【インタビュー】杉山清貴、2年振りの“オメガトライブ”をWOWOWで生中継。ラストアルバムの曲もピックアップ
2020年4月、5月に開催が予定されていたものの、コロナ禍により延期となっていた<SUGIYAMA,KIYOTAKA The open air live “High & High”>が、およそ1年振りに実現することが決まった。
“High&High”は20年以上の歴史を持つ、杉山清貴のライフワークとも言える毎年恒例のライブシリーズだが、2018年からは再集結した「杉山清貴&オメガトライブ」として出演を重ねてきた。今年はおよそ2年振りにオメガトライブとしての雄姿を目撃することができる、ファンにとっては待ちに待った瞬間だろう。
◆撮り下ろし画像
そして、<SUGIYAMA,KIYOTAKA The open air live “High & High 2020”>のうち、5月9日に東京・立川ガーデンで無観客にて行われるライブの模様を、WOWOWが生配信することが決定。開催を目前に控え、リハーサルスタジオに集結したバンドを代表して、杉山清貴にライブへの意気込みや自身の近況、そしてバンドの未来について語ってもらった。
※開催を予定しておりました<SUGIYAMA,KIYOTAKA The open air live“High & High”2020-2021>公演は、このたびの緊急事態宣言の発令、及び、日本政府からの無観客要請を受けまして、無観客に切り替えて生配信ライブにて開催されます。
※本インタビューは緊急事態宣言発令前に実施されたものです。
◆ ◆ ◆
■オメガトライブという通過点が終わっただけで、元々の付き合いは終わっていない
──リハーサル中にお邪魔します。今日は、何日目ですか。
杉山:2日目ですね。昨日と今日で全曲に手を付けて、みんなが持ち帰って、明日は休みで、明後日からもう一回やります。
──リハーサルは、全部でどのくらいですか。
杉山:10日ぐらい、ですかね。前よりも多いです。最後のほうは別の場所で、ブラスセクションも入ってやります。
──1年越しのライブなので、ここまでモチベーションの維持とか、いろいろ大変なこともあったのかな?と推測します。
杉山:そうですね。何事もない状況を想定して、メニューを組んだり、構想を考えていたので。それが全部変わってくるので、ちょっと大変かなとは思いますけど、でもまあ大丈夫です。
──ちなみにこの1年、メンバーとのコミュニケーションはどんなふうに?
杉山:“オメガLINE”を作っていて、そこで話していました。メンバー同士の会話は、次へ向けて「曲をどうしようか」とかで、コロナうんぬんの話は特にしていないです。それぞれがやるべきことをやってくる、という感じでしたね。
──杉山さん自身は、昨年はオリジナルアルバム『Rainbow Planet』と、南佳孝さんとのコラボアルバム『愛を歌おう』も出しましたし。ずっと活動し続けていたイメージがあります。
杉山:なんだかんだ、活動していましたね。ライブもわりとできていましたし、いろいろ経験させてもらいました。1日2ステージとか、大変だったけど、楽しかったですよ。
──あらためて、コロナ禍の2020年〜2021年は、アーティストとして何を考えた1年でしたか。
杉山:まず、これだけちゃんと休むと、声の出がすごくいいなと思いましたね(笑)。今、すごくいいんですよ。だから今後は、あまりライブをやりたくない(笑)。
──そんなこと言わないでください(笑)。
杉山:でもね、何十年もずーっとそうやってきたので、気にしてなかったんですけど、これだけ休みがあると、こんなに喉の調子がいいんだなということは、あらためて思いましたね。それはみんな言ってます、ボーカリストの仲間は。「めっちゃ楽だよね」って。やっぱり負担はかけてますよね、気づかないうちに。
──そういうものなんですね。
杉山:あとは、変わったことと言えば……配信が面白いなと思いました。今までだったら、できなかったことじゃないですか。たとえばコンサートをやったら、チケットを買った人しか来れない。行きたいけれども、いつもソールドアウトで取れないとか、そういうコンサートもある中で、配信があることで、日本全国で行きたいと思った人たちが家で見ることができる。それはある意味、いいことなのかなと思いますね。今まで発信できなかった相手に対して発信できるということは、すごく大きいと思います。ただね、無観客は、あまりやりたくないですね。
