【インタビュー】爆弾ジョニー、背伸びゼロで作った自家製アルバム『H1OPE』
■幸せになりたいから(笑)
──まだみなさん、20代ですよね。
りょーめー:26、7歳ですね。
安田:まだまだですよね。
──自分で言う(笑)。でも、結成10年が経って、「やっぱりバンドって楽しいな」みたいな気持ちも反映されているような気がしますけど、そこは意識して曲を選んだのか、それとも無意識なのでしょうか。
りょーめー:さっき安田君が言ったように、背伸びをしてないCDは初めてなんですよね。これまではやっぱり、「これやってみようぜ」っていうのが1つあったんですけど、今回はCDを自分たちで出すということ自体が挑戦だったので。だから中身に関しては完全に素ですね。俺らが背伸びしたり戦略を考えずにCDを出したらこれになりましたみたいな(笑)。
──じゃあ、各々の中に洒落た曲調だとか泥臭い曲、スケール感のあるロックとか色んなものがあるという?
りょーめー:そうですね。そこはバラバラというか。4人が曲を書いてますし。そもそも、「こういう音楽をやろう」って結成されていないので。たまたま地元の友だちで集まったら結構バラバラだったので。それはもう、しょうがない(笑)。
──いや、それが面白いと思うんですよ。4MC&1ヴォーカルのHIP HOPユニット「あしあとJAPAN」の曲とか。
安田:あれはなんでやろうと思ったんだっけ?
りょーめー:「ギャルゲル」みたいな曲があってもいいんじゃない?って俺が言ってたんだよ。クロマニヨンズとライブを一緒にやったときの打ち上げで、甲本ヒロトさんに「爆弾ジョニーの曲で何が一番好きですか?」って聞いたら、「俺は「ギャルがゲル暮らし」かなあ」って。カラオケの音源でライブでもやってたんですけど、ヒロトさんにも言われたし、10年目だしそういう曲をそろそろやろうよって俺が言い出したのは覚えてます。
安田:今話していて、三部作にしようかなと思いました。「ギャルゲル」と「あしあとJAPAN」とあともう一発、ここ2、3年ぐらいで。
──「あしあとJAPAN」はどうやってできてる曲なんですか?
安田:ラップパートは僕がメンバーのことをイメージして書きました。
りょーめー:メジャーデビュー前に、なぜか安田君がトラックを作ってみんなでラップをするっていうブームがあって。そのときにタイチとか小堀(B)とかが言ってたことを引っ張り出してきたんだよね?
安田:メンバーに書いてもらった歌詞を2割ぐらい使って、残りは考えました。オケは完全に僕の宅録で、ボーカルもキョウスケの家でゴッパー(SM58)っていう1万円ぐらいのふつ〜のマイクで録りました。
▲写真右/ロマンチック☆安田(Key&G)
──こうして聞いてみると、曲を作ったものの出すところがない、みたいなものも多いんですね。
りょーめー:意外と多いんですよ。今回、5、6年前のものを引っ張ってきてますし。独立してから、追われるものがなくなって、その余裕で昔のお蔵入りの曲を聴いてみたらできるようになりました。常に何か新しいものをというよりは、10年分のお蔵入りが溜まってるから(笑)。それを振り返るタイミングにもなってますね。
──自分でも思いもよらなかった曲が出てきたり?
りょーめー:ありましたね。びっくりしました。僕たちは背伸びをしたかったんですよ、たぶん(笑)。
──なんで背伸びしなくなったんですか?
りょーめー:いやあ……幸せになりたいから(笑)。
安田:背伸びし続けてたら、続かないかもしれないなって、頭の中でちょっと思った気はします。背伸びするのはかっこいいんですけど。
りょーめー:でもそれが幸せかって言ったら別かなって。爆弾も色んなことを音楽でやってたんですけど、バンド名もこんなんだし、最初のアニメのタイアップの曲(『ピンポン』オープニング曲「唯一人」)とかもそうだったけど、「パンク、ロックンロールみたいなのだけやっとけば売れるんじゃない?」って言われても、そのときはそれをやりたいモードでもなかったんですよ。それをやって仮に評判が良くても、たぶん幸せじゃないなあと思って。今回はやりたいことをやって、結果評判が悪かったとしても、やりたいことをできたからいいなって。俺の中で天秤にかけたときに、そういう感じでした。
安田:僕も割とそうですね。20歳ぐらいの頃は幸せになりたい、とか考えたことなかったけど、今の話を聞いて確かにちょっと幸せになりたいなって(笑)。
りょーめー:10年経って、結成した頃に戻ってる部分もあるんですよ。でもなんか、ギラついた野心とか売れたいとか、そういうものはないですね。
安田:野心は、なくなりましたねえ。
──今、どうしてバンドをやってるんですか?と問われたらなんて答えますか。バンドをやってないと生きていけないとか。
りょーめー:いや、バンドをやらなくても人は生きていけますよ。何をしてでも生きていけるけど。ただ、俺らは5人のメンバーが今も生きていて、幸せな環境にあるからやるべきだと思う。別にこのCDが出たり爆弾が活動していることによって誰かが死ぬわけじゃないからいいかな、みたいな(笑)。聴いて気持ち良くなる人もいるかもしれないから。
安田:誰かが辞めたいって言わない限りは続けたいです。もともと目標がなかったんですよ。武道館でやりたいとか、そういうことが一個もなくて。
りょーめー:ただ純粋に音楽が好きなメンバーって、爆弾で安田君だけだと思う。
安田:爆弾にしかない音はあるので、それを自分が楽しいと思っているうちはやりたいですね。僕は、本当にトークライブをやったときに5人のバンド感を感じたんですよ(笑)。トークとライブを一緒にやったんですけど、最後に1人1曲ずつみんなカバーをやって。
りょーめー:俺はブルーハーツをやって、安田君と一緒にユニコーンをやって、キョウスケは斉藤和義かミスチルかみたいな。
──選曲がちょっと上の世代ですね?
