【ライブインタビュー】7ORDER、“中二病の夢”満載の胸躍るデジタル・エンターテイメント
音楽、演劇、アート、ファッションなど、多岐にわたる活動で注目される7人組クリエイティブチーム、7ORDER。彼らにとって初のデジタルショー<UNORDER>が7月17日(金)に開催された。「AR技術を駆使した未来型都市空間に降り立ち、新たなエンターテイメントの世界を創り上げる」というコンセプトのもと繰り広げられたのは、未発表曲や音源化していない楽曲を多く含む全14曲を中心に、ダンス、バンド、トークやゲームコーナーなど、デジタルとアナログで緩急をつけた、とても自由なエンターテイメント空間だった。そんなデジタルショーを終えたばかりのメンバーをキャッチし、ロングインタビューを敢行。彼らがUNORDERに賭ける想いやその裏話、ステージに立つ人間としてのポリシーや、理想のエンターテイメントなど、じっくり話を聞いてきた。
──今回配信された<UNORDER>は、「配信ライヴ」というよりは「デジタルショー」なんですよね。
安井謙太郎:そうですね。やっぱり「ライヴ」はお客さんと作るものだと思うので、今回は敢えて「デジタルショー」という言い方をしています。
──なぜデジタルショーを開催しようと?
安井:新型コロナウイルス感染症の影響でスケジュールが全部リセットになってしまって、インターネットを通して届けられるいい方法はないかな?とずっと考えていたんです。そんな時にご縁があって、制作チームに声を掛けていただきました。スタッフさんとの打ち合わせで「こういうことができます」「こういうことをやってみたら面白いと思います」というご提案をいろいろいただいて、「あ、未来っぽいな」と感じたんですよね。それで「未来」がひとつのキーワードになって、結果的にいろんな世界観が入り混じったデジタルショーになりましたね。
萩谷慧悟:でも急遽決まったこともありスケジュールがタイトで、いろんなことを同時進行していきました。メンバーで分担して仕切っていって。
──たとえばどんな役割分担が?
萩谷:僕はドラムを担当しているので、バンドリハとかで楽曲制作を主にしているさなぴー(真田)の提案を採り込んで、みんなに提案をしながら意見交換をして空気感を作っていって。
真田佑馬:UNORDERで披露した曲は、舞台で使ったソロ曲を7人バージョンにしたものもけっこうあって。スタッフさんのサポートのおかげでスムーズに進められましたね。
森田美勇人:僕は衣装とダンスですね。UNORDERの衣装は全部このために作ったもので。衣装さんに手伝ってもらいながら、いろいろとアイデアを出して作っていったんですけど、納期がかなりヤバくて(笑)。
萩谷:メンバーみんなの「こういうのがいい!」を、美勇人が1回まとめなきゃいけないからね(笑)。
森田:それを短期間でやらなきゃいけなかったのでシビアでしたね(笑)。でもそのおかげで自分たちが納得のいく衣装でパフォーマンスができてうれしかったです。
──中盤のゲームコーナーは諸星さんが担当なさったと<UNORDER>の中でもおっしゃっていましたね。
真田:YouTubeの企画もモロ(諸星)が出してくれることが多いんですよ。
諸星:「こういうことやってみない?」とプレゼンするのって楽しいんだなあと最近になって気付きました。UNORDERのゲームコーナーが固まるまでには紆余曲折あって、最初はカードゲームの予定だったんです。でもみんなで1回試しにやってみて、「UNORDERでやるならもっといいゲームがあるよな」と思ったらまた違うゲームにトライして。「叩いて被ってジャンケンポン」もしてみましたね(笑)。
安井:モロは在りものにオリジナルルールを採り入れるのがうまいんですよ。YouTubeにアップした人狼ゲームもそうだったし、今回の「気配斬り最強王決定戦」でも途中でボールや盾が投げ込まれるというルールを採り入れて、それがちゃんとゲームとして成立してるところがすごい。人狼ゲームに関してはもともとそういうルールだったんじゃないの?って思うくらい自然だったから(笑)。
諸星:(笑)。でもそれは「みんなが面白くしてくれる」っていう絶対的な信頼があるからね。
──「気配斬り最強王決定戦」に出てきた盾や、トーナメント表に使ったメンバーの似顔絵は長妻さんのお手製なんですよね?
