしての面を意識してらっしゃるんだろうなと。

安井：音数が少ないがゆえにメンバーで作るグルーヴ感が露骨なんですよね。

真田：うんうん。引き算の美学！

森田：今の時代には珍しい音作りですよね。今の主流を追いかけて精巧な楽曲を作るのではなく、ただただ真っ直ぐ青春を追っかけて、ただただORANGE RANGEさんの力を借りて夏を盛り上げたい一心でオファーするという（笑）。

安井：僕らはただただ夏を楽しみたい！

真田：「SUMMER様様」はもうそれでOKなんです（笑）。ただ気持ち良く夏を過ごしたかった！　難しいことは一切なし！

森田：この潔さが「SUMMER様様」の良さ！（笑）

▲森田美勇人

──ORANGE RANGEの力を借りて夏を盛り上げる7ORDERを彷彿させるかのように、歌詞も夏の力を借りて女の子にモーションをかける男の子がポップに描かれています（笑）。両極端の2曲なのに、どちらにも“楽しみたい”という気持ちと、みなさんのルーツがあるというのも面白いですね。

真田：じつは、ORANGE RANGEさんとうち、バンドとしての編成が似てるんですよね。それは大きな収穫でした。だからメンバーみんなでORANGE RANGEさんの映像を再度観直して、自分たちのライヴに還元できるところを研究したり、“これめっちゃいい～！！”と感動したり（笑）。「SUMMER様様」で新しい引き出しがたくさんできました。今後夏フェスとかに呼んでいただけるようなら、ぜひ披露したいですね。野外に合うと思う。

安井：憧れていたけれど持てていなかった引き出しを作っていただけたのは本当にありがたかったなー……。ちょっとイケてる男になれたような気がする（笑）。MV撮ってる時も《魔法かけて　SUMMER様様》という歌詞のとおり、魔法かけてもらってる！ってめっちゃ思いました。


──音楽、ダンス、バンド、演劇、バラエティなど、多岐にわたる活動のなかで7ORDERに矛盾が生じていないのは、自分たちから生まれてくる“楽しい”と“なぜ”への探求心と好奇心ゆえかもしれませんね。

真田：たしかに、ある種哲学的な部分が強いかもしれない。

安井：良くも悪くも頑固で、“こうしたい”という主張と一緒に理由を話すことが多いんですよね。それに対してチーム全体が頭ごなしに否定せず、実現させるためにどう7ORDERとして落とし込むかを考える。そのなかで“ここは諦めてもらわないとだめかも”と話し合いながらゴールを目指していく。すべてがそういう議論のなかで生まれたものだから、一つひとつの辻褄が合うのかな。

森田：自分たちの“楽しい”という気持ちを大事にしたいし──。

真田：あとは来てくれるお客さんに“楽しんでもらいたい”だね。その気持ちはみんな強い。哲学的な部分はありつつも、それをメッセージとして発信してみんなを先導していくというよりは、“ライヴに来たなら楽しんで帰ってね”というスタンスというか。このマインドは変わらないんだろうなあ。

安井：サービス精神（笑）。たしかにね。それはある。自分たちから7ORDERに触れてくれる人たちへ伝えたいメッセージがないわけではないんですけど、やっぱりお客さんに支えられていることを痛感するんですよね。だからそこへの感謝の気持ちは、活動のベースにしていきたいんですよね。観てくれる人が楽しんでくれるものを7ORDERで実現したいという気持ちはひとつの大きなキーになっています。あとは、なにをやりたいか話しているなかで心が“フッ”となる感覚──“あ、面白そう！　わくわくする！”、“やってみたい”というちょっと心が上ずった時の7ORDERはすごく面白いし、瞬発力がある。

真田・森田：うんうん。

安井：エンタメ業界が難しい時代ではあるんですけど、人の前に立って何かをするなら、そういう感覚を大事にして活動していきたいんですよね。

▲安井謙太郎

──そういうマインドで行動を起こしているから、7ORDERの活動は自然と物語へと姿を変えていくんでしょうね。伏線回収やフラグもたくさんあるので、週刊少年誌を毎週楽しみにする感覚で楽しんでいます。

安井：あははは、うれしい。今回のORANGE RANGEさんとの共通点といい、7にまつわるリリース日といい、自分たちの想像していなかったところで意味がついてくることも多いんですけど（笑）。

真田：これでリリース日に雨が降ったらまじで持ってますね（笑）。降らなかったら降らなかったで“降んないんかいっ！！”って笑います（笑）。

森田：どっちに転んでも笑えるくらいには大きくなれたってことだね（笑）。

安井：“事実は小説より奇なり”と言うじゃないですか。本当にそうだなあと思います。本当はばちばちに計算して“あそこで匂わせた伏線回収してやったぜ～！”みたいなことにも憧れるんですけどねー……。なかなかできないんですよね（笑）。

森田：『ONE PIECE』で例えると、俺たちには“尾田栄一郎先生”がいないんだよね（笑）。みんな“麦わらの一味”。

真田：その飾らなさが7ORDERなのかもしれないね。今回の2曲は対極的だけど、気張って小難しいことをするわけではなく、どちらも“音楽って楽しいんだよ”と素直に伝えられる。そんな2曲でメジャー1stシングルを出せるのは、本当に幸せなことだと思います。

取材・文◎沖さやこ
撮影◎TOYO