【インタビュー】秦 基博、特番『LIVE SPECIAL』放送前に語る「“自分がライブを作る”ということ」
■<Visionary live>は<GREEN MIND>と対極
■映像演出を盛り込んでライブを構築した
──秦くんのライブの作り方が熟成されていったわけですね。あと、この2010年の時、MCでお客さんとの雰囲気がすごく良くて、安心して見ていられたのを思い出しました。
秦:あ、ほんとですか(笑)?
──秦くんが初の日本武道館公演をしたのはこの前年だったんですね。それまでは会場がだんだん大きくなるにつれ、毎回ハードルを上げてる感じがあって。その間はいろいろな面で、ちょっと大変そうにも見えたんですよ。
秦:そういう意味では、会場の大きさと自分のライブをどうコントロールするかというのが追い付いてない場面もあったと思います。ただ、先ほどの2009年の弾き語りをやったことで、“自分がライブを作る”ということをすごく体感したんで。そこからライブに臨む感じが変わったのかもしれないですね。
──それでMCも上手になったと。
秦:上手と言うのか、わからないですけど(笑)。とにかくおかしな間(ま)を作らないとかですね。それまでって、お客さんが不安になるような間が空いたりしたと思うんですよ。それがだんだん減っていったのは、その武者修行のおかげかなと思います。
秦:この時は、<GREEN MIND>とは対極のところをやろうとしたと思います。<GREEN MIND>ではいろいろな要素を削ぎ落として、演出のようなものがほぼなくなっていくようなライブを追求していってたんですけど、2013年の『Signed POP』は自分にとってのポップを追求したアルバムで、ちょっと外に開いていくようなモードがあったんですよね。そこで映像の演出を盛り込んだライブを構築するというのも、自分の興味としてあったと思います。
──それで映像作家の島田大介さんに声をかけたんですね。
秦:そうですね。特にあの時期の自分にとっては、映像といえば島田さんだったので。このあとの横浜スタジアムのライブもそうですけど、すぐに島田さんに相談して、どういう世界観がいいかというアイディアをたくさん出していただきました。ああいう衣装というか、ライブ全体の世界観とか、ダンサーの方がいることとか……それも島田さんの発案です。だから映像だけじゃなくて、ほんと、演出として関わっていただいた感じでしたね。
──ストーリー仕立てになっているところだったりも?
秦:はい。で、当時、「Girl」という曲のミュージックビデオを島田さんに撮っていただいてるんですけど、それも<Visionary live>をやることが決まってて、どこかリンクするようなものができないか、というところがありました。そのMVの中に出てくる小さな女の子がバレエを踊ってるんですけど、その子が大人になって実際に<Visionary live>の場に現れて踊る、みたいなストーリーになっていて。だから、つながってるんです。その年をかけて、<Visionary live>に向けて作っていったような感じでしたね。
──映像もプロジェクションマッピングがあったり、凝った演出がなされてますよね。そこも島田さんの発案だったんですか。
秦:そうですね。プロジェクションマッピングでできたらいいなというのは、僕もなんとなく思ってたんですけど、どういうことができるかとか、何に投射してどんなふうに演出するかというのは、島田さんのアイディアです。
──そうですか。秦くん自身はどのぐらいアイディアを出したんですか?
秦:いやいや、映像の演出に関しては、ほとんど島田さんでした。“自分にこういう世界観があって”ということじゃなくて、島田さんとどうやって音楽を通してコラボレーションするか。もしくは、自分の音楽から何を想起して演出してくれるか、ということでしたね。で、その中でコミュニケーションしていくというか……。たとえば“じゃあダンサーが出てくるなら、音楽的には、どういう流れがいいかなとか。あと、「Dear Mr.Tomorrow」の時に、舞台上でちょっと移動して、マッピングでランタンみたいなのを出すとか。そういうふうに「このタイミングで移動して、そこで映して」みたいなことは話し合ったかもしれないです。
──で、そういう演出もですけど、この時のバンドとの演奏もすごくいいですね。
秦:そうですね、かなり鉄壁だった記憶があります。長いツアーをやったこともありますし、メンバー的にもスキのない方たちが集まったようなスーパーバンドだったし。そういう意味での安心感はすごくありました。このライブ自体は少ないシリーズでしたけど……神戸と横浜という、どちらも港町でやったんですよね。
──あと、この12月18日の横浜公演は、WOWOWでは生中継だったんですよね。それはどうでした? 当然、やるほうにはプレッシャーですよね?
秦:ああ、そうですね、そういう意味では。でも、あまり生のことは気にしないようにしようと思ってましたけど。ただ、“まあ自分はいつも通りライブをやればいいかな”っていう。ふだん収録が入ることはあるので、それがそのまま世に出るかどうかだけで(笑)
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