【ライブレポート】いきものがかり、<THE LIVE 2021!!!>完遂「3人で始めて、本当に幸せでした」

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いきものがかりが6月11日(金)、約6年ぶりとなる有観客ツアー<いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! THE LIVE 2021!!!>のファイナル公演を地元・神奈川県の横浜アリーナにて開催した。先ごろ公開した同公演のオフィシャルレポートに続いて、BARKSオリジナルレポートをお届けしたい。

◆いきものがかり 画像

吉岡聖恵(Vo)、水野良樹(G)、山下穂尊(G, Harp)の言葉も交えつつ、今年春先以降のいきものがかりの活動を辿ったドキュメンタリー映像が流れてからスタートした<いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! THE LIVE 2021!!!>ファイナル公演。山下はこのライブをもってグループから離れる旨が6月2日に発表された。3人編成によるライブを観られるのはこれが最後なのかと思うと、やはり寂しい。しかし、ステージに現れた彼らを観て、門出を祝福する決意が固まった人がたくさんいたのではないだろうか。


「みなさん、こんにつあー!! いきものがかりです!」(吉岡)。「大変な中、来てくれてありがとうございます。久しぶりに地元の神奈川でライブをやるから来たら、山下ぬけるってよっていう(笑)」(水野)。「驚かせてすみませんね。いろんなことを考えてきた中での結論ではあるので、温かく背中を押していただけたらいいなと思いつつも、せっかく最終日なんで、いつも通り盛り上がってライブをしたいと思いますので」(山下)──3人各々の挨拶の言葉が届けられると、会場内は大きな拍手で包まれた。

サポートメンバーたちも登場した後、「今日も心を込めて歌いたいと思います」という吉岡の言葉と共に「からくり」がスタート。いきものがかりが路上ライブを演っていた頃から歌っていた曲から始まるという選曲は胸にグッと迫ってくるものがあった。エレキギターを弾く水野、アコースティックギターとホルダーに装着したハーモニカというお馴染みのスタイルの山下の間に立ち、歌声を響かせる吉岡が時折浮かべる笑顔がまぶしい。続いて「茜色の約束」と「SING!」も届けられて、横浜アリーナは温かなムードで満たされていった。




平時のライブならば「こんにつあー!! 」と元気いっぱいにコール&レスポンスを交わすところだが、現在の状況下では観客は声を発することができない──ということを踏まえて、メンバーの「こんにつあー!! 」という声に対して、突き上げる拳や手拍子で応える新方式で盛り上げていた3人。制約のある中でもステージと客席の間で心をしっかり通わせ合うことができるという事実が示された直後に聴いた「アイデンティティ」の“こころよ自由になれ”という一節は、いつにも増して胸に沁みるものがあった。そして、哀愁を帯びたメロディをドラマチックに高鳴らせた「きらきらにひかる」、3人各々が歌声を明るく交し合っていた「夏・コイ」も披露されて、会場全体できらめき続けた観客の笑顔。そういえば……「夏・コイ」を歌い終えた後、叩いていたタンバリンを山下の首にかけてステージを一旦後にした吉岡の姿が、印象深い場面として思い出される。長年共に歩んできた仲間同士の言葉では容易には言い表せないものが窺われる微笑ましいコミュニケーションだった。

山下の首にかけられたタンバリンは、メンバーたちが高校生だった頃から使用しているものなのだという。初の日本武道館公演に備えて新品を購入したものの、本番直前に壊れてしまい、古いタンバリンを今日に至るまで使い続けている──というエピソードを水野と山下が話し合っていると、衣装を着替えた吉岡がステージに戻ってきた。リラックスしたトークが繰り広げられたこのMCタイムで、水野はいきものがかりが結成された高校生の頃の活動日誌を取り出した。水野&山下による男性デュオとしてスタートした直後の初の路上ライブ、吉岡の加入、大学受験や各々の進路によって最初の放牧(活動休止)状態となっていた頃のこと……貴重なエピソードの数々が紹介された後、活動記録が細かに綴られた日誌ノートを水野から贈られた山下は、メジャーデビュー直前に大物アーティストのライブを観て憧れていた横浜アリーナが、自身のいきものがかりとしての最後のステージとなっていることへの感慨を語っていた。


