【インタビュー】工藤晴香が「世界に向けて伝えたいこと」
“くどはる”の愛称でおなじみの工藤晴香が2ndミニアルバム『POWER CHORD』を10月7日にリリースする。大切な初期衝動やステイホーム期間中に聞こえてきた外で遊ぶ子供たちの元気な声、憧れたロックスターの今も心震わせる曲、人生いつでもスタート地点に立てるという信念、さまざまな想いが彼女の中からせきを切ったように溢れ出した結果が今作だ。リードトラック「KEEP THE FAITH」でラップに挑戦し、「Magic Love」では初めて作曲にトライし、新しい世界を提示して見せた。
工藤晴香は自分で自分を解放してあげることを知っているアーティストだ。キュートで涼しげな佇まいでロックミュージックという無限に広がる海を自由に泳いでいる。そんな彼女が生み出す音楽はインタビューで発せられる言葉とブレなく同期。カラオケの第一興商がプッシュするD-PUSHアーティストに選ばれた工藤晴香にミニアルバムのこと、カラオケにまつわるエピソードを語ってもらった。
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■世界に向けて伝えたいことが詰まっている
──2ndミニアルバム『POWER CHORD』の制作に入ったのは4月とのことですが、ライブができない状況の中、ステイホーム期間にどんなことを考えたことが引き金になりましたか?
工藤晴香(以下工藤):ずっとステイホームしていたんですが、家の中にいるのにメディアを通してコロナ渦に世界中で起きている出来事だったり、情報だけがどんどん入ってくる感覚があって「どうすればいいのかわからない」っていう葛藤と戦っていましたね。同時に自宅で楽しく過ごそうって読書したり、映画を見ていたんですけど、インプットばっかりでパンクしそうになったりして…。ニュースで流れるいいことや悪いこともふくめて全部が自分の中にドーッと流れこんできていたので、そういう日々の中で自分が感じたことや伝えたいことを歌詞にして届けたい気持ちがありました。1stミニアルバム『KDHR』は自己紹介的な作品というか“工藤晴香はこういう人ですよ”っていう内容だったんですけど、『POWER CHORD』には私が世界に向けて伝えたいことが詰まっていると思います。
──「激動の時代で私が感じたこと全てが詰まっています」と公式コメントにありますが、いちばん最初に歌詞を書いた曲とそのエピソードを教えてください。
工藤:最初に書いたのは1曲目の「GROOVY MUSIC TAPE」なんですが、世の中が大きく動く前だったので、この曲はハッピー100%のモードの歌詞になりましたね。『KDHR』をリリースする際にいろいろなメディアのインタビューを受けたんですが、音楽に出会ったきっかけや音楽に触れて感動したときについて質問されることが多くて、話している内に小さい頃の記憶が蘇ってきたんです。「初めてあの曲を聴いたとき、今すぐ走り出したいぐらいに感動したな」とか初期衝動を思い出して「それって誰もが経験したことなんじゃないかな」って。その気持ちを歌詞にできたらいいなと思って書きました。
──前回のBARKSのインタビューで小学生の頃のクリスマスプレゼントがラジカセだったって話してくれましたよね。
工藤:そうですね。「GROOVY MUSIC TAPE」は“音楽、好き!”っていう純粋な気持ちだけで書いたんです。初めてカセットテープで曲を聴いたときの思い出だったり、“知らない世界、キターッ!”みたいな感覚だったり。思い出したっていうことは忘れちゃってたっていうことでもあるんですよね。私みたいに音楽を聴くことが普通になっている人っていっぱいいるんだろうなと思ったので「みんな、思い出してみて!」っていう曲です。
──ちなみに当時、工藤さんが思わず走り出したくなった曲って?
工藤:えーっ(笑)。めっちゃ恥ずかしいですけど、福山雅治さんの曲ですね。家に友達を呼んでラジカセを囲んで、みんなで福山雅治さんのアルバムを聴こう、みたいなことをやってましたね。
──楽しそうな光景が浮かんできます。2曲目の「ROCK STAR」では憧れていたロックスターのことを歌っていますよね。あのとき受け取ったパワーを今度は自分が放つ番だっていうメッセージの曲なので1曲目と繋がっているのかなって。
工藤:その通りです。辛いときも悲しいときも楽しいときもつねに音楽がそばにあって背中を押してくれたし、支えてもらったので。これはステイホーム期間中に自分と向き合って書いた曲です。ずっと音楽に救われてきたので、いち表現者として私ができることってなんだろう? って。
──工藤さんはニルヴァーナのカート・コバーンに影響を受けてエレキギターを手にしましたが、ここで描いているロックスターとは?