安井:あの盾はすごかったね。『ゼルダの伝説』に出てくるハイラルの盾みたいでさ(笑)。
森田:ちゃんとした文房具屋に行ってたもんね(笑)。完璧すぎてもう防水だもん。
長妻怜央:2日間で徹底的な盾を作りました(笑)。ものすごく頑丈なのであのまま闘いに行けるレベルだし、水中戦もいけるかも(笑)。段ボールでかたちを作って、最初使ったテープが全部剥がれちゃったから、文房具屋さんで買ったちゃんとしたガムテープでがっちがちにして。材料があればなんでも作れるんだなって思いましたね。
萩谷:模範となる設計図がない状態であそこまで緻密なもの作れるんだから、もう舞台の小道具さんと同じだよね。あんな盾作るやつが小学校にいたら、間違いなくヒーローだよ。
諸星:そのわりに盾がモブキャラになっちゃって申し訳なくて…(笑)。
安井:モロがドンキで買ってきたボールがルール上で最強すぎたからね(笑)。
長妻:いやいや(笑)。ゲーム企画を盛り上げるお手伝いができたのはうれしかったし、ああいう立体的なものを作るのは初めてだったんですけど楽しいんだなって。なんとなく折ったら盾っぽくなりました。
萩谷:あれ長さ計ってなくて感覚なの?すげえ!
阿部顕嵐:こんなふうにみんなが取り仕切ってくれたので、僕はそれらにいろんな意見を言いながら全力でパフォーマンスをがんばる部門を担当しました(笑)。7ORDERはいつもそれぞれ担当しつつも全員で意見を言い合いながら作っていくので、みんなで作ってるって感じですね。ライヴタイトルもみんなで出し合って、話し合いの末決まったものだから。
──<UNORDER>というタイトル、シンプルかつクールで潔さがあると思います。
諸星:萩ちゃん(萩谷)が考えたタイトルなんですよ。僕の出した「DIGITAREAL」とどっちにするかというなかで、最終的に<UNORDER>に決まりました。
萩谷:無観客のステージを配信するっていう状況が、オーダーされているようでいてオーダーされていないと思ったんですよね。あとはこのデジタルショーが「予定になかったこと」だったことと、「予定調和ではないステージ」ということで。
長妻:ちなみに「ギガギガフンフン」というタイトル案もありました(笑)。
安井:特別枠でね(笑)。俺とモロが「採用しなくていいからギガギガフンフンを最終候補に残しておいてくれ!頼む~!」ってお願いして(笑)。
諸星:明るい未来が待ってそうなエネルギッシュなタイトルだからって(笑)。
──(笑)。どんなことを決めるのもメンバー全員で楽しんでいるんですね。
真田:7ORDERすべての活動に言えることですけど、自分たちだけではできなかったと思います。UNORDERはスタッフさんとキャストが一丸となって作った作品で。このスピード感で完成させられたことも含めて、周りのスタッフさんのおかげです。
──UNORDERはメンバー7人が一丸となってクールなダンスを繰り広げる、エッジーなエレクトロナンバーやEDMなどで幕を開けます。ああいうお客さんのいない広い会場で本番のパフォーマンスをしてみて、いかがでしたか?
