【ライヴレポート】LUNA SEA、ガーデンシアター3DAYS 初日「今日がスタートとなりました」

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2020年5月に予定されていた<LUNA SEA 30th Anniversary -CROSS THE UNIVERSE- GRAND FINAL>の振替公演が、約1年の延長期間を経て5月28日、29日、30日に東京ガーデンシアター(有明)で開催された。

◆LUNA SEA 画像

タイトルは<LUNA SEA 30th Anniversary CROSS THE UNIVERSE -THE DAWN->。最新オリジナルアルバム『CROSS』を携えた全国ツアーが新型コロナウイルスの感染状況により中断したことで、ガーデンシアターでグランドファイナルを飾ることは叶わなかったが、だからこそ、彼らは今回の3DAYSに“夜明け”を意味する“DAWN”というワードを冠した。6月から再スタートするツアー<LUNA SEA 30th Anniversary Tour 20202021-CROSS THE UNIVERSE->へと続いていく新たな始まりという想いがいかにもLUNA SEAらしい。

感染対策を徹底した上でヘドバン、ジャンプ禁止というLUNA SEAのライヴでは異例の措置がとられ、平日ながら開演は17時。彼らにとって初めて立つ会場である東京ガーデンシアターで行われた初日28日のライヴの模様をお伝えしよう。


約8,000人を収容する会場はアリーナとバルコニー席がステージを囲むように配置されている劇場型ホールだ。RYUICHIもMCで触れていたが、構造としては日本武道館に近い円筒型。開演時間の17時を回ると自然と手拍子が沸き起こり、やがてエキゾティックで神秘的なSEが流れて暗転した場内を照明の光が照らしていく。メンバーが定位置につき、オレンジに染まる照明の中、ライヴは「LUCA」で幕を開けた。光を照らすような力強く高揚感のある演奏。不安を抱え、悲しい夜に慣れてしまっても“僕は君の空になろう”と歌うRYUICHIのヴォーカルがコロナ禍で疲弊している心に刺さってくる。第1部のセットリストは『CROSS』収録曲が中心の構成だ。世界中がパンデミックに襲われる前に制作されたアルバムだが、闇も光も丸ごと包んでくれる楽曲たちに今をシンクロさせずにいられない。続いて投下されたのは削ぎ落とされたバンドアンサンブルに血が騒ぐ「Closer」。駆け抜けていくビートに客席は頭上のハンドクラップで盛り上がる。

「東京、元気だった? 会いたかったぜ。本来ツアーファイナルだったはずのこのガーデンシアターから、6月、7月とツアーをやっていきたいなと。今日がそのスタートとなりました。いろいろ規制もあるし、みんなには不自由もかけていると思うんだけど、心の声で僕らの想いに応えてください。みんな、いい!?」──RYUICHI

RYUICHIの宣言に拍手が起こり、Jのベースのフレーズと真矢のドラムがフィーチャリングされたミドルチューン「Pulse」は、リズム隊が生み出す心地よいグルーヴに身体を任せながら、視界が広がるようなキャッチーなサビのメロディと“恐れずに闇さえ切り裂け”というメッセージに揺さぶられずにはいられなかった。プログレッシヴな展開の中でRYUICHIがシャウトし、SUGIZOのギターワークが空間を飛翔させていく「PHILIA」は、まるで壮大な組曲。ドライヴ感のあるサウンドから一転、Jが弾くピアノとRYUICHIのヴォーカルがフィーチャーされるセクションを経て、再び昇り詰めていくアクトに会場から惜しみない拍手が送られた。



「ガーデンシアター、とても美しい会場ですね。みんながけっこう近い位置にいてね。これがスロープになっている奥行きの深い会場だったら、3段目にいるバルコニーのみなさんがもっともっと遠かったと思うんですけど、武道館に似て、縦方向に伸びているから不思議なんですよ。会場って音を出していくと育っていく。もしかしたら僕ら演者が育っていったり、エンジニアさんが育っていくからかもしれないんだけど、きっと次にまた来られる時にはマスクを外して大きな声で歌えると思うので、みんなの想いを目線で、心の声をしっかり届けてください」──RYUICHI

