【インタビュー】爆弾ジョニー、背伸びゼロで作った自家製アルバム『H1OPE』
2019年に所属レーベル、事務所から独立して自主レーベル「やさせかRecords」を設立した爆弾ジョニー。バンド結成10周年を迎えた彼らが、独立後初となる3rdフルアルバム『H1OPE』をリリースした。分厚くて爽快なロックから、フォーキーで甘酸っぱい8ビート、哀愁漂うメロウなしゃれおつチューン、全員が楽器を置いてのHIP HOPまで、出るわ出るわ、まさに爆弾ジョニー10周年の総決算と言わんばかりに惜しげもなく出しちゃうこの感じ。レーベル業務からミックス等、自分たちで作り上げたというアルバムは、バンドとの距離をとても近くに感じられる作品だ。さらにすでに次回作の構想まである様子。りょーめー(Vo&G)、ロマンチック☆安田(Key&G)の2人にたっぷりと話を聞いた。
◆ ◆ ◆
■背伸びをしてないCDは初めて
──『H1OPE』がリリースされて2週間ほど経っていますが、完成した手応えはいかがですか?
りょーめー(Vo&G):音が良いものじゃないアルバムを作れました。
ロマンチック☆安田(Key&G):ははははは(笑)。
──そうなんですか?自分はすごく良い音だと思って聞きましたけど。
安田:好みが分かれると思います、これは。
りょーめー:音がバキバキしてない、デモっぽいCDが出せたことが嬉しいです。
安田:たぶん、お金がかかってる音が好きな人は、好きじゃないと思います(笑)。そういうのじゃなくて、という人たちは好きだと思います。爆弾がメジャーデビューしてからはちゃんとお金をかけて良い音でしか録っていなかったですけど、今は自分たちでやるようになってお金もないし、良い音を高いお金をかけて作るだけが正解でもないし、やってみようかなと思って。多くの工程を自分たちだけでやりました。
──ご自分たちで活動するにあたって、メンバーそれぞれの役割って決まってるんでしょうか。
安田:ざっくりですね。誰か1人がマネージャー、みたいなことは決まってないので。10年やってるとつながりもあるので、そのつながってる人が担当している感じです。今回のCDだと僕がレーベル業務と、デザイナーとのやり取り、ミックス、マスタリングのやり取り。ミックスはギターのキョウスケも何曲かやってます。最終的な判断はりょーめーが決めてます。
りょーめー:みんなでやってる感じが欲しかったから、今回は楽しくCDを出せました。
安田:曲も5人中4人の曲が入っています。クレジットはいつも爆弾ジョニー名義なんですけど、実際のところは「この曲はこの人が作った」というのは、はっきりあるんですよ。作詞作曲を1人でやってることもあるし、作詞作曲が別で曲ができているパターンもあります。1枚に全員分の曲が入ってるのは意外になかったかもしれないですね。
▲爆弾ジョニー/『H1OPE』
──今作を聴いて思ったのは、本当に色んな音楽ができる、なんでもできるバンドだなって。
りょーめー:ああ、ありがとうございます。
安田:とくに「この音しかやりません」みたいなことがないんです。音の個性がすごくて、「これしかやりません」みたいなバンドっているじゃないですか?僕らはたぶんそうではなくて。ただ、5人いるということが爆弾ジョニーかなっていう感じなんですよ。別に音を出していなくても、良いといえば良いかもしれない。5人がいれば。
りょーめー:トークショー、楽しかったもんね?
安田:大阪でトークショーと弾き語りライブをやったんですよ。それがなんか、バンド感あるなと思って(笑)。トークショーをやってるのに、たまにバンドでライブをやってるときよりも、バンド感があったんです。
──そのバンド感というのは、この10年で培ったものがある?
りょーめー:そうですね。最初は、音楽もそんなに知らないし、ただ暴れたいから、パンクバンドとして始まってるんですけど。安田君がさっき言ったように、「これしかやらない」というバンドが俺は昔は嫌いだったから、そうなりたくないと思っていろいろやってたんですけど、最近は「これしかやらない」っていうバンドにめっちゃ憧れています。今後、俺はもう3コードのパンク曲しか持っていかない。
安田:そうなの!?……まあいいと思います(笑)。
りょーめー:このアルバムを出して、俺はそういうことにした。今回、このアルバムを作ろうと思って録ったわけじゃないんです。2年前に、リリースをするかしないかで結局できなかったことがあって、でもリリースしたいから録りためていた曲の中から、選んだ感じなんですよ。10年目だし色々企画も組んでたんですけど、コロナでなくなったり延期になったりしたので、とりあえずCDだけ出そうということで。だからなんか、めちゃくちゃ“素”な感じです。「作品を作ろう」という感じじゃなかったから。10年目でこれが出せたのはすごく良いと思います。
安田:背伸びゼロですね(笑)。音も、作るプロセスも。
──それが、音のテイストにも表れたんですね。これまでだったら、この状態からさらに磨いてからリリースしていたということ?
りょーめー:まあ、そうですね。
安田:良い意味でちゃんと製品化してくれてましたね。
りょーめー:俺、今までのレコーディングのときも、ミックスしてないラフの状態がめっちゃ好きだったりしたから、その感じは出てると思う。ミックスをするとラフの良さが消えるときってあるじゃん?