真田:やっぱり、寂しかったですね。
全員:(頷く)
真田:やっぱりお客さんと一緒にライヴをする瞬間が、僕たちとしてもいちばん楽しいので。目の前の景色がガランとしているのは、やっぱり不思議な感覚でしたね。でもデジタルショーだからこそお客さんは全員最前だし、全員同じ位置にいるということでもあるので。
萩谷:画面越しに人はいるけれど、僕たちは誰もいない空間にいる…そういう環境に身を置いて、今まで本当にファンのみなさんの反応が一緒に作品を作ってきてたんだなとめちゃくちゃ痛感しました。僕らは観に来てくださった方々にめちゃくちゃ助けられてきたし、いるといないとでは俺らの自信がこんなに変わるんだなって。
安井:だからこそ「デジタルショーでできることをやろう」という気持ちが高まりましたね。あの照明の位置はお客さんがいる状態では配置できないものだし、「配信ライヴというものの新しい提示になったらいいね」という話はしてました。前向きにいろんなことに取り組んだと同時に、萩谷の言うとおりお客さんのパワーを改めて痛感しましたね。
──阿部さんがMCで「お客さんが客席にホログラムで映し出されたらいいのに。僕はそこを駆け抜けたい」とおっしゃっていたのも印象的でした。
阿部:そういうこともいつかできるんじゃないかなと思ってるんですよね。(ファンの)みんなが自宅にカメラを置いて、その姿が空間に投影されてほしい。
萩谷:一家に一台そういうカメラを置いておく部屋ができる日が来るかもね。
安井:そうだよね、ひとり1台スマホを持ってる時代だもん。この先もっとデジタルが進んで、これから生まれる子たちや思春期を迎える子たちは、デジタルのコミュニケーションや環境が当たり前だと思うんです。僕らはデジタルとアナログの狭間の世代だから、デジタルもアナログも両方やりたいんですよね。両方のいいところを取り入れたい。
──UNORDERのアナログ最高峰が「気配斬り最強王決定戦」でしょうか。
安井:僕らも配信された映像を観たんですけど、気配斬りの尺…長いですよね(笑)。全体の3分の1が気配斬りってやりすぎじゃない?
森田:チャンバラの音が鳴ったりして、フロアの平場で手作りの剣と盾持ってコートを作って「なにが未来都市空間だよ!」って感じだよね(笑)。嘘つきだと思われるかも(笑)。
萩谷:いや、1周まわって未来ではあれが流行ってる可能性がある(笑)。
真田:やっぱり気配斬りは、安井謙太郎がちゃんと正式にリーダーが決まったことが本当に嬉しいですね。
──最終決戦は最年長vs最年少。突如「勝ったほうがリーダー」というルールを設けることになり、そんななかしっかり最年長の安井さんが勝利を収めてリーダーに就任という、見事な物語ができました。
安井:もちろん仕込みなしですから、試合の感じとかいろいろ全部、あんなにいい感じに進むなんてほんと思わなくて。
諸星:「頼む謙ちゃん、絶対に勝ってくれ!」とずっと祈ってたので、勝ってくれてほんと胸を撫で下ろしました(笑)。最後ボールで仕留めてくれたのも、オリジナルルールを活用してもらえて良かったですね。
萩谷:そもそも誰が「勝ったほうがリーダー」って言い出したんだっけ?
安井:俺だよ。最後の盛り上げを作ろう!と思った結果、自分を追いつめた(笑)。だから「絶対に勝たないと!」って気持ちで臨みましたね。
萩谷:ガツを応援してる人、誰もいなかったね(笑)。
長妻:大丈夫。最後のひとりになっても、俺には俺がついてるから(笑)。
安井:「俺には俺がついてる」ってめちゃくちゃパワーワードだな(笑)。ああいう予定調和にならないものが1個入ると面白いよね。
萩谷:うん。まさしく<UNORDER>!
