【レビュー】ジャック・ブルース × Char × 屋敷豪太、歴史的セッションが教科書のように教えてくれること
2012年8月、Billboad Live TOKYOで行われたジャック・ブルース、Char、屋敷豪太からなるJack, Char&Gotaの歴史的ライヴセッション。その模様が6月25日から6月30日まで、イープラスとFAVERで期間限定配信される。
◆Jack, Char&Gota 動画 / 画像
半世紀前のロックはどんなスタイルだったのか? それを現在形で伝える最上の映像、それが本作だ。
まずメンツがいい。ボーカル&ベースのジャック・ブルースは1960年代後半、エリック・クラプトン、ジンジャー・ベイカーと共にクリームのメンバーだった男。クリームは爆音でロックしてみせた第一世代のバンドだ。Charはそのクリームなどに影響を受けてプロになっていった世代。自らも三人編成のバンドを長く続け、ライヴや音源ではクリームの曲をよくカバーしている。一方、屋敷豪太は1980年代に渡英後、自らがプログラミングしたソウル II ソウルやシンニード・オコーナーで世界的ヒットを獲得。1990年代にはシンプリーレッドのドラマーとして再び大ヒットに貢献したビート・マスターだ。
さて、クリームの代表曲を中心に据えたライヴ本番。事前のリハーサルが30分だったという逸話が示すように、往年のロックは即興演奏主体だった。それも盛り上がれば曲のサイズなど全く制限なし。今回の映像も2曲終わったところで時計を見たら20分ぐらいは経過していた!
バンドとしては最小の3人という編成で長い即興。となると問われざるを得ないのがメンバーの力量だろう。そこで活きてくるのが今回の顔ぶれだ。歴史の生き証人であるジャックが、当時と同じギブソンのSGベースを弾き自分が書いた詞を歌えばもうそれだけでOK、という意見もあるだろう。とはいえこのライヴの2年後に71歳で亡くなる彼。往時のようにパワーで押す感じではない。代わりにあとの二人の張り切りぶりが強力なサポーターになっている。
ここで披露されているナンバーの大半はCharのソロでも聴いてきたが、このときほど饒舌なプレイをしているのは珍しい。ジャックを盛り立てるように、バンドの絡み合いが萎まないように、次から次へと新たなプレイを繰り出してくる彼。そういう音の会話を目撃できるのもこの時代のロックの醍醐味だろう。
そして屋敷豪太だ。1960年代のロックを今の感覚で聴いた時、いちばん物足りないのがドラム。グルーヴを感じさせるドラマーはジョン・ボーナムぐらいではなかったか? クリームのジンジャーも祭り太鼓のようにタムを叩きまくるスタイルだった。そこへいくと、ここで聴ける豪太のドラムは素晴らしい。ダンスミュージック的タイトさを持ちつつ、彼のキャリアでも稀な往年のロックにアプローチしている。クリームの楽曲を2000年代と繋げていたのは彼のビートかもしれない。
御大ジャック亡きいま、再現不能な記録となった本作は教科書のように多くのことを教えてくれる。
取材・文◎今津甲
■期間限定配信<Jack Bruce, Char&Gota Absolute Live in Japan 2012>
※WEBブラウザのみでアーカイブ配信を何度でもご視聴いただけます (巻戻し/早送り可能)
▼チケット
販売期間:6月7日(月) 19:00~ 6月30日(水) 22:00
・イープラス:前売 3,500 円/当日以降 4,000円 +手数料220円
・FAVER:前売 3,200コイン (¥3,520 税込)/当日 3,700コイン (¥4,070 税込) +手数料
https://faver.tv/live/show/11
【特設ページ】https://zicca.net/jcgonline/
▼音源配信:Jack Bruce, Char&Gota「White Room (Live in Japan)」
※6/16よりSpotify, Apple Music他で配信開始
※distributed by FRIENDSHIP.
https://FRIENDSHIP.lnk.to/WhiteRoom
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