【コラム】WST(ダブスト)とは何か?
WST(ダブスト)とは何か? それはDef Tech・Microと、10代の頃からの音楽&サーフィン仲間・Shu Dosoが組んだ音楽ユニットであり、新しい時代のエンタテイメントをプレゼンするビジネス・スキームでもある。Microは2001年に結成したDef Techの1stアルバム『Def Tech』を約280万枚のビッグヒットに導いて、日本の音楽シーンの流れを変えた男。代表曲「My Way」は、昨年出演した一発撮りの音楽ドキュメンタリー番組『THE FIRST TAKE』でも歌われ、当時を知らない若い世代からも熱い再注目を浴びたばかりだ。一方でShu Dosoは、この20年間で実業家として確固たる地位を築いてきた。そんな二人の共通項である「音楽」と「ストリート・カルチャー」をベースに、二人の「人生哲学」「社会へのメッセージ」「智慧と経験」を伝えるべく、2021年1月に新会社「Straight Street」を設立。音楽と映像を軸に、日本のみならず「世界のマーケットを見据える」と宣言し、「12カ月連続シングル・リリース」という構想をぶち上げ、夢に向かって全速力で驀進中である。
まずは1月にデジタルリリースされた第1弾シングル「Offshore 〜Cafe Latte Song〜」に耳を傾けてみよう。アコースティック・ギターやパーカッションのループに、ホーンをフィーチャーしたサウンドはどこまでも心地よくオーガニック。メロディアスなR&Bとサーフ・ミュージックの要素を併せ持ち、MicroとShu Dosoが交互に歌うヴォーカル、そしてハーモニーの息もぴったり。タイトルの「Offshore」はサーフィン用語で「陸から沖へ向けて吹く風」のことで、サーファーにとっては逆風だが、それがいつか必ず追い風に変わるという確信と、「当たり前に過ぎてゆく時間」の中で「本当に大切なものが何か/今はっきりと見えてきた」というリリックには、コロナ禍の今だからこそ気づいた日常の大切さが歌い込まれている。そしてもう一つ、ビジネス用語としての「Offshore」=海外投資という、WSTの今後の飛躍を見据えたShu Dosoならではのダブル・ミーニングも聴きどころだ。
2月にリリースされた第2弾シングル「WHY」は、前作と同じくコロナ禍での気づきをテーマにしつつ、よりリアルでシリアスな「痛み」の部分に焦点を当てたメッセージ・チューン。Microの実体験と、Shu Dosoがビジネス界で体験してきた様々なネガティブな出来事を成功へのきっかけにして「強くならないと駄目だ」と聴き手をうながす、ネガティブからポジティブへの変換を高らかに宣言するリリック。静かに寄せては返す波のような、アコースティック・ギターとシンプルなビート、メランコリックな悲しみに満ちたメロディ、耳元で語り掛けるようなナチュラルな歌声。耳に心地よく、心にずしりと重く、「問いかけ」と「気づき」に満ちた、静かな迫力を感じる歌だ。
2曲続けてコロナ禍を背景にした「オーガニックで心地よいサウンド」と「まっすぐに胸に響くメッセージ」を送り出したWSTだったが、3月にリリースされた「親孝行」ではまた新たな一面を見せる。タイトル通りに親への愛情と信頼をストレートにぶつけるリリックは、その裏側に、Shu Dosoによる亡き母親に寄せる永遠の思いと、Microによるコロナ禍で倒れた多くの命への深い思いやりを含む。ゆったりとした三拍子のリズムと、シンプルな中に饒舌な感情を込めたピアノの音色、「僕は大丈夫だから」「安心してほしい」「強くなれたから」という、高い空の向こうに呼びかけるような率直なリリック。二人の人間性の深いところからにじみ出る、哀しいほどに美しいバラードだ。
そしてこのあと、4月23日にリリースされる第4弾シングル「温かなRoutine」については、BARKSインタビューコーナーにWSTの最新インタビューがアップされるのでそちらを読んでほしい。Shu Dosoは「毎日一生懸命働いて、社会を支えている人たちへの希望の歌」だと言い、Microは「たぶん世界一“?”が多い曲」で、「気づくための歌」だと言った。社会へのメッセージ、親への愛、そして働く者への応援歌。WSTのメッセージは常に具体的で、庶民的で、彼らの曲を耳にするすべての人の心にダイレクトにアクセスする、強い力を持っている。
12月までの残り8曲、WSTがどんな楽曲を届けてくれるのかは、良い意味で予測不可能。ただ一つ言えるのは、それが二人の人生哲学に裏打ちされた智慧のメッセージであり、この困難な時代を乗り切るための強い力をくれる、平和的かつ精神的なウェポンになりうること。そして楽曲制作のほかにも、海外進出、映像制作、ライブ開催など、ぶち上げた夢を叶えるための旅は始まったばかりだ。WSTが歩み続けるまっすぐな道の向こうに何が待っているのか、これから共に旅をしながら見届けてみたいと思う。
文◎宮本英夫
リリース情報
2021年1月15日(金)配信リリース
▲「Offshore 〜Cafe Latte Song〜」
「WHY」
2021年2月12日(金)配信リリース
▲「WHY」
「親孝行」
2021年3月19日(金)配信リリース
▲「親孝行」
「温かな Routine」
2021年4月23日(金)配信リリース
▲「温かな Routine」
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