──UNORDERの名付け親からものすごいドヤ顔を頂きました(笑)。7ORDERの自由なエンターテイメントが存分に発揮できた、おっしゃっていたとおりデジタルとアナログのいいところを取り入れた1時間半だと思います。
安井:あれがやりたいこれがやりたいといろいろ提案したけど、準備期間もタイトだったしぶっちゃけ「半分実現すればいいかな」くらいの気持ちだったんですよ。でも本番ではほとんど実現できて正直びっくりしました。だから僕らも「これだけいいものを用意してもらえたんだから、それに応えないと」という気持ちが湧いて、終わった時に今までにない達成感がありました。
萩谷:終わったあとはしゃぎすぎてたもんねー(と言いながら森田を見る)。
長妻:やっぱりキャストがはしゃがないとスタッフさんもはしゃげないじゃん。美勇人さんはムードをメイクしてくれたんだよ(笑)。
萩谷:ムードをメイクしすぎて、美勇人は最終的に「帰りたくない」って言ってました(笑)。
森田:やっぱりタイトなスケジュールのなかデジタルショーを完成させた、やり遂げたっていう緊張が解けた瞬間で。すっごい飲んじゃいました(笑)。すっごいシャンパン飲んじゃった(笑)。そういうのもすごく楽しかったです。
──AR技術とみなさんの動きが融合するシーンは、やはり目を見張るものがありますね。「ダンスナンバー」でのコインを投げるシーン、しっかりきまっていて。
安井:あれすごいですよね。これに限らず、こちらが提案したらARチームが「こういうことができます」と返してくれて、そしたら照明チームが「じゃあ照明はこうしたらどうでしょう」と意見をくださって、「こうするならここは照明で空間を作って、ARは引きましょうか」というふうに、それぞれの部署で提案し合ってる感じがすごく面白かったんです。
真田:「27」で星空が広がるシーンもうれしかったですね。ライヴハウスに星空が広がるって感動的だし、上になにかが浮いてたりシャボン玉が飛んでたり。パフォーマンスをしている俺らは見えないんだけど、カメラを通した映像を見たら本当にその光景が広がっていて、「自分たちの頭上には本当に星空がある」と信じて演奏できましたね。楽しめるところがいっぱいあると思います。
安井:個人的に案を出して感動したのはオープニング。光が粒子になって巨人になっていくっていう…あれは僕が想像してたとおりなんですよね。
萩谷:最初に口で説明されたとき、ヤス(安井)がどんなものをイメージしているのかぼんやりとしかわからなかったんですよ。でも完成したものを見て、ヤスの頭のなかにはこいつがいたんだ!と知ったというか。
安井:そうだね(笑)。イメージを汲み取ってかたちにしてもらえたことが、本当に感動的でした。映像を通したものだからこそできることにしたくて、僕らの登場も人体が構築されていくようなものにしたかったんですよね。それが叶ったのが、本当にうれしい。
──お話を伺っていて気付いたんですけど、UNORDERは全編通して男の子の叶えたい夢や美学が詰まってませんか?
阿部:えっ、どういうところにそれを感じました?
──安井さんがおっしゃったオープニングの巨人も長妻さんが作った盾もそうですし、ほとんどの少年は剣士を夢見るからこそゲームコーナーは気配斬りに落ち着いたんでしょうし、「ダンスナンバー」時のマスクは格闘ゲームっぽいですし。少年時代にのめり込んだ漫画やアニメ、ゲームの世界が体現されているというか。
安井:たしかに!「GIRL」はカラフルで少女感あるけど、それこそ女の子が変身するアニメみたいなイメージだったんですよ(笑)。
萩谷:「GIRL」1曲のために衣装チェンジという名の「変身」もしてるしね(笑)。
真田:でもそれ以外はたしかに全部男の夢かもね。
萩谷:「ダンスナンバー」のマスクも、振り入れしてる時に「顔になにかつけたいよね?」という話になって、そこで「サバイバルゲームで使うマスクとかどうだろう?」と言ったら意外と衣装さんがノッてきてくれて。
森田:あみあみだからマスクとしての効果はないんだよね(笑)。
萩谷:でもあみあみだからこそ口元がうっすら見えて、よく見ると表情が見えるところがいいんだよね。でも隠されてる雰囲気がミステリアスで。踊りもロボットっぽいワームだから、その感じがハマったよね。
諸星:最初はバンダナになりそうだったんですよ。それがまさかあんなかっこいいマスクになるなんて(笑)。