工藤:ジョン・レノンさんです。私の部屋にはビートルズのポスターが貼ってあるんですけど、ジョン・レノンの曲って年月がたってもずっと新しいじゃないですか。いまの時代に聴いても感動するし、刺さってくる。そんな曲を聴きながら「もしジョン・レノンが生きていたら、どういう曲を作ってどういう言葉を発するんだろう?」ってずっと妄想していたんですけど、私も時代が変わっても輝き続ける曲を残せたらいいなって。ロックンロールとかパンクの出発点って不満だったり反骨精神だと思うんですが、原点回帰みたいな歌詞を書けたらいいなと思ったのでタイトルもストレートに「ROCK STAR」にしようって決めました。
──そんな背景があって生まれた曲だということも興味深いです。
工藤:最近、よくロックスターになりたがる人は少ないっていう話を聞くんですよ。そういうのは恥ずかしいっていうか。
──派手でオーラがあって影響力のある存在というイメージですものね。
工藤:ええ。私はロックスターになれるなら、なりたいんです。いい意味で影響を与える存在が夢であり、目標でもありますね。
──工藤さんらしいです。リード曲「KEEP THE FAITH」はたとえジグザグな道だとしても突き進もうというハイブリッドなロックナンバーに仕上がっていますね。
工藤:「KEEP THE FAITH 」では初めてラップに挑戦しました。2ndでは1stでできなかったこと、やらなかったことにチャレンジしたくて、もともとヒップホップも大好きなので自分から「ラップをやってみたい」って伝えたんです。やってみたら韻を踏まないといけないし、難しかったですけどね。ノリというかフローというか言い回しが特殊なので。
──こういう攻めのナンバーをリード曲に持ってくるのが、また、らしいです。
工藤:(笑)。リード曲の希望を聞かれたので「KEEP THE FAITH」って伝えました。
──歌詞を通して伝えたかったメッセージは?
工藤:“可能性に終わりなどない 数字で決めつけてく世の中に spit out”っていう歌詞がいちばん伝えたいテーマですね。「KEEP THE FAITH」には“意志を貫く”っていう意味があるんですが、私は常日頃から「年齢や数字で限界を決められがちな世の中だな」って感じているんです。「あの人、終わったよね」とか「あの人、もう無理でしょ」って勝手に決めつけることってあると思うんですけど、別の場所でまたスタートラインに立って新しいことに挑戦している人はたくさんいるし、自分の幸せは自分が決めることだと思うんです。なので、この曲には「生きていたら、いつだってスタートラインなんじゃない?」「いつだってスタートダッシュを切れるよ」っていう想いを込めました。それがどんなに困難なことでも突き進んでいくしかないっていう決意表明でもあります。
──工藤さんは以前からそういうことを考えていたんですか? それとも自粛期間に自分と向き合ったからこそ言葉になったことですか?
工藤:20代の頃は「まだ20代だし、やりたいこともいっぱいあるし、のんびり生きていこう」って思っていたんですけど、ある程度、年齢を重ねると自分は気にしていなくてもまわりが気にし始めるんですよね。「工藤さん、もういい年なんだから」って言われて「あ、そっか」みたいな(笑)。
──例えば「もっと大人な服を着れば?」ってアドバイスされたり?
工藤:そういう部分もありますけど、仕事自体にも年齢の縛りがあったりとか。エンタメ業界に限ったことじゃないと思うんですよね。でも、やってもみないで無理って決めつけるのも違うんじゃないかなって。私の友人たちも転職を繰り返す中で自分がやりたいことを見つけたりしているし、スポーツ選手も引退したってセカンドキャリアがある。自分がもともとポジティブっていうのもあるんですけど、可能性に限界はないと思うんです。勝手に「終わったとか言わんといて」っていう気持ちがありますね(笑)。
──そんな揺るぎない意志が刻まれた「KEEP THE FAITH 」のミュージックビデオの見どころを教えてください。
工藤:今回、全6曲のMVを撮ったんですが、その集大成が「KEEP THE FAITH」に詰まっているんですよ。
──というと?
工藤:それぞれ、いろいろなシチュエーションで撮影したんです。「GROOVY MUSIC TAPE」が部屋で「ROCK STAR」が無機質な空間、「君へのMHz」ではアクリル板の中に閉じ込められて、「Magic Love」はネオン街で「My Story My Life」は未来っぽいシチュエーション。「KEEP THE FAITH」は、それら全部の要素が入った映像になっています。
──いろんな曲のシーンがミックスされているということですか?
工藤:そうなんです。「KEEP THE FAITH 」だけ見ると“ほかのMVはどんな感じなんだろう?”って気になると思いますし、逆に最後に「KEEP THE FAITH」を見たら“これはあの曲のあのシーンだったんだ”って発見があるのでビックリする場面が多いんじゃないかなって。実は私自身も撮影中はどういう映像になるのかよくわかってなかったんですよ。いろんな場所ですごいスピードで着替えてめまぐるしく進んでいったので、完成したあと「そういうことだったのか」と思いました。
──M-CARDがパッケージされている〈TYPE-A〉をゲットすると全貌がわかるわけですね?
工藤:そうです。6曲で1つのストーリーになっていると思います。
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