初めて立つ会場だからこそ、バンド側からの想いがRYUICHIの口から語られたのも印象的だった。天井とステージの上手下手に据えられたミラーボールが輝き、光を紡ぐ繊細なアルペジオから広がりのある重厚なサウンドへとシフトしていく「宇宙の詩 -Higher and Higher-」はタイトル通り、宇宙空間にいざなわれるナンバー。間奏でステージが赤く染まり、やがて青へと変わっていく照明もLUNA SEAの世界観を彩る。そして、さらに深淵な場所に引き込まれる「静寂」へ。SUGIZOとINORANのギタースタイルも音色も違うゆえのアンサンブル、RYUICHIの圧巻の歌に絡むJの語りとメロディックなベース、真矢のドラマティックなプレイなど、聴きどころ満載だ。控えているツアー再開を通して、これらの楽曲たちがさらに進化していくのは間違いないが、『CROSS』の楽曲たちはすでにかなり高いレベルに達していると感じた。

場内が明るくなり、開放感と共に放たれたのは「Hold You Down」。第1部で『CROSS』以外から唯一選ばれたナンバーで、アルバム『LUV』(2017年)のリードトラックだ。Jがモニターに足をかけてオーディエンスを指さすと、無数の手が客席に揺れる。“君のビートに埋もれる様に”という歌詞をもじってRYUICHIが「真ちゃんのビートに埋もれますわ。すごいですよ。やっぱり、不死鳥だね」と笑う。SUGIZOが手でハートマークを作って無言の愛のメッセージを。第1部のラストはSUGIZOのクリーントーンが映える伸びやかな「THE BEYOND」。星々から光が降り注ぐような歌と演奏で締めくくられた。



約20分の換気休憩では、さいたまスーパーアリーナの時と同じく、REBOOT後に発表された22分を超える壮大な交響詩のインストヴァージョン「THE ONE -crash to create-」が流れ、後半へと。

LUNA SEAのライヴで数えきれないぐらい演奏され、数々のドラマを作ってきた曲が披露された第2部。集まったファンを最も喜ばせたのはSEの「月光」の新たなヴァージョンに続いて、披露された「Be Awake」だろう。真矢のカウントで始まったこの曲は終幕前最後のオリジナルアルバム『LUNACY』(2000年)収録曲で、疾走感たっぷりのサウンドがアップデートされた今のLUNA SEAで鳴らされた。涙も痛みも抱きしめて次の時代に向かおうと歌うこの曲が、ライヴのタイトルにつけられた<THE DAWN>と20年以上の時を超えて同期し、ステージ上ではRYUICHIとSUGIZO、そしてRYUICHIとINORANが絡む華やかなパフォーマンスが繰り広げられた。

「みんなの想いがしっかり届いているんで、ここからは加速度を上げて、共に熱くなっていこうと思います」──RYUICHI

「The End of the Dream」では間奏でRYUICHI、SUGIZO、INORANが並んでプレイする見せ場も。客席が手を振るお馴染みの光景が飛び込んできた「SHINE」ではバックスロープでギターをかき鳴らして煽るINORANが後ろから真矢に絡み、RYUICHIもドラム台に上がるなど、笑顔がこぼれる展開に。


「30周年のツアーですけど、このあと廻って廻ってもう1回やりたいぐらいだよね。そのまま、ずーっとツアーしながら40周年に入る。アッという間にLUNA SEAも30数年経ってますからね。久しぶりの3DAYSなんですよ。みんな、今は大きな声で叫べないと思うけど、しっかり伝わってるんで思いきり楽しんでね」──RYUICHI

声を上げられなかったり、騒げなかったり、思いきり煽れなかったりと、通常のライヴができない状況下では客席もLUNA SEA側ももどかしい想いが当然あるだろう。だからこそ、“5人がステージに立ち続ける限り、LUNA SEAは続いていく”というRYUICHIの意志表明は未来を照らす希望そのもの。そして個人的にはガーデンシアターという初めての会場で3DAYSの初日を迎え、音の面でも試行錯誤しただろう彼らがキャリアやレジェンドという言葉に甘んじることなく心はバンドキッズのままプレイしている姿がまぶしく映った。