森田:うん。かっこよかったよね。
真田:もちろん老若男女問わず観てもらいたいステージだとは思ってましたけど、「男の夢が詰まってる」と言ってもらって、なおさら多くの男性に観てもらいたい気持ちが強くなりました。女性には知り合いの男性にシェアしてもらえたらうれしいし、男性の感想もたくさん聞きたいな。
安井:『GANTZ』とか『AKIRA』とか、ほんと男子が必ず通ってる漫画の世界観に近いものが反映されてるから。自分たちの好きなものの影響がすごく出てますね。
諸星:僕もリハ終えて直感的に思ったんですよ。「絶対UNORDERを地元の友達に観てもらいたい」って。
阿部:あははは!今では全然連絡を取ってない人にも観てもらいたいってことね(笑)。
萩谷:モロは連絡ノートに「友達100人に配信URL送る」って書いてたもんね(笑)。
諸星:今まで仕事をしてきて、そんなふうに思ったのは初めてかもしれない。スタジオにもいっぱい入ったし、バンドも何度も音合わせしたし。それって自分が無意識のうちにやりがいや達成感を感じたからだと思うんですよね。それだけ時間も力も掛けたし、気持ちが入ったデジタルショーになりました。
──14曲披露し、音楽のジャンルも幅広くてバンド曲もダンス曲もある。おまけにバラエティ色の強い気配斬り最強王決定戦では各々のキャラクターもわかるので、UNORDERは現段階の7ORDERの出来ることが詰め込まれているだけでなく、7ORDER入門編にも持ってこいなのではないかと。
真田:UNORDERには7ORDERの持ちうる曲を全部出しました。僕らが再結成して、7ORDERとして走り出してから生まれた曲がほとんどなので、「LIFE」を歌えば舞台を、「Sabaoflower」ならCDを作った時のことを思い出す。俺の舞台や、美勇人の舞台で使った楽曲もあるし、みんなの想いが入ってるので、1年間のまとめでもあり、再出発を見せる場でもありましたね。
森田:自分が個人舞台をやらせてもらった時の楽曲をみんなで披露して、自分がソロでやってた時の記憶を忘れるくらいでした。7人バージョンになったら全然違ったし、自分の好みのもとに生まれた曲をみんなでやって、ちゃんと7ORDERに落とし込まれているところにグループの力を感じましたね。楽曲に対する理解を持ってくれたり、意向を伝えなくても馴染んでいて。やっていて楽しかったです。ナチュラルにできましたね。
──ハイスツールに座って歌唱したミディアムナンバー「Monday Morning」は初披露曲でした。
安井:実は去年の秋くらいからあたためていた曲で。やっぱりまずは勢いのあるサウンドを見せたかったので、大人なイメージのある曲だから初披露のタイミングをうかがっていたんです。
真田:ずっと「いつ出そうか?」と話していたので、思い出レベルはかなり強くて。
萩谷:英語が多い歌だから、そういう意味でも新しくて。モロが気合い入ってましたね。
諸星:僕がこの曲のファンすぎて(笑)。この曲をどうやったらみんなでかっこよく表現できるんだろうって考えてましたね。
安井:横1列で座って歌うのは新鮮でしたね。あとUNORDERのなかでもかなりこの曲が効いてるなと思った。この曲がここにあることで緩急ができているというか。
──「Monday Morning」から「Rest of my life」への流れもドラマチックでした。
真田:「Rest of my life」はほんと名曲だね。
安井:俺もめっちゃ好き。もともと美勇人の舞台の曲で、そこで美勇人がひとりで踊っている演出がすごく好きだったんです。このダンスは振り付け師の方にお願いしたんですけど、その空気感を残したかったので振り付けの方に実際に舞台の映像を観てもらって。だからダンスは途中まで美勇人が別世界の設定なんですよね。
萩谷:「Rest of my life」は人と人の間に生まれる感情を表現するセクションだったからね。
安井:うん。だからARも使わずに照明もアナログで、白以外あまり使ってない。劇場っぽいイメージですね。『ブラック・スワン』っぽい世界観というか。
阿部:自分たちが好きな作品を例に出して「こういう世界観を作りたい」と伝えて、それを自分たちなりに昇華するところは多かったよね。『マトリックス』とか。
真田:おい、あんまネタばらしすんなよ(笑)!
