【インタビュー】vivid undress、“コンプレックスとの向き合い方”導くミニアルバム

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繊細に構築されたバンドのアンサンブルや個々のプレイヤーのスキルを余すところなく詰め込んだアルバム『混在ニューウェーブ』で2019年12月にメジャーデビューを果たしたvivid undressが、早くも次なる作品を作り上げた。タイトルは『変身コンプレックス』。バンドとしてのダイナミズムを抑えこむことなく、歌そして歌詞にスポットを当てた6曲入りのミニアルバムだ。メジャー1stアルバムを作り終えた直後にも関わらず、さらなる新境地を切り拓く勢いで今作を作り上げた5人。今回はメンバーを代表し、kiila(Vo)、yu-ya(G)、syunn(B)の3人に話を聞いた。

  ◆  ◆  ◆

■背中を押せるような作品を

──ミニアルバム『変身コンプレックス』が完成しました。作業はいつ頃行われていたんですか?

syunn:レコーディングは2月くらいかな?

kiila:去年12月に1枚(メジャーデビューアルバム『混在ニューウェーブ』)出して、そこからすぐに取り掛かっていたのでレコーディングはまさに大変な時期に差し掛かる直前って感じでしたね。

──昨年のメジャーデビューはバンドにとってのひとつの大きな夢だったと思いますから、メンバーの皆さんはもちろんですが、あんズ(vivid undressのファンの呼称)の皆さんも自分のことのように喜んでいらっしゃいましたね。

kiila:そうなんです。自分達以上に嗚咽するほど泣いてくれる子がいたりして、一緒に人生を歩んでいるんだなって思いました。

syunn:当初、不安もあったんですよ。メジャーになるとお客さんが離れていっちゃうというか、インディーズのほうが良かったって言う人も多いって聞くので。でも(vivid undressの場合は)それもなく、本当に喜んでくれて安心したんですよね。だからこそここからもっと成長していかないといけないなって、改めて思いました。

yu-ya:メジャーに行ったことによって、じゃあ今後はどういう作品を作っていこうかとか、僕らの視野も広がった気がします。もっと認知されるためにはとか、もっと聴いてもらうためにはどうしたらいいかとか、そういうことも考えるようになりましたし。すごく前に進んで行っているなという気がしています。

kiila:やっぱり今はSNSなどでみんなの声をすぐ聞くことができるので、もっと頑張らなきゃなって思いましたよね。メジャーデビューしてからもそうですが、音楽と共に、応援してくれている人と一緒に、自分達は生きているんだなっていうのをインディーズの頃から痛感しているので、次の作品も、その次の作品も、聴いてくれる人のために作りたいなっていう思いがあるんです。

──なるほど。

kiila:今までは結構自分の中にある葛藤や感情の表現を軸に歌詞を書いていたんですが、今回はその上で、みんなの背中を押せるような作品を作りたいという思いがひとつテーマとしてありました。自分も変わっていきたいとか、このままじゃダメだなとか、今の自分はすごく嫌いだなとか、そういうコンプレックスをどうやって変えていくかということを作品に詰め込みたかったんです。だからきっと、これまでよりも共感してくれる人が多いアルバムが作れたんじゃないかなと思います。

▲kiila(Vo)

──kiilaさんが歌詞を書いている時は、世の中がこんな状況になるとは予想もしてなかったですよね。でも今こうして聴いていると、あのなんとも言えず心細かった気持ちが鼓舞されるような作用もあるなと感じました。

kiila:そういう風に受け止めてもらえたらすごく嬉しいです。今回、もっと歌を伝えていこうというのがテーマにあったんですよ。バンドっていうのもあるけど、歌。歌を中心にして、どうやったらメロディが立つかみたいなことをみんなで話し合ったりすることも多かったんですよね。

──何か、そこに着目したきっかけがあったんでしょうか。

kiila:レーベルのディレクターと話をしていた時に、kiilaの本質、人としての本質をもっと見せたいと。歌詞を伝えていくことが今一番大事だと思うと言われて、その歌詞を伝えるためにはやっぱり歌をもっと伝えられるバンドにならなきゃなということを最初に話しました。

yu-ya:それによって、サウンド面にも変化が出てきました。音を詰め込まなくなった、というのがわかりやすいかもしれないですね。あまりごちゃごちゃさせないで歌がより立つようにして、少し温かみのある感じにしてみたいということも話しました。刺さるようなアレンジというよりも、ちょっと包み込むような感じでの編曲が今回は多くなっていると思います。

──前作ではバンドとして、プレイヤーとしてのスキルが惜しみなく楽曲に詰め込まれているなという印象でしたが、今回はそれを踏まえた上で、あえて歌を立てることを選択。能ある鷹はなんとか…って言いますよね。

yu-ya:なんとかって(笑)。

syunn:言いますね(笑)。

kiila:でも制作自体は、全然余裕なかったですけどね(笑)。前回はみんなのスケジュールが全然合わなくて、データで送り合ってというのが多かったんです。でも今回は5人でベース(syunn)の家に集まって、全員でアレンジを考えたりしていたので本当に大変で。

──5人で作業できるなんて、syunnさんのお宅は大豪邸なんですね(笑)。

syunn:いやいや(笑)。いつも作曲する時は、自分のPCで全部編集というか、yu-yaのギターを入れ込んだり歌を入れ込んだりしてまとめるんです。

kiila:エンジニア担当でもあるので。

yu-ya:とっても美味しいコーヒーが出てきますよ。

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