名曲「gravity」「I for You」が奏でられ、「東京のみんな、飛ばしていこうか!?」とRYUICHIが叫んでSUGIZOとJがスロープを走った「ROSIER」。INORANが前に出てギターをかき鳴らす「TONIGHT」でみんなの心を熱くさせ、第2部が終了した。メンバーが去ると間髪入れずにアンコールの拍手が会場を包む。


客席が灯すスマホの青い光が美しく揺れる場内に再び登場したLUNA SEA。その光景にRYUICHIはマイクを通さずに「フロントワーカー、エッセンシャルワーカーのみなさんに、この場所から僕らの“ありがとう”の想いを込めて青い光を灯したいなって。前回もやっていただいたんですが、今回も素敵な星空でめちゃめちゃ美しいです。どうもありがとう」と感謝の言葉を伝えた。SUGIZOも生声で「ありがとう!」と叫び、コロナ禍の中、急遽配信された「Make a vow」をRYUICHIがギターを弾きながら歌うスタイルで披露。SUGIZOが豊潤なギターソロを響かせた。

恒例のメンバー紹介は、真矢とJがドラムソロとベースソロでそれぞれ応え、コードを鳴らして短く叫んだINORANがRYUICHIに「それで終わり?」と突っ込まれ、「そうでやんす」とジョークを飛ばす。さらに「もうちょっと何か一言」とRYUICHI迫られたINORANは「いや、先生(SUGIZO)に」と振って沸かせる場面があったものの、トークは短め。INORANとSUGIZOに紹介されたRYUICHIは「どうもありがとう。嬉しいでやんす」となぜか“やんす”縛りで返した。

「みなさんと心が通じてるんだなって。無理して会場に来ることがいいって言ってるわけじゃないんですよ。僕らも開催していいのかなと思いながら今日に至っているわけで。でも、こうして奇跡のように出会えたみんなとのライヴは、かけがえのないものになると思うので、このあとももうちょっと盛り上がっていこうか?」──RYUICHI


一斉にみんなの手が挙がった「BELIEVE」ではじけ、ラストは青いレーザーの光が散らばった「WISH」。初期からLUNA SEAの締めに欠かせないこの曲も暗闇の中にあっても希望を浮かび上がらせるポップチューンであり、やはりLUNA SEAの音楽の旅は1本の線で繋がっていると感じた。

5月28日から29日へと日付が変わると、TwitterはLUNA SEAの32回目の誕生日を祝福するコメントで溢れた。不動のメンバーで共にステージに立っていることへの感謝と愛が、ひとつひとつのメッセージからこぼれてくる。さまざまな苦難を乗り越えてきたバンドであり、LUNA SEAという軸をブラさず、常にアップデートしてきた姿を見てきたからこそ、今があるのが当たり前のことではないということが、多くのファンに刻まれている何よりの証明であろう。

取材・文◎山本弘子
撮影◎田辺佳子/横山マサト

■<LUNA SEA 30th Anniversary CROSS THE UNIVERSE -THE DAWN->2021年5月28日(金)@東京ガーデンシアター(有明) セットリスト

[第1部]
01. LUCA
02. Closer
03. Pulse
04. PHILIA
05. 宇宙(そら)の詩(うた)~Higher and Higher~
06. 静寂
07. Hold You Down
08. THE BEYOND
[第2部]
01. Be Awake
02. The End of the Dream
03. SHINE
04. gravity
05. I for You
06. ROSIER
07. TONIGHT
[encore]
01. Make a vow
02. BELIEVE
03. WISH

■<LUNA SEA 30th Anniversary CROSS THE UNIVERSE -THE DAWN->2021年5月29日(土)@東京ガーデンシアター(有明) セットリスト

[第1部]
01. LUCA
02. Closer
03. You’re knocking at my door
04. PHILIA
05. 宇宙(そら)の詩(うた)~Higher and Higher~
06. anagram
07. BLACK AND BLUE
08. 悲壮美
[第2部]
01. WITH LOVE
02. Dejavu
03. STORM
04. IN SILENCE
05. I for You
06. ROSIER
07. BELIEVE
[encore]
01. Make a vow
02. WISH
03. MOTHER