阿部:あははは。でも理想を築き上げていくみたいで、すごく楽しかった。
安井:スタッフさんに作品名を言うとすぐピンときてくれる感じもすごくうれしかったよね。今回初めて出会った人だけど、この人も同じ時代を生きてきたんだって実感できた瞬間だった。
長妻:でも「Rest of my life」は振りがすげえ難しかった。最初全然みんなできてなくて「どうしよう」って感じで。
萩谷:初回の振り入れでここまでできないって慌てたね(笑)。でも終わってみると、この曲がいちばん踊ってて楽しかったかも。
安井:感情の踊りだったよね。振り付け師さんも「7人の音を取るニュアンスだけ合っていれば、かたちは揃えなくていい。ばらばらのほうがかっこいい」と言ってくれて。だから決まった正解を目指していくのではなく、自分の正解を探していく振り入れでしたね。
萩谷:でも7ORDERにはその感じが合ってるよね。
阿部:うん。「動きを揃えないで」と言われたときのほうがメンバー全員生き生きします(笑)。
真田:たしかに(笑)。
──そのあとの「Love Shower」も傘を用いたり、1番でワンカットのように見せていく手法も洒落てました。
真田:これは安井が総合演出を担当していて。
安井:「Love Shower」にはもともとの振り付けがあるんですけど、「UNORDERでやるならこの曲でもっと違うもの、突拍子のないものを見たいな」と思ったんですよね。フロアで踊ってもかっこよく見えるようにフロアにも照明を組んでくれるということで、カメラを工夫してエリアを広く使いたくて。動きのタイミングもすごく研究しましたね。その甲斐あって本番では綺麗にまとまりました。
阿部:ああいう小道具を使って踊るのはみんなたぶん超得意だし、みんなで一緒にああいうものを使って踊るのは血が騒ぎました(笑)。
長妻:顕嵐が落ちサビで歌うところ、顕嵐以外のメンバーは傘で顔を隠してるんですけど、美勇人さんめっちゃ変な顔してんすよ(笑)。
真田:おい!美勇人やってんな(笑)!
森田:ナガツそういうこと言うなよ~傘を回すことに集中しようとしたらこんなふうにちょっと変な顔になっちゃったの(※と言いながら変顔をする)。
一同:あははは!
真田:モロがちょっと見切れてるところもあるからね。めっちゃ素のモロが観られる(笑)。
阿部:一生懸命すぎたんだ(笑)。
真田:メインの人を引き立たせることに徹する経験をしてきたモロの顔、ひっさびさに見られたなーって(笑)。
諸星:「絶対に傘が顕嵐に被ってはいけない」って必死でした(笑)。傘を開くタイミングもめちゃくちゃこだわりましたね。
安井:本当はビニール傘の予定だったけど、本番3日前くらいに「これじゃないな」と思って急遽傘をあの虹柄に変えて(笑)。イメージに合った演出ができましたね。
──ダンス曲の「What you got」からバンド曲「LIFE」へのつなぎの、みんなでロゴを描く演出もキーポイントでした。
萩谷:ステージ上の転換でライブの流れを止めることは避けたくて、それで思いついたのが、カメラの前にプラスチックを置いて、そこにガツがロゴを描いて、一人ひとり自分のメンバーカラーを塗って完成させるという方法だったんですよね。絶対にあの空気感を切らさずにつなげたかった。
安井:あの敢えてのアナログがいいよね。なによりあの速さであのロゴを描けるナガツはすごい。
長妻:あれくらいなら「なんとなく」と練習でなんとかなりますよ。いままでたくさん描いてきたし、もう目をつぶっても描ける(笑)。でも本番はちょっと雑になっちゃったかなあ。
真田:本番中だから気持ちも入ってるだろうしね。
長妻:本番で描くのって緊張するんだなと思いました。実際やってみると、いつもロゴを描くのとはちょっと違う感覚だったかも。でもそういうのもライヴ感って感じでアリかな。ステージ上で作品を作るのは思い出になるなと思いました。
萩谷:ガツそれ前から言ってるよね。ステージ上で作品を作りたいって。
長妻:うん。今回はそのひとつの足掛かりになりましたね。
──ラスト前にバンド曲を3曲立て続けに演奏。それまでには見えなかった7ORDERの情熱が見えてくるという展開が、胸に迫りました。
真田:最後のほうにバンドセクションを持ってきたのは、やっぱりデジタルショーと言えども「ライヴ」だからですね。音楽で感情表現をするうえでは、やっぱり僕らの場合はバンドがいちばんなんです。
森田:ただ感情が溢れすぎて、「Break it」でボーカル勢が持ってたCO2…特に顕嵐の持ってたCO2がさなぴーの頭にブシャーって(笑)。