──ああー。はい。
杉山:人によるんでしょうけど、僕はコロナになって時間ができたので、新しい趣味が増えました。何がきっかけか覚えてないですけど、突然「ヒップホップが面白いな」と思いだしたんですよ。それまでラップとかまったく興味がなかったのに。暇なので家で料理する時間があるんですけど、YouTubeとかで音楽を選んで流している時に、ローファイなヒップホップをかけておくと、全然邪魔にならなくて、いいんですよね。そのうちに体の中にヒップホップの免疫ができて、「ヒップホップ面白いな」と思って、聴くようになった。そこは新しい発見でした。それを自分に取り入れるかどうかは別として、ヒップホップファンになりました。あと、レゲエとかも。新しい趣味ができましたね。
──個人的な印象で言うと、杉山さんとお話するたびに、新しい趣味が増えている気がするんですね。去年のアルバムでお会いした時には、「最近アニメにハマってる」という話をしてもらいましたし。
杉山:そうそう(笑)。ヤバイですね、アニメは。相変わらずハマってます。週に何本も見なきゃいけないから、忙しいですよ(笑)。そういうふうに、アニメから始まって、今はヒップホップになってますね。
──やっぱり、いつまでも若くエネルギッシュな人は、どんどん新しいものを見つけていくんだなと思ったりします。
杉山:まあ、趣味ですけどね。
──そして、今回の<SUGIYAMA,KIYOTAKA The open air live“High&High 2020”>振替公演の話をする前に、一つ聞きたいことがあるんです。2月に、ご自身のブログに、「最近オメガトライブの解散コンサート(1985年)の音源を聴いていて、アレンジにすごく遊びがあって、面白いなと思った」ということを書かれていましたよね。
杉山:はいはい。書きましたね。
──そういうふうに昔のライブ音源を聴き直すことって、よくあるんですか。
杉山:いや、久しぶりですね。記憶に残ってると思ってるから、聴かないんですよ。それをたまたま聴いてみたら、「俺たち、こんなことやってたんだ」と思ったんですね。
──たまたま聴いた、というのは、これからのオメガトライブのライブに向けての参考という意味もありましたか。
杉山:たぶんそうだったと思います。でも、今の状態をそこに近づけるとか、そういうことではなくて。あの頃はある意味、オメガトライブの世界は、抑圧された世界だったわけですね。「やらされてる」とは思っていないですけど、いろいろやらなきゃいけないことも多かったから。そこで自分たちの自由にならないことが多い中で、ライブという場だけは「俺たちが一番自由にできる場だったんだな」ということを、あらためて感じたんですね。
──そのブログの文章は、「やっぱりバンドいいよな」という言葉で締めくくられていました。
杉山:うん。このメンバーと音を出していると、10代の頃を思い出して、いいんですよ。会話も小学生みたいな、馬鹿みたいな会話ばかりしてますし(笑)。
──音楽の話、しないんですか。
杉山:しないです(笑)。やっぱりね、高校生からバンドを組んでますからね。だから、オメガトライブとしてデビューして、プロの世界へ入って、その中でいろいろ揉まれながら、「あーもう無理だ、できない」と言って解散はしましたけど、それはオメガトライブという通過点が終わっただけで、元々の俺たちの付き合いは終わっていないということが再確認できましたね。
──<SUGIYAMA,KIYOTAKA The open air live“High&High 2020”>振替公演は、以前のコンサートとはセットリストがかなり変わるかも、という話を聞いています。
杉山:オメガの最後のツアー中に、「ラストアルバムを作る」ということが急遽決まって、だから、そのアルバム(『FIRST FINALE』)の曲はラストツアーのメニューに入ってないんですよ。オメガの演奏で、ラストアルバムの曲は一度も披露していなかったので、そういう曲を今回ピックアップしてみようかな?と思っています。全員が初めて手を付ける曲ばかりなので、パニクってますけど(笑)。自分にとっても、新曲みたいなものですね。
──編成も、今までとは少し変わるようです。
杉山:そうです。ブラスセクションは、おととしの野音で入ってくれたファイヤーホーンズが入りますし、コーラスも、昔からお世話になっている重鎮コーラスのお二人に頼んで、ばっちりなコーラスが聴けると思います。豪華な感じになると思いますよ。
