【インタビュー】ZIGZO、髙野哲×櫻澤泰徳が語るコロナ禍と12ヵ月連続リリース「生涯バンドマンでいたい」

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■“ZIGZOがあるじゃないか”という歌詞に
■聴いてくれた人は絶対グッとくるはず

──緊急事態宣言の解除以降、音楽業界にも新たな動きがみられます。ZIGZOは6月20日から12ヶ月連続で旧譜のリテイクバージョンを配信リリースしますが、これはどのような経緯で?

櫻澤:外出自粛要請が出る直前くらいかな。メンバー4人で集まって話をしたんですよ。そのときに哲から「リテイクバージョンを出さないか?」という提案があったんです。ZIGZOのオリジナルアルバムを2021年6月20日にリリースするということは、今年1月19日の赤坂BLITZライブでも発表したから、それまでのストーリーを作る意味合いもあって。さっきも言ったように“3.11”と比較したり、同じように考えてはいけないんだけど、“3.11”のときはZIGZO再結成に向けた動きが我々の中ではありつつも、まだ世に発表していない時期でね。あのときもそうだったし、こういう状況下でバンドを引っ張ってくれるのは、いつも哲だという感覚がある。

──哲さんは“3.11”直後から被災地に行ってボランティアをしていましたね。求められていることややるべきことへの嗅覚が鋭いというか行動が早いというか。

櫻澤:俺を被災地に連れて行ってくれたのも哲だったしね。

髙野:いや、不謹慎な言い方だけど、俺は祭りが大好きなんだよ(笑)。こういった状況では、“ダメだ…”という空気が漂うじゃないですか。でも、歌ったり発信したりする人間が、その空気に流されてはいけないと思っている。それは総理大臣にも言えることだし、各自治体のトップにも言えること。彼らが「もうダメだ」と言ってはいけない。コロナ以降はZIGZOのメンバーも、それぞれの周りにいるスタッフも「ヤバい状況になっちゃった」とか「あれもこれも諦めなきゃいけない」とか「ライブは来年まで飛ばさないと」というような声ばかりだったんです。でも、俺は全然そう思ってなかった。「夏にはきっとライブができる。100%の形ではないにしても、俺はお客さんの前で歌うことを実現させる」と決めていたんです。そういう意思を持つことがリーダーの役目だし、バンドで言えばシンガーだったり、歌詞を書いている人間の役割。相変わらず悔しいニュースもいっぱいあるけど、今現在、ライブの実施に関しては明るい兆しが見えてきて、ひとまず始まったことがとても嬉しいんですよ。

──実際、無観客配信ライブをはじめとした新たな動きがあります。

髙野:そうですよね。僕らが外出自粛要請が出る直前に話したこともやはり、発信を止めないということで。ZIGZOがお客さんのために発信していくべきことを考えたら、SAKURAさんには自分のスタジオがあって、DENさんにはレコーディング/ミックス技術がある。であれば、自分達だけで音源を作れるんですよ。それを活かして、“今、ZIGZOはこういうことをやっています”ということを示すために、リテイクバージョンを録るのがいいんじゃないかなと思ったんです。その選曲基準は、“どういうメッセージを伝えたいか”。だったらやっぱり一発目は「FOREVER YOUNG」だと。


▲12ヵ月連続配信リリース第一弾「FOREVER YOUNG (2020ver.)」

──「FOREVER YOUNG」の歌詞には“昨日の苦悩を 踏み鳴らす音よ響け”という言葉があったりして、現在の状況と重なります。

髙野:取りようによってはまんまなんですよ。もちろん、7年以上前に書いた曲だから、現在の状況を想定していたわけではない。だけど、今はみんなが我慢している状況だったり、“世界の終わりで 中指立てて踊ろう”という歌詞はコロナとの戦い方とも取れるでしょ。バンドとして、「FOREVER YOUNG」が今、そういう響き方をしてほしいという想いがあった。