真田:俺がアップになった瞬間、煙ブッシャ~!って(笑)。
阿部:わーごめんなさい(笑)。
真田:動じてない俺も俺なんだけど(笑)。打たれ強さも観てほしいですね(笑)。
──エモーショナルに魅せたあとは、変身してラストの「GIRL」。予定外でリリースされた最新シングルですし、この曲でデジタルショーを締めくくるのは意味深いと思います。
萩谷:中止になってしまった舞台『GIRL』の世界観を詰め込みましたね。
真田:この曲はやっぱりなんといってもファンのみなさんが送ってくださった塗り絵をARで映し出しているところだと思っていて。
安井:あれは感動的だったよね。7000枚くらい届いて、どれもすごくクオリティが高いんですよ。「こんなに才能のある人たちが俺たちのファンなの?」って。いろんなパターンがあって、ネイリストの方がジェルネイルで塗ってくれてたりとか。全部大画面で見てほしいくらい。
森田:クオリティ高すぎて引いたよね(笑)。
萩谷:俺の母親も応募したらしくて、パソコンでペイントしてるんですよ。(※と言ってスマホに保存してある母親の塗り絵を見せる)
諸星:あ。お母さん、萩ちゃんのメンバーカラーに合わせて緑をベースにしてるね。
安井:みんなの塗り絵に、俺らが演出とかで言いそうな意見やアイデアを感じたんですよね。ただ塗るだけじゃなくて、意味を持ったカラーリングにしてる人が多くて。やっぱ俺たちもひとつひとつに「意味」を入れることが好きなんですよ。だから俺らを応援してくれる人も、俺らと同じような感性を持ってるんだなって思いました。
森田:うん。エモいよね。
真田:ふつうならラストは壮大なバラードにしがちだと思うんですけど、最後に「GIRL」を歌うところがすごく僕らっぽいと思うんです。
森田:最後は明るくっていうのは自分たちのルーツな気がしますね。感動の涙で終わらせることはあまりないから。そういう性格のグループなんだと思います。
──森田さんのお言葉を借りると、「GIRL」は7ORDERというグループの性格が選択してきた歩みを近くに感じられる曲ですよね。そこにファンのみなさんの塗り絵が加わることで、より意味が強くなっている。
安井:塗り絵企画はもともとUNORDERのためではなく、「GIRL」のMVチームと「カラフルだから塗り絵にしたら面白いかもね」という話から生まれたものだったんです。それがUNORDERチームと「ファンの人とつながれる方法はないか」と話し合っているときに、「じゃあ塗り絵企画と合体させたらいいんじゃない?」ということになって。あの塗り絵が「GIRL」のステージに使われたことで、お客さんは目の前にいないけれどお客さんと一緒に空間を作れた感覚があって、そんなふうに着地できて、ほんと僕らは運がいいなあと思います。
──運というよりは、7ORDERがひとつひとつ意味のある種を蒔いてきたからではないでしょうか。
安井:UNORDERに限らず、この1年、予想もしていなかったいろんな巡り合わせがあって。ほんと、日々いいことをして生きようと思いますよね(笑)。徳を積もうって気持ちになる(笑)。
諸星:(笑)。7ORDERの活動は、ひとつひとつほんとわくわくするんですよね。
森田:ずっとやりたいことだったもんね、ゲームや漫画みたいな世界観のファンタジー系って。
安井:うん。UNORDERはずっと本当にやりたかったことをたくさん実現してもらったと思います。ほんと、7ORDERは僕らの好きなものを集めてる感じなんです。
萩谷:楽曲も「これ全部同じアーティストの曲?」と僕らでも驚くくらいのバリエーションの広さで、みんなばらばら。
安井:『千と千尋の神隠し』の坊の部屋みたいな、好きなおもちゃがいっぱいあって、好きなように遊べる。UNORDERはそれくらい子どもに戻って作れました。どの曲も全然違うけど全部好きなんですよ。
森田:僕の舞台は僕の好きなことしかかたちにしてないんだけど、メンバーみんなそこを好きになってくれるんです。お互いの好きなものを好きでいられるから、このグループは成立してるんだろうなと思いますね。
安井:うんうん。メンバーの好きなものは自分にとって新しい出会いなんですよ。それを「こんなものがあるんだ。すごくいいな」と思える。
萩谷:いち視聴者として「あ、いいな」と思うものをやってるんだよね。夢みたいですごく不思議な感覚なんです。活動全部が憧れのアーティストと共演してるような感覚(笑)。
全員:そうそうそう!
