【インタビュー】秦 基博、特番『LIVE SPECIAL』放送前に語る「“自分がライブを作る”ということ」

■自分がやりたいことを常にイメージしながら
■裏切ったり受け入れたりしていこうと思います

──その美しい光景は、ぜひ番組で確かめていただきたいです。で、これが3年前のライブで、その後にはベスト盤『All Time Best ハタモトヒロ』を出したり、去年はオリジナルアルバム『コペルニクス』を発表したわけですが。このところはどんな活動をしていますか？

秦：活動というか（笑）、ほんとだったら『コペルニクス』の全国ツアーが終わってるはずの時期なんですけど、ライブができなかったので。“だったら曲書くか”っていう感じで、制作活動をしています。

──それは主におうちで？

秦：そうですね。あとは『evergreen2』という弾き語りアルバムを作ることも発表したので、その制作だったり。その両方をやってる感じです。

──『evergreen2』に関してはリクエストを募っていますよね。ファンからの声はもう届いていますか？

秦：もうだいぶ。“あ、こういう曲が選ばれるんだな”みたいな。わりと順当に思えるものもあれば、“意外と食い込んできたな”とか（笑）。まだ定まってないんで、最終的にどうなるかはわかんないですけど、上位のほうはわりとイメージできるものが並んできてますね。弾き語りに似合う曲というか。

──その一方で、先ほどのツアーは10月から来年にかけて延期されています。つまり新しい可能性に挑んだ『コペルニクス』を世に向けて見せていく場所がまだ作れていないわけですよね。

秦：はい、そうなんですよ。ほんとはツアーで作った曲に答えをもらえるというか、それで(ライブで演奏することによって)完成するって、よく言いますけど。

──それはお客さんのリアクションだったりで。

秦：そうですね、お客さんの前でやってみて、“あ、この曲ってほんとにこういうものだったんだ”と知るので。だからそういう意味では『コペルニクス』はちょっと宙に浮いた状態ではあるんですけど。まあ、でも自分なりにこのアルバムの意味を捉えようとしたり。あと聴いてくださった方からの感想とかリアクションが返ってきてるんで。そういったものの中から次を考えています。

──『コペルニクス』はほんとに意欲作ですよね。秦くんはもう中堅からベテランと言っていいくらいのキャリアなのに、そこで定番めいたものを作るのではなく、新しい自分に向かっていってるのが素晴らしいなと思いました。

秦：ありがとうございます。そうですね……まあ同じことをやってもつまらないというだけなんですけどね。自分の中で。やっぱり自分にとっても新しい音楽を作りたいし。まだ10何年しかやってないですけど、自分らしさとか、秦 基博らしさって、自分の中にもあるし、聴いてくださってる方の中にもどんどん出来てきてると思うんです。で、それがすごくいい時もあれば、ある意味、足かせになる時もあって。“次、何やるんだろう？”って思ってもらえてたほうが自分にとってもいいな、という。“ああ、秦 基博ってこういう感じか”って決まっちゃうと、つまんないなと思うので。まあ、その中で“新しいことしました”と言っても、“でも秦 基博らしいな”と思われることもいっぱいあると思うんですけど。自分の中では、それはやり続けたいなと思ってます。


──はい。アルバムでは、それがいいバランスでせめぎ合ってる気がします。

秦：うん。求められてるものと、自分がやりたいことを、つねにイメージしながら。裏切ったり、受け入れたりしていこうと思います。

──この自粛期間中も、センスがより研ぎ澄まされてることが感じられる発言ですね。

秦：あははは！ どうなんだろう？ いやぁ、鈍ってる可能性もありますけど……わからないですね（笑）。

──その成果がツアーや『evergreen2』、そしてゆくゆく聴けるであろう新曲で確かめられたらいいなと思います。

秦：そうですね、うん。僕もそう思います。今日はどうもありがとうございました。

取材・文◎青木 優
撮影◎中川容邦




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