りょーめー:確かに。でも、自分らの世代でかっこいいものよりそっちが好きで10代の頃から聴いてたし。いまだにそうだし。昔の音楽ばっかり聴いていると、音が悪いじゃないですか?だから、『H1OPE』は確かに最近の音楽と比べたら音質が変わってんなって思うけど、俺は日頃から昔の音楽しか聴いてないから、「音が悪い」って言われてもわかんないんですよ。「自分が好きな音楽と変わらない感じだけどなあ」って(笑)。ズレてるんだろうね、きっと。
安田:僕は最新の音、大好き人間なんで。
りょーめー:車でTWICEばっかり聴いてますよ。
安田:最近ちょっとハマっちゃって。ブルーノ・マーズとか、そういう洗練された音も聴くぶんには好きだけど、あの音になるのって、とんでもなくお金がかかるんですよ。だからそういうのは諦めて作りました。
──かといって、めちゃくちゃローファイにしよう、というわけでもなくて。
安田:そうなんですよね。それは、僕はあんまりできなくて。一応、ある素材の中で自分の中でちゃんとしよう、と思う方なので。
──「ディラン」なんかは音数が少ないですよね。
りょーめー:あれは一番、デモっぽいよね。
安田:これは一番りょーめーの注文が多かったですね。ざっくり説明すると、声の上のキツい部分をマイルドにしてたら、うるさくてもいいからそこは出してくれって。それとリバーブ感も全然なくていいって言っていて。結構刺さる感じのニュアンスはあるけど、でもそれがこの曲の良い形だったんじゃないかなって思います。
──ドライな音の感じが、乾いた風景を思い描けるところに繋がってる気がします。
りょーめー:良い風に言ってもらって、ありがたいですよ本当に。
──そういえば、最後に1曲ボーナストラック(「滑空キラー」)が入ってますね。
りょーめー:そうなんです、ファンからリクエストがあったから。ライブ盤で出してた曲なんですよ。スタジオで録った音源を入れてなかったから入れようと思ったんですけど、曲順を考えたときにあの曲を入れるところがなくて。それでボーナストラックにしました。
安田:「滑空キラー」は、活動再開したときの最初のライブの1曲目だったんです。そういうのもあって。キョウスケの曲です。
りょーめー:この曲を入れて、ちゃんと10年に触れた感じがする。
──これまで出てなかった曲を今回の『H1OPE』で発表したことで、また新しい展開になりそうですか?
安田:次のことも、考えてます。一回もやったことのない、セルフタイトルにしようかなとか。
りょーめー:ガッツリ、ちゃんと作品を作ろうと思って作ろうっていう感じです。今まではメジャーでやっててタイアップがあるからその曲を入れて、それを中心にどういう曲を選んでいくかっていうやり方だったんですけど、そういうのもないから。単純に、『爆弾ジョニー』っていうセルフタイトルの作品を作るとしたらどうなるかっていうのを作ろうかなって。
安田:今回の『H1OPE』も、曲があったからアルバムにしただけなんです。次はセルフタイトルで最初に決めてからやるのも面白いかなっていうのと、1回自分たちでやってみたから、次は人に頼んでもいいかなって。まあお金があればですけど(笑)。
──『H1OPE』を作ったからこそ、そういうことが考えられるわけですね。
安田:そうですね。やっぱり、1回やってみて良かったです。
りょーめー:うん、楽しかった。立ち返れたよね?『H1OPE』の中にある感じ以外は、爆弾はできません、みたいな(笑)。
──その中のどの部分に焦点を当てて、今後の作品が出てくるかっていう。
りょーめー:そういう感じだと思います。
安田:僕は「あしあとJAPAN」の方向性にしようと思いました(笑)。
──11月2日に<爆弾ジョニー結成10周年&「H1OPE」リリース記念ワンマンライブ>の東京編が新宿ロフトで行われます。この日は安田さんが鍵盤もギターも弾くんですね。
安田:そうです。久しぶりにやろうかなと。
──東京でもトークはやるんですか?
安田:いや、やらないです。たまにやるからいいんですよ。
りょーめー:そうそう。6年前にメジャーデビューしたときに、今でいうYouTuberのはしりみたいな人たちが出てきていて、「爆弾もYouTubeやれば?」とかいまだに言われるんですけど、そういうのってたまにやるからいいんですよね。前までは、仕事のことは会社の人がやって、爆弾は音楽とふざけることだけをやるっていう感じだったけど、今はそのふざける部分が、自分たちでCDを流通させるために動く仕事とかお金の管理とかに使う時間になっていて。だから、ふざけたいっていう気持ちがトークイベントのときに出たんだよね、たぶん(笑)。
安田:ああ〜、そうかもしれない。
りょーめー:俺は今後、3コードの簡単な曲、ロックンロールなアー写、パンクな曲とふざけることしかやりたくない。ちょっと、考えといて。
安田:なるほどね。そうやって思ってるんだって、思っておく。
りょーめー:ありがとう(笑)。
取材・文◎岡本貴之
3rd Full Album『H1OPE』
YSSK-0001 / ¥2,500+税
JAN:4522197135571
発売元:やさせかRecords
販売元:PCI MUSIC
[収録曲]
1.緑
2.明後日
3.stalking
4.ガンギマリサマーデイズ
5.めきめき
6.feel colors
7.パリピポ
8.歩く
9.あしあとJAPAN
10.ディラン
11.HOPE
12.たまらない日々〜情緒ver.〜
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