【インタビュー】工藤晴香が「世界に向けて伝えたいこと」

■タイトルは全然浮かばなくて

──では、ラップ以外のもうひとつの挑戦である工藤さんが初めて作曲を手掛けた曲「Magic Love」についても教えてください。ギターのカッティングも気持ちよくてアルバムの中でも明るいトーンのポップな曲ですね。

工藤：この曲もステイホーム期間に作ったんです。春で天気もよくて「外に出たいな。でも家にいなきゃ」と思ったときに外で遊ぶ子供たちの楽しそうな声が聞こえてきて「いいなぁ。私も子供の頃はあんな感じだったな」って考えていたんですね。「GROOVY MUSIC TAPE」にちょっと近いんですが、子供のときって何もかもが新しくて見るものすべてにワクワクして、毎日が冒険だったなって。何でもないことも楽しくて空き缶があれば無限に遊べるみたいな（笑）。「懐かしいな」って思ったのと同時にあの頃みたいに純粋な気持ちを曲や歌詞に落とし込みたかったんです。声優のお仕事が活きたのかもしれないですけど、ハッピーでピュアな気持ちのまんま歌詞はワーッて書き上げました。

──コロナ渦でも子供たちはタフだなって？

工藤：たくましいですね。声だけで元気をもらいました。

──ギターを弾きながらメロディを口ずさんだとか作曲方法は？

工藤：ギターを弾きながら鼻歌で作りました。Aメロ、Bメロって考えて作ったわけではなく、とにかくサビをたくさん作ったんですよ。その中からいちばんいいサビを決めて、さらにまたサビを考えて「ここはAメロに合うかも。ここはBメロにハマるかも」って組み立てていきました。

──シンガロングできそうなパートもありますしね。

工藤：そうなんです。ライブでみんなで歌えたらハッピーですね。みんなの笑顔が見えるって思いました。

──ちなみにアルバムのタイトルはなぜ『POWER CHORD』に決めたんですか？

工藤：タイトルは全然浮かばなくて「どうしよう」って悩んでいたんですけど、ちょうどギターを弾いたあとに、なにげなくマイナーコード、メジャーコード、パワーコードって言っているけど、パワーコードってそもそもどういう意味なんだろう？　と思って調べたんですよ。そしたら“力強くて純粋な音、混ざり気のない音”って出てきて「めっちゃいい言葉じゃん！　知らなかった！」って衝撃を受けてタイトルにしました。


──ポジティブなエネルギーが詰まったアルバムだし、ギタリストでもある工藤さんにピッタリのタイトルですね。工藤さんは10月度のD-PUSHアーティストなのでカラオケにまつわるエピソードもお聞きしたいのですが、カラオケボックスにはよく行かれますか？

工藤：学生時代はめちゃめちゃ行ってました。カラオケデビューは小学校6年生でしたね。浜崎あゆみさんとかジュディマリ（JUDY AND MARY）さんとかよく歌ってました。

──浜崎さんがブレイクしていたときですか？

工藤：そうです、そうです。ベストアルバム（『A BEST』）を出された頃だったと思います。「Boys & Girls」とかめちゃめちゃ歌ってました。

──友達何人ぐらいで行ってたんですか？

工藤：3〜4人だったと思います。あんまり大勢で行くと歌う時間が減るじゃないですか（笑）。ハマっていたときは学校の帰りに週4回ぐらい行ってました。今、振り返るとすごくませてたんだなと思いますけど。

──いちばん思い出に残っているのが小学生時代ですか？

工藤：そうですね。（思い出して）あ！　大学生のときもよく行ってましたね。終電逃して友達とフリータイムで朝まで歌ってたり。明け方になると眠くなってきてアーティストの映像やライブ映像を流して見てましたね。懐かしい！

──工藤さんの曲は展開が多くてカラオケで歌うのは難しそうですが、今作の曲を歌うなら、どの曲がお勧めですか？

工藤：ははは。難しいですよね。自分の曲をカラオケで歌ったことあるんですけど、ムズすぎてビックリしました（笑）。

──どの曲を歌ったんですか？

工藤：1stアルバムに収録されている「MY VOICE」です。「ムズっ！」って思ったんですけど、画面を見ると自分が映っていて「ウソでしょ!?」って（笑）。



──ははははは。最後にアルバムと今後のことについてBARKS読者に工藤さんからメッセージをお願いします。

工藤：アルバムを聴いてポジティブな気持ちになってもらえたらと思っています。これまではライブやイベントでファンのみなさんにお会いする機会も多かったんですが、なかなか難しい状況の中、「私は元気だよ。大丈夫だよ」って伝えたかった作品でもあります。あとはこんなに曲を作ったし、「いつかライブするから楽しみにしてて！」っていう想いを込めたので、実現したら足を運んでいただきたいなって。今はまだ以前のような日々が送れずに不安になる瞬間が多いと思うので、そんな中、忘れていた大事なことを思い出したり、未来の希望を見せられたらいいなという気持ちで作ったのでぜひ『POWER CHORD』を聴いてみてください！

取材・文◎山本弘子



▲『POWER CHORD』TYPE-A

▲『POWER CHORD』TYPE-B

▲『POWER CHORD』TYPE-C