【ライブレポート】ゴールデンボンバー、梅雨明けに射した4つの太陽

長い長い梅雨が明けた8月1日、ゴールデンボンバーが初の有料無観客ライブ＜ゴールデンボンバー有料無観客ライブ「去年の無人島より100倍マシ 〜電気があるって素晴らしい〜」＞をニコニコ生放送で生配信した。

◆ライブ画像（全7枚）

新型コロナウイルス感染症の影響により、3月から7月にかけて開催予定だった全国ツアーが2021年に延期となったゴールデンボンバー。ネットでもテレビでも暗いニュースが飛び交うなか、先日放送された100日ぶりの出演となった音楽番組では、手筒花火を抱え、大量の火の粉が降り注ぐなかで「女々しくて」を披露するという衝撃のパフォーマンスによって日本中を笑いに包んだことは記憶に新しい。

7月31日には、前夜祭として2017年のライブ映像の無料配信が行なわれた。「笑いすぎて顔が痛い」なんて状況になったのは、一体いつぶりだろうと感じるくらいに笑った。

期待に胸を膨らませて迎えた無観客ライブ配信当日。冒頭では、鬼龍院翔がひとりで登場し、徹底した安全対策のうえでライブに臨んでいることがアナウンスされた。ステージ上の音量は下げて会場の扉は開けたままにすること、空気を滞留させないためにステージ上に大きな扇風機を二台設置していること、公演に関わるスタッフ全員が抗体検査を行なったこと、メンバー4人とマネージャー4名は自費でクリニックを予約の上PCR検査も受けたこと、その結果が陰性だったこと。

検査結果の書類画像までが画面に表示され、「安全対策をどのくらい施しているか知っていただいたうえでご覧いただくことも、重要なことではないかなと思ったので、ライブに先駆けてお伝えさせていただきました」と律儀に説明したうえでライブがスタートした。

「本日は精一杯、安全にふざけさせていただきます」


鬼龍院が一旦ハケ、SE「ワンマン不安」とともに樽美酒研二、歌広場淳、喜矢武豊、鬼龍院の順でメンバーがステージに現れた。1曲目は「#CDが売れないこんな世の中じゃ」。鬼龍院のマイクには飛沫感染防止のための覆いがついていて、ドラムの前には透明なアクリル板が設置されていたが、そこからは「いつもどおり」だった。

無観客ライブで気になるのは、演奏後に無音になってしまうことだ。観客がいないため、なにも反応が起こらない。しかし彼らは、過去のライブでの観客の歓声と映像を効果的に差し込んだり、鬼龍院の足元に用意されたサンプラーで歓声を自在に鳴らしたりして無音をカバー。無観客による寂しさを感じさせないための工夫が施されていた。

演出もいつもどおり。スイカの早食い、Tバック＆ブラジャー姿、トイレからのリモートギターソロ（タイムラグあり）、池袋西口でカラーギャングに襲われながらもハンバーガーを買いに行く、一見裸に見える状態での歌唱などなど、字面だけではなんだかよくわからない、いつものネタが満載だった。





ライブが始まる前は不安だったそうだが、3曲目のあとのMCでは「わりといつもどおり」と安心した様子の4人。「ゴールデンボンバー、新しい世界見つけちゃったんじゃない？」と樽美酒が言う。本当にそのとおりで、違和感がまったくない。いつもの4人がいて、こちらに歌いかけ、語りかけてくれる。のびのびと自由すぎる姿を見ているだけでなんだか安心できた。

喜矢武、歌広場、樽美酒はバラード曲披露時に「長いよ〜」「二度とやるなよ」なんて言ってたけど、ゴールデンボンバーは聴かせる曲も秀逸だと思う。「ドンマイ」「らふぃおら」、そして「イヤホン」では、心の傷を癒やすような歌詞が刺さった。悲しみは音に消え、優しい言葉はネット越しにわたしたちに届き、笑顔にしてくれた。

本編ラストの「女々しくて」ではバズーカによる金テープ発射の演出があった。それと同時に画面にはQRコードが表示され、アクセスすると4人のメッセージが書かれた金テープの画像が表示されるというサプライズには驚いた。未来を見据えたメッセージに心が温まり、「本当に届いた」と思った。


エンディングでは過去のライブ映像と今回の無観客ライブのリハーサルの様子を織り交ぜた映像が上映された。エンディングテーマとして新曲「夜明けの待人」が使用され、歌詞に込められた、再会へ向けた約束の言葉に自然と涙がこぼれた。

無観客だろうがなんだろうが関係ない、彼らのエンターテインメント力に改めて脱帽した約2時間だった。様々な場所で厳しい状況が続いてるいまだからこそ、「笑いを届ける」という彼らの活動におけるポリシーがひときわ輝いていたと思う。

不安の雲を取り払い、じめじめした気持ちを吹き飛ばしてくれたゴールデンボンバーは、まるで太陽のようだった。

文◎高橋ひとみ（BARKS）
撮影◎菅沼剛弘