映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』主題歌となった新曲「ええじゃないか」。3人の穏やかな歌声のハーモニーが存分に発揮されていた「太陽」。“サヨナラは悲しい言葉じゃない”と歌う吉岡の言葉が胸に深く迫ってきた「YELL」。奏でるサウンドの熱量を高め続けた水野と山下、スタンドマイクに向かいながらエモーショナルに歌声を響かせていた吉岡がとても凛々しかった「コイスルオトメ」をはじめとする豊かな表現力を再確認させられる曲たちが届けられた後、「BAKU」を皮切りに、ライブは後半戦へと突入していった。

「みなさん、立ち上がることは許されております。このゾーンだけ、もしよろしければ立ち上がっていただければと。手拍子もできます。手も挙げられます」という水野の言葉に促されて立ち上がった観客が、「ブルーバード」や「気まぐれロマンティック」を聴きながら湧き起こる興奮を、全身の激しい動きで示す姿が壮観だった。そして、「じょいふる」の振り付けを元気いっぱいに踊る人々の姿を眺めながら、心底嬉しそうな表情を浮かべていた3人。活動22周年を迎えたことを記念して22回のジャンプでこの曲が締め括られた時、万雷の拍手が客席からステージに向かって届けられた。

「この3人だから今日のステージに立てているんだと思います。でも、今以上に私たちと山下穂尊、いきものがかり、水野良樹、吉岡聖恵は輝いていきたいと思うから、よかったらこれからも見守って一緒に歩いていってほしいなと思います」と、抱いている気持ちを語った吉岡。そして、「次の曲を歌うとなんかお腹に力が入ります。だからみんなも心の中で一緒に歌ってほしいです」という言葉が添えられて、本編ラストは「風が吹いている」が飾った。躍動するメロディが、何とも言えず心地よい。終盤に差し掛かったところで観客が一斉に掲げた腕が穏やかに揺れる様が、とても美しかった。




アンコールを求める手拍子に応えてステージに戻ってきた3人。「僕と吉岡はいきものがかりの続きをやっていくし、山下は違うところで続きを生きていきます。“続く”という意思を込めるというのが大事だということを今日また噛み締めながらステージに立っています。こうやって3人が笑顔でステージに立てているのも続けてきたから。ちょっと道は離れますけど、3人それぞれに自分たちの日々を続けていきたいと思っています」と水野が語ってから披露された「TSUZUKU」は、大きな岐路に立っているいきものがかりの姿をまざまざと感じさせてくれた。そして、山下が作詞作曲をした「心の花を咲かせよう」も印象的だった曲として、ぜひ触れておきたい。山下がハモりのコーラスを響かせる様を、ギターを弾きながら実に嬉しそうに見つめていた水野の姿が、ありありと思い出される。小1の頃から共に歩んできた水野と山下の関係性は、やはり“幼馴染” “親友” “仲間”などという言葉だけでは語り尽くせない深いものがあるのだろう。

「ありがとう」を披露した後、サポートのバンドメンバーたちは舞台裏へと戻り、吉岡、水野、山下のみが残ったステージ。大学に進学した後、再びいきものがかりで歌を歌うことを躊躇していた自分を連れ戻してくれた山下にお礼の言葉を伝えた吉岡は、溢れる涙を隠すことなく流していた。そして、「古い曲です。高2の終わりくらいに作りました」と山下が言い、アコースティックスタイルで披露された「地球」。全員で響かせるハーモニーを噛み締めている3人の想いが、歌声を通じて伝わってくるように感じられた。

「地球」を披露した後、3人はステージを後にしたのだが、ダブルアンコールを求める手拍子に応えてステージに戻ってきた。「そういえば、あの曲やってない」(山下)。「あの曲のことかい?」(吉岡)。「バンドバージョンでやりたいなって思って。アリーナとか回れるようになった頃からずっとやっていただいているサポートミュージシャンのみなさんに来てもらおうと思って。みなさん、来てください!」(水野)。