■<LUNA SEA 30th Anniversary CROSS THE UNIVERSE -THE DAWN->2021年5月30日(日)@東京ガーデンシアター(有明) セットリスト

[第1部]
01. LUCA
02. Closer
03. Pulse
04. PHILIA
05. 宇宙(そら)の詩(うた)~Higher and Higher~
06. 静寂
07. Hold You Down
08. THE BEYOND
[第2部]
01. JESUS
02. DESIRE
03. TRUE BLUE
04. IN MY DREAM
05. I for You
06. ROSIER
07. TONIGHT
[encore]
01. Make a vow
02. WISH
03. so tender...

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◆【ライヴレポート】LUNA SEA、ガーデンシアター3DAYS 最終日へ



■<LUNA SEA 30th Anniversary CROSS THE UNIVERSE -THE DAWN- LIVE STREAMING from TOKYO GARDEN THEATER>

2021年5月30日(日) 16:00開演
アーカイブ期間:生配信終演後~6月2日(水)23:59
配信視聴チケット:¥5,500(税込)+各社手数料
視聴チケット購入、詳細:
・Streaming + https://eplus.jp/lunasea-s/
・ZAIKO(全世界対応) https://lunasea.zaiko.io/e/THEDAWN


■<LUNA SEA 30th Anniversary Tour 20202021 -CROSS THE UNIVERSE-> ※振替公演

▼福岡サンパレス ※延期
2020年3月21日(土)→振替日程:2021年6月12日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年3月22日(日)→振替日程:2021年6月13日(日) 開場15:00/開演16:00
▼松山市民会館 大ホール ※延期
2020年4月11日(土)→振替日程:2021年6月26日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年4月12日(日)→振替日程:2021年6月27日(日) 開場14:00/開演15:00
▼札幌文化芸術劇場 hitaru ※延期
2020年5月09日(土)→振替日程:2021年7月03日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年5月10日(日)→振替日程:2021年7月04日(日) 開場15:00/開演16:00
▼名古屋国際会議場センチュリーホール ※再延期
2020年5月14日(木) →再延期・振替日程:2021年7月17日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年5月15日(金) →再延期・振替日程:2021年7月18日(日) 開場15:00/開演16:00
▼南相馬市民文化会館ゆめはっと大ホール ※再延期
2020年3月14日(土)→再延期・振替日程:2021年7月31日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年3月15日(日)→再延期・振替日程:2021年8月01日(日) 開場15:00/開演16:00
▼宇都宮市文化会館大ホール ※再延期
2020年2月27日(木)→再延期・振替日程:2021年9月01日(水) 開場17:30/開演18:30
2020年2月28日(金)→再延期・振替日程:2021年9月02日(木) 開場17:30/開演18:30
▼仙台サンプラザホール ※再延期
2020年4月25日(土)→再延期・振替日程:2021年10月02日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年4月26日(日)→再延期・振替日程:2021年10月03日(日) 開場15:00/開演16:00
▼上野学園ホール(広島県立文化芸術ホール) ※再延期
2020年3月28日(土)→再延期・振替日程:2021年10月23日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年3月29日(日)→再延期・振替日程:2021年10月24日(日) 開場15:00/開演16:00
▼大阪国際会議場メインホール ※再延期
2020年4月04日(土)→再延期・振替日程:2021年11月29日(月) 開場17:00/開演18:00
2020年4月05日(日)→再延期・振替日程:2021年11月30日(火) 開場17:00/開演18:00
▼本多の森ホール(旧石川厚生年金会館) ※再延期
2020年3月07日(土)→再延期・振替日程:2021年12月04日(土) 開場17:00/開演18:00
2020年3月08日(日)→再延期・振替日程:2021年12月05日(日) 開場15:00/開演16:00
▼神戸国際会館こくさいホール ※再延期
2020年5月02日(土)→再延期・振替日程:2021年12月20日(月) 開場17:00/開演18:00
2020年5月03日(日)→再延期・振替日程:2021年12月21日(火) 開場17:00/開演18:00
ツアー詳細: https://www.lunasea.jp/news/LUN_news_crosstour2021

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