森田:「27」なんてまさにそう。全員が「この曲超いいな」って思って、それをやってる。それがうれしい。すげえシンプル(笑)。
──自分たちの活動でそこまでキッズになれるって、とても素敵だし大事なことだと思います。そんな純度の高いUNORDER、ひとりでも多くの方々に観ていただきたいですね。
安井:ほんとそうですね。実際に会場に足を運ぶのは、会場との距離やチケット代とか、一緒に行く人を探さないととか、ハードルが高いと思うんです。でも今回は会場までタップ1個で行ける(笑)。7ORDERがここまでしっかり音楽を表現する初めてのツールが届けやすいものになったということは、ポジティブな要素として捉えています。ちょっとでも興味があれば、ぜひ観ていただきたいですね。
阿部:いつかカット割りを視聴者さんに選んでもらうデジタルショーとかやれたら面白いよね。
安井:いいね!やりたい!ライヴのセットリストも視聴者さんが選べるとかも面白くない?この曲のあとAに行くかBに行くか選べる、みたいなさ。それも生ではできないことだよね。
──いろんなアイデアが溢れ出して止まらないですね。今後の7ORDER Projectにさらに期待が高まるデジタルショーとお話でした。
真田:UNORDERの本番を終えて、あらためてメンバー全員音楽が好きなんだなと感じることができました。僕らはいろんなことをやるけど、グループとして表現したいことはこういうことなんだというのを、ぜひみなさんに知ってもらいたい。アルバムもリリースできたらと思います。
森田:UNORDERは楽曲もアイデアも出し切ったので、7ORDERが発足して1年ちょっとの第1章集大成に近いのかなと思っていて。こういう時代だからこそ前向きに新しいことに取り組もうとするのも7ORDERらしいと思うんです。今後また変わっていく姿を応援してもらえたらなと思いますね。
安井:UNORDERを通してお客さんからもらう生のパワーの大事さを感じたし、新しい試みもやりたいと同時に、早く生のライヴをやりたい気持ちが増しましたね。無理に前向きになる必要はないと思うんですけど、出会いによって前を向ける環境を作れたことはエンターテイメントだと思うし、すごくわくわくしたんです。デジタルだからこそできることはまだまだたくさんあると思うので、それを探しつつ、いろんなことにチャレンジしく7ORDERでありたいなと思います。
長妻:安井くんの言っていたとおり、できることはまだまだたくさんあると思うので、来るべき時が来たときに「あ、今の俺ではこれはできないな」と思うことがないように、つねに成長していきたいです。生のライヴができたときに「やっぱ生は違うな」と思ってもらえるように、しっかりやっていきたいと思います。
萩谷:UNORDERを通していろんな知識や経験が増えて、新しい可能性をたくさん感じることができました。ジャンルレスな楽曲であったり、活動の幅であったり、どんどん開いていけたらいいなと思っています。だからみなさんは楽しみにしていただけたら。僕らもとにかく頑張ります。
阿部:UNORDERでみんなが同じ方向を見てひとつのものを作る楽しさをあらためて実感できたので、スタッフさんにものすごく感謝しています。僕たちが楽しんで作ったものをファンのみなさんに観ていただけることがいちばん嬉しいので、まずはここでしか観られないデジタルショー<UNORDER>を、いつでもどこでも気軽に観ていただけたらと思います。
諸星:予期せぬところから決まったUNORDERに全力で取り組んで、全力でスタッフさんがついてきてくれて。そんな環境がめちゃくちゃ有り難くて。これからも出会いを大事に、エンターテイメントを届けていくという活動を全力でやっていきます。UNORDERを楽しんだら、次の僕らの活動もチェックしてもらえたらうれしいですね。
取材・文◎沖さやこ
7ORDER<UNORDER>アーカイブ配信
2020年7月18日(土)21:00~2020年7月24日(金・祝)24:00チケット:3500円
配信&チケット販売:Streaming+
チケット販売期間:7月17日22:30~7月24日18:00
◆チケット販売ページ
◆7ORDERオフィシャルサイト
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