【インタビュー】SHARE LOCK HOMES、“俺たちの丸裸なところを切り取った”名曲「おかえり桜」完成

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3月31日、SHARE LOCK HOMES(以下、SLH)が放つWhat’son Records × dreamusicメジャー第2弾シングル「おかえり桜」。SLHが自分たちの武器であるダンスを封印し、パフォーマンスではなく、楽曲で勝負をかけた本作が、文句なしの感動を呼ぶ“名曲”なのである。

◆撮り下ろし画像

SLHとしてはまさに絶好のブレイクチャンス。と、普通なら誰しもが思うところに、彼らはとんでもないことを仕掛けてきた。それは「おかえり桜」ミュージックビデオ公開1週間前のこと。SLHは自身のYouTubeチャンネルに、この曲をネタにSHIRAHANが他のメンバーに“ドッキリ”を仕掛けた映像「もしもMV監督の態度がめちゃめちゃ悪かったら…」を公開。この、千載一遇のチャンスを、名曲の感動を、下手すると台無しにしかねないこのプロモーションは果たして吉と出るのか凶と出るのか。新曲をネタにしたドッキリ映像の真相を含め、メンバーに「おかえり桜」について聞いた。

そうして、後日公開された「おかえり桜」のミュージックビデオ。感動して泣けた。ドッキリ映像とともにこちらも絶対に観て欲しい。


  ◆  ◆  ◆

■「もっと頑張ろうかな」「もう1回挑戦してみようかな」と思ってくれたらすごく嬉しい

──今回のインタビューは申し訳ないのですが、クレームから始めさせて頂きます。

全員:(なぜかワクワク顔で)いいっすよ!

YUMA:これは新しい切り口。クレームってなんすか?

──名曲じゃないですか。今回の新曲。

全員:ありがとうございます!

──にも関わらずですよ。曲が発売される前にYouTubeチャンネルでネタにしていまうって。これ、一体どういうことですか?

全員:爆笑

SHIRAHAN:もう何でもかんでもネタにする。

RYO:それがSLHです!
YUMA:あれは、僕らなりのプロモーションなんですけどね。トガってはいますけど。

──トガりすぎでしょ? いくらなんでも。

SHIRAHAN:あれがあることで、本当のミュージックビデオを観たときのギャップが狙えるんですよ。

──(取材時は本当のミュージックビデオは公開前)でも、あのドッキリで提示されてた“空中ブランコ”と“桜の妖精さん”。あれを超えるインパクトのある映像を見せるのって、相当ハードルが高そうな予感が。

RYO:確かに。俺はいまだに空中ブランコやりたい(笑)。

YUMA:これがあんま売れなかったらそっちのバージョン撮るか(笑)!


──えーっ。そんなオチまであるんですか?

SHIRAHAN:そこまでは考えてないですけど(笑)。でも、あのドッキリ映像を仕組んだ俺としては、あれを観たら俺らがミュージックビデオに対して、曲のこと、ファンのこともちゃんと考えながら真剣に取り組んでるというのがリアルに分かる。その表情が撮れたんですごい満足してるんですよ。

YUMA:俺なんか、マジでキレ顔見せてて。あれは編集前に見たら「ここカットね」といっちゃうぐらい本気で怒ってましたからね(笑)。

──みなさんのミュージックビデオへの真剣な取り組みはよく分かりました。けど、それをこんな名曲を使ってやっちゃいますかね。

SHIRAHAN:そこは照れ隠しです(笑)。いきなりこれを「はい、僕らの新曲です」って出すのは小っ恥ずかしいんですよ。だから、その前にワンクッション欲しかったんです。

──いやいやいや。でもこんな名曲ね、なかなか巡り会えない訳ですよ。

SHIRAHAN:そういわれるのは嬉しいんですけど、照れちゃうんです。それを隠すために逆にこっちはけなしたくなっちゃう訳ですよ。

YUMA:俺らの“あまのじゃく”なところがそうさせてるんです。

──ああー、SLHの性分なんですね。これは(笑)。

SHIRAHAN:はい。今回の「おかえり桜」は俺たちの丸裸なところを切り取った歌詞で、エモい感じに仕上がってるんですけど。俺ら色の曲かっていわれたら、違うじゃないですか。照れるのはそれもありますね。これまでとは違う曲なんで、この曲は完成するまでにすごい時間がかかったし。

──そうなんですか?