安田:うん、ある。
りょーめー:俺はそれで、感動を失ったりしてたから。音に興味がないので、なんか「ウワ〜!」ってなった瞬間とかが、そのまま記録されている状態の方が好き。音を整えてないというか。
安田:割と、もうちょっと整えていても、やりとりしている中で「最初のままがいい」っていう意見もあったから、結果的に曲が原始的な状態になってます。だから面白いと思います。
──聴く人によって好みが分かれるかもしれないですね。
りょーめー:綺麗な整ってる音が好きな人は、「これ出して大丈夫?」って言うかもしれないと思いますよ。
──「ガンギマリサマーデイズ」を聴くと、ああ、すごく青春だなって思いました。
安田:「ガンギマリサマーデイズ」は地味に人気曲なんですよ。
りょーめー:これは、俺と安田とタイチ(Dr)の共作です。
安田:歌詞を3人で書いてます。
りょーめー:俺と安田の共作が一番「爆弾ジョニー感」があるよね。
安田:それはあります。「キミハキミドリ」っていう人気曲もそうだったり。この2人の共作のときは、オケを僕が作ってメロと歌詞がりょーめーということが多くて。今回のアルバムで言うと、「ガンギマリサマーデイズ」、ちょっとだけそうなっているのが「明後日」で、どちらかというと僕がアレンジした感じです。
──「作品を作ろう」という感じじゃなかったということでしたけど、1枚にまとめる上で考えたことはありましたか。
安田:う〜ん、まとめようと思ってなかったかなあ。
りょーめー: まあでも、音楽業界も大変な中で、こういうタイトルのCDを出すのは良いかなって。このアルバムの意味は、タイトルを付けるときに考えましたね。曲順を決めるときにはそこまで考えてなかったですけど、タイトルを考えたときに、多少世の中のことを考えました。
──このタイミングで新曲を書くと、どうしても世相を反映したものになったりもすると思いますが、その辺はいかがですか。
りょーめー:ああ〜、でも「ディラン」はそうかもしれない。
安田:「ディラン」が一番新しい曲ですね。コロナが始まってからバンドで合わせた曲で。あとはそれより前にできた曲です。
──「めきめき」は歌詞を見ると最近書いたのかなって思いましたけど。
安田:いや、3年ぐらい前の曲です。この曲はバンドが動いてないときに僕がたまに趣味でやる弾き語りで歌ってました。だからまあ、今と通じるやさぐれ感はあるかもしれないです(笑)。あと、「パリピポ」もそうですね。この2曲は僕が1人でやってたけど、特に出す場面もなかったから、じゃあ爆弾でやろうっていうことで収録しました。
──「feel colors」「パリピポ」と続くところは、哀愁があってアルバムの中の場面転換的な印象も受けるし、面白いですよね。
安田:たぶん、僕が1人で作るとそういう曲になりやすいんですよ。哀愁系になりがちです。
──安田さんは鍵盤もギターも両方弾くじゃないですか?こういう曲は鍵盤で作ることが多いんですか。
安田:いや、自分1人で作るこういう哀愁系の曲はギターばっかりで、りょーめーと共作するときは鍵盤とかベースで作ることが多いですね。
りょーめー:このアルバムは結構、安田君がギターを弾いてる曲が多くて。爆弾のメンバーとしての安田君(※安田は別バンドでも活動)は鍵盤のイメージもあるし、鍵盤を弾いた方が爆弾っぽさ、まとまりやすさがあると思うんですよ。でもキョウスケと安田君のギターが音楽的にまったくそりが合わないから。
安田:(笑)タイプがかなり違うんだよね。
りょーめー:だから安田君は爆弾では鍵盤。でもギターを弾いているのも好きだから、俺がソロをやるときに弾いてよっていう感じで(笑)。だから、趣味としてやるのと爆弾をやるときとのセパレートが俺と安田君にはありますね。
▲りょーめー(Vo&G)
──例えば、「パリピポ」だとミュートしたギターが入ってますけど、これはどちらが弾いているんですか。
安田:これは僕が弾きました。この曲は、音源だと僕のギターしか入ってないです。ライブのときはキョウスケにも弾いてもらいますけど。
──「めきめき」なんかもエモいギターソロが入ってますけども。
安田:あれも、僕です(笑)。あれは一番、頑張ってツインギターを考えたかも。ちゃんと2つの音がどっちも聞こえてギターのアンサンブルにしようという曲でした。「明後日」はもう、3本エレキです。僕とりょーめーとキョウスケが全員エレキギターを弾いてます。
──「明後日」はアメリカンロック的なスケール感が出てますけど、そういうところから来てるんですね。
安田:やっぱり、迫力出ますよね。
──こういう突き抜けた明るさと、「ガンギマリサマーデイズ」のような甘酸っぱさに青春を感じたのかもしれないです。
りょーめー:ああ〜なるほど。
安田:意外と、甘酸っぱ系の曲はキョウスケがミックスしていて、それもあるかもしれないです。
りょーめー:“一生青春男”なんで、彼は。
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