──そして5月9日、東京・立川ガーデンでのステージを、WOWOWで生中継することが決まりました。
杉山:ライブを生で見てもらうということが、僕は好きなので。歌詞を間違えようが、演奏をミスしようが、それもライブだから、それを全部見ていただこうということですね。サービスです(笑)。
──楽しみにしています。あらためて、杉山さんにとってオメガトライブとは、どういう存在ですか。
杉山:一番気楽にできる場所、かな。でも聴いてくれる人たち、来てくれる人たちは、それぞれのみなさんの思い出の中にひたってくれればいいと思います。オメガトライブのプロジェクトに関しては、自分たちとしては、昔の友達と音を出せて楽しいだけなんだけど、やっぱりオーディエンスの人たちが、今ある嫌なことを一瞬でも忘れて、10代20代の気持ちに戻ってくれればいいかなと思っていて、そのための手助けをしたいなと思っています。詞の世界も、現代にはない世界ですし、それは若い人たちには新しい世界かもしれないし。あの時代だけにあった独特の世界を楽しんでもらえたら、僕はそれで十分です。
──本当に楽しみにしています。そして気が早いことを言うと、2023年のデビュー40周年も近づいてきました。何か考えていますか。
杉山:そうですね。まあ、全員が元気で生きていたら、の話ですけどね(笑)。
──そんなこと言わないでください(笑)。
杉山:今は、周年に限らず、いつでも集まれたら集まりたいという感じなので。去年で全員が還暦になったので、もう仕事とか関係なく、楽しい時間や楽しい現場を彼らにあげられたらいいかなという、そういう思いも僕にはあります。「一緒に遊ぼうぜ」みたいな感じですね。
──しかも、みなさんお元気で、演奏も相変わらずかっこよくて。腕は落ちてない、とか言うと失礼ですけど。
杉山:それはね、元々落ちてますから、あいつら(笑)。
──またそういうことを(笑)。
杉山:でも、こういうことを言えるのが昔の仲間なんですよ。そんなこと、サポートミュージシャンに言えないじゃないですか。お互いけなし合いながら、楽しくやってますよ。
取材・文◎宮本英夫
撮影◎福岡諒祠
◆ ◆ ◆
緊急事態宣言を受け、無観客にて開催される今回の特別公演の模様は5月9日(日)午後5:00よりWOWOWで生中継・配信! 心を吹き抜ける爽やかな風にも似た彼らのサウンドをお楽しみいただきたい。
番組情報
5月9日(日)午後5:00生中継
[WOWOWプライム][WOWOWオンデマンド]※放送同時配信のみ
・関連番組
杉山清貴「SUGIYAMA,KIYOTAKA High & High 2020 Special Edition in Winter」
5月6日(木)深夜1:15
[WOWOWライブ] [WOWOWオンデマンド]※放送同時配信のみ
・番組サイト
https://www.wowow.co.jp/kiyotakasugiyama/
<SUGIYAMA,KIYOTAKA The open air live“High & High”2020-2021>
2021年5月5日(水・祝)神奈川県民ホール
2021年5月9日(日)立川ステージガーデン ※無観客、生配信
2021年5月10日(月)立川ステージガーデン ※公演中止
詳細:http://islandafternoon.com/showall/sugiyamakiyotaka-the-open-air-live-high-high-2020-
◆WOWOW 番組サイト
この記事の関連情報
杉山清貴、様々な景色が思い浮かぶコンサートツアー<古いシネマを観るように、、、>開幕
杉山清貴&オメガトライブ、40周年プロジェクト完結編は6枚組コンプリートボックス
杉山清貴、40周年イヤー締めくくりに最新バンドツアーの映像作品発売
杉山清貴&オメガトライブ、来春ファイナルツアー開催決定
杉山清貴、100周年を迎える日比谷野音でライブ
杉山清貴、本日デビュー40周年。最新アルバムよりブルー・ペパーズ福田とのコラボ曲先行配信も決定
杉山清貴、3年ぶりオリジナルアルバムよりリード曲「Nightmare」先行配信&MV公開
杉山清貴、初のオールタイムベストと新作オリジナルアルバムを同時発売
松崎しげる主催<黒フェス2022>、第一弾発表にももクロ、杉山清貴、リーダーズ、RAB、藤あや子