YUMA:はい。まず「おかえり桜」というタイトルは先行で決まってたんです。

RYO:次は3月か4月にリリースしようということだったんで、じゃあどういう歌にしようかっていう流れから、“俺らにはない春の曲にしよう”と。春にまつわるものというので、僕らの思い出の地には大きな桜の木があったんで「春といえばあの桜だよね」という話になって。“あの桜は常に変わらず、僕らを迎えてくれてたよね、それって「おかえり」っていってるみたいだね”ってところから「おかえり桜がいいんじゃない?」って。そうやって、まず最初にタイトルが決まったんですね。


──パロディを得意とするSLHだから、マンガの『ドラゴン桜』にかけての「おかえり桜」かと思ったんですが。

SHIRAHAN:じゃないですね。

YUMA:僕らが上京したときにみんなで住んでた(京王線の)仙川駅の前に、大きな桜の木があるんですよ。

──えっ(筆者は京王線在住)、あの桜がモデルなんですか。

SHIRAHAN:そうです。それで、最初に書いた歌詞は俺らの照れくささが出ちゃってたんですよ。なので、周りのスタッフといろいろ話しながら意見をすりあわせて、もんで。この曲をより多くの人に聴いてもらうために、自分たちが“これだ”って思うとこを踏まえつつ、これをみんなはどう思うかっていうのをスタッフに聞いて。あまり響かないっていう意見が返ってきたらそこは書き直して。だから、歌詞はたくさん書き直したし。メロディもたくさん作り直したんですよ。

RYO:サビだけでも2〜3回?

YUMA:8回は作り直したね。

SHIRAHAN:そこから1本を選んで進めてたのに、最終的にまた変わったりしたパートもあったし。かなり紆余曲折あった曲なんですよ。

KARASU:歌詞を書く前のプロットも4つぐらいありました。最終的には架空の話よりも実際のSLHの話を題材にしたものがハマるなってことになって。そこからみんなでバースを作っていくという作業をしましたね。

RYO:だから、いままでで一番時間がかかりました。

KARASU:たくさん試行錯誤したんですよ。憎しみが生まれるぐらい。産みの苦しみは今回が一番でした。

──そこまで時間をかけ、練った理由は?

SHIRAHAN:初めて聴く人たちにも届きやすくするための分かりやすさと、ファンだからこそ「分かる」と気づく部分。そういう作品の深み、みたいなものを視野を広げて作り込もうとしたからですね。だから言葉一つとっても、これはいるのかいらないのかとか。

KARASU:ここまで書くと「おかえり桜」じゃなくなるからタイトルごと変えようという意見も出るぐらい紆余曲折あって、帰ってきての……。

SHIRAHAN:「おかえり桜」です!


──帰ってきてくれてよかった。「おかえり桜」というタイトル、すごくいい響きですもんね。

SHIRAHAN:だから、いいっていわれると「そんなことないです」って否定したくなるんですってば(笑)。

RYO:しかも「パリ↓↑パニ」のときはこんなに褒めてくれなかったですよね……?

──うっ…(苦笑)。もう褒めません。

全員:(笑)。

──(小声で)こんなに名曲なのになぁ。

SHIRAHAN:ミュージックビデオ、凄いんで期待しててください。スタッフのなかには「泣いた」って人もいて。

YUMA:実際、俺らもアブなかったし。

──どんなミュージックビデオなんですか? 本物は。

SHIRAHAN:今回はいままでやったことのないドラマパートがあるんですよ。僕らではなくて役者さんに出演頂いてます。俺らがミュージックビデオ観たときの感想は、「俺らのシーンいらねぇからもっとドラマ見せろよ!」でしたからね。それぐらい素敵なものに仕上がってるんです。

KARASU:今回は原日出子さんにお母さん役で出演して頂きました。

RYO:夢を追いかけてる少女の物語なんですが、その少女が受けるオーディションの審査員には紫吹淳さんが特別出演してくださって。

YUMA:ストーリーは女性版の僕らの人生、みたいな感じなんです。

RYO:なんだけど、上京する前のところとか、仕送りの荷物が届いたりするところはミュージックビデオ観ながら「分かるわ〜」、「こんなのあったわ」って自分らも共感できて。

KARASU:涙腺がヤバかったです。

YUMA:間違いなく、このミュージックビデオを観たらお母さんに会いたくなると思います。俺、初めて思いましたもんね。「お母さんに会いたい」って。

RYO:実家帰りたくなるよね。

KARASU:あと、伝えたいのは、上京したときに思い描いてた夢を思い出してくれたらなってこと。バイトばかりで夢を追えなくなってしまった人が、これを観て「もっと頑張ろうかな」とか「もう1回挑戦してみようかな」とか思ってくれたら、すごく嬉しいですね。映像の中にはバイトしかできていない状況や、こんなことまでやっちゃダメってハラハラする場面もでてくるんですけど、実際、上京して夢を追うなかで、僕らも実際何度も心が折れたし、バラバラになったときもあった。けど、そのときのことを忘れずにいたからいまがあると思うんで。そういうことがギュッとつまった映像になってます。


──出演者も含め、こういうしっかりしたミュージックビデオがあるからこそ、ドッキリのネタにもできた訳ですね。

SHIRAHAN:そうです。あそこまで僕らがおちゃらけても、それをしっかり回収できるミュージックビデオになってますから。

YUMA:ただね、この本物のミュージックビデオを撮るときも「これ、ドッキリなんじゃねぇか」ってずっとビクビクしてました(笑)。

SHIRAHAN:ドッキリの撮影のあとに本物のミュージックビデオを撮ったんで、余計にね(笑)。

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