再びフルバンド編成となったステージ上で、水野と山下は共有してきた思い出について改めて話し合っていた。小1の頃にじゃんけんで負けてクラスのいきものがかりになった2人が友情を育み、そこに吉岡も加わったことによって大きく変化していった運命。そんな日々を振り返りつつ、山下が新しい道へと進むことについて語る水野はやはり寂しそうだった。しかし、「吉岡と水野で新しく始まるいきものがかり。“穂尊と一緒に歩んできたこれまでが素晴らしいものだった”って、ずっと言い続けられるように2人で頑張っていきます。穂尊にもそんな風に思ってもらいたいし、思ってもらえるようにこれから生きていってほしい。デビューの時に“泣き笑いせつなポップ3人組”というキャッチフレーズをレコード会社の人に考えてもらったんですけど、こんなに体現することになるとは(笑)。3人で始めて、本当に幸せでした」という言葉が、とても力強かった。心のこもったはなむけの言葉として山下の胸にも響いていたのではないだろうか。


全篇にメンバーたちの強い意思が滲んでいたこのライブは、メジャーデビュー曲「SAKURA」によって締め括られた。観客は胸の内に様々な思い出をよみがえらせながら耳を傾けていたのだと思う。そして、演奏が終わった後に「言い残したことは?」と水野に問いかけられて、「ない(笑)」と照れくさそうな表情を浮かべた山下による1本締めで終演を迎えたのであった。

「みなさん、いい1本締めでしたね。山下穂尊、吉岡聖恵、水野良樹。よっちゃん(水野)は友だちに戻って、私は初めて友だちをやりたいと思うんだけど、これからも3人のこと応援してくれるかな? また会いましょう! ありがとうございました!」──マイクを通さない生声による吉岡のメッセージが届けられた後、ステージを後にした3人。彼らの新しい日々が素晴らしいものとなっていくことを心から願わずにはいられないライブであった。

なお、同公演は6月18日18:29までアーカイブ映像が有料配信されている。チケット販売は同日正午まで。また、7月25日18:00よりWOWOWプライムおよびWOWOWオンデマンドにて、ライブの模様にインタビュー映像などを加えたスペシャルプログラムが放送/配信される。

取材・文◎田中大
撮影◎岸田哲平

■<Yakult ミルミル Presents いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! THE LIVE 2021!!!>2021年6月11日(金)@横浜アリーナ セットリスト

01. からくり
02. 茜色の約束
03. SING!
-MC-
04. アイデンティティ
05. きらきらにひかる
06. 夏・コイ
-MC-
07. ええじゃないか
-MC-
08. 太陽
-MC-
09. YELL
10. コイスルオトメ
-MC-
11. BAKU
12. ブルーバード
13. 気まぐれロマンティック
14. じょいふる
-MC-
15. 風が吹いている
encore
en1. TSUZUKU
en2. 心の花を咲かせよう
-MC-
en3. ありがとう
-MC-
en4. 地球
w.encore
en5. SAKURA


■配信<Yakult ミルミル Presents いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! THE LIVE 2021!!!>

配信日時:6月11日(金) open17:30 / start18:30 ※21:00終演予定
アーカイブ視聴期間:6月18日(金)18:29まで
▼配信チケット
・FC配信:¥2,500 (税込)
・一般配信:¥3,300 (税込)
・WOWOWオンデマンド(参考):¥2,530 (月額・税込)
▼配信プラットフォーム
・streaming+(FC配信)
→1年2組:https://fanclass1-2.com/guest.html
→いきもば:https://c-rayon.com/ikimonogakari/
・streaming+ (一般配信):https://eplus.jp/ikimono21/streaming/
・stagecrowd (一般配信):https://stagecrowd.live/1604939797/
・WOWOWオンデマンド:https://wod.wowow.co.jp/series/48157

■WOWOW番組『いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! THE LIVE!!!~LIVE & DOCUMENTARY』

放送局:WOWOWプライム/WOWOWオンデマンド
放送日時:7月25日(日)18:00~
https://www.wowow.co.jp/music/ikimonogakari/
※ライブ当日の模様に加え、貴重なインタビュー映像などを加えたスペシャルプログラム「いきものがかりの みなさん、こんにつあー!! THE LIVE!!!~LIVE & DOCUMENTARY」が、WOWOWプライムで放送、WOWOWオンデマンドで配信。

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