櫻澤:今回の配信リリースに関しては、言葉を発する人間の気持ちを一番大事にするべきだろうと思ったので、「哲が、今、歌いたい曲を歌ってよ」と言ったんだよ。しかも、今回のリテイクバージョンは、“hey だけど僕たちにはロックがあるじゃないか”というオリジナルの歌詞に対して、““hey だけど僕たちにはZIGZOがあるじゃないか”に変えているんです。

──その歌詞の変更は最高だと思いました(笑)。

髙野:やっちゃいました(笑)。

櫻澤:みんなニヤッとすると思う(笑)。どのバンドも同じだと思うけど、楽曲は発表した時点ではまだ、お客さんに触れるものではないんだよ。アルバム『FOREVER YOUNG』(2014年7月発表)は今のZIGZOの最新作ではあるけど、そこからライブを重ねていく中でどんどん育っていったという感覚があってね。随分長い時間をかけてお客さんと一緒に育んだ楽曲だから、今、2020年の「FOREVER YOUNG」を形にするのはいいことだと思えたし。


──なるほど。「FOREVER YOUNG」に続くリテイクが楽しみな発言でもあります。

櫻澤:マンスリーの配信リリースは来年5月まで続くことになっていて、次にどんな曲をリリースするかはその都度発表していくんだけど、何曲かは俺から「これをやりたい」というワガママも言わせてもらいました。

髙野:SAKURAさんからのリクエストの中には「暗闇のサングラス」もあったんですよ。13分もあるインストだし、育つという意味では自分たちの技量の心配もあったので、それは却下しました(笑)。でも、SAKURAさんが言ったように、マンスリで配信リリースしていくうちに、その意味合いが変わっていくといいなと思っているんです。今後ただただ明るい曲をリリースするとして、その曲がそのときの世界にフィットしているような未来。そうなることを願っています。

──では、楽曲「FOREVER YOUNG (2020 ver.)」の詳細についてうかがいますが、オリジナルよりもサウンドの重心がグッと下がったと同時に、歌も含めた全てのパートの存在感が一層増していることが印象的です。

櫻澤:それはここですよ (右手で左腕をポンポン叩きながら)。

髙野:うん(笑)。まぁバンドの演奏力というよりも、今回はSAKURAさんのミックス手腕が、そう聴こえさせているんじゃないかと思う。オリジナルはエンジニアの齊藤裕也くんがミックスしてくれたんだけど、もちろん彼のミックスが悪いわけでは全然ない。聴きやすくて、それこそ一生聴けるサウンド作りができるミックスエンジニアなので、彼から勉強させてもらったことはいっぱいあるんです。でも、ロックミュージシャンがミックスするとボーンと前に出たサウンドになるんですよ。だから、今回のリテイクはSAKURAさんが思う「FOREVER YOUNG」が音に表れている。

櫻澤:ミックスも含めてひとつの作品だし、解釈はそれぞれ。でもね、俺のミックスは別に大したことをしてるわけではないんだよ。ほぼEQ (イコライザー)はかけなくて、コンプだけ。だからやっぱり全員の腕なんだ(笑)。

──「FOREVER YOUNG (2020 ver.)」の歌やドラムについても話していただけますか。

髙野:個人的なことを話すと、俺は3月1日からライブをしていなくて。3月末にBLACK COMET CLUB BANDでレコーディングしたけど、その後は活動を止めざるを得なかった。だから、ほぼ2ヶ月間、大声を出して歌うということがなかったんです。そういう時期を経ての「FOREVER YOUNG」のリテイクということで、レコーディングはすごく張りきったことを覚えてます。かなり熱量を込めて歌った気がする。(笑)。

櫻澤:裏話をすると、「FOREVER YOUNG」は7月20日にリリースするリテイク曲と2曲まとめてレコーディングしたんだ。もう1曲のほうはちょっと苦戦していたけど、「FOREVER YOUNG」の歌録りはかなり早かった。

髙野:うん(笑)。

櫻澤:ドラムに関しては特に話すことがないくらい、ライブでやっていることをそのまま叩いた感じ。もちろんプラスαしているものもあるけど、それはフレーズ云々ではなくてメンタル的なことで。聴いてくれた人は“ZIGZOがあるじゃないか”という歌詞に、絶対グッとくるだろうと思っていたから、そういうマインドで叩きました。

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