【コラム】独断と偏見で私が選ぶ「浜崎あゆみのMV」ベスト10 〜BARKS編集部の「おうち時間」Vol.018

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浜崎あゆみがYouTubeで過去のミュージックビデオ作品を128本、ライブ映像を24本公開している。さらに2000年から2017年にかけてライブで披露された「M」の映像を10本分まとめた動画や、本人が出演するTikTokでの振り付け動画など、多くの映像が無料で公開されている。

青春時代を浜崎あゆみの楽曲とともに過ごした私は大喜びで、仕事の間にもちょこちょこ映像を見ているのだが、改めて思うのはその世界観の凄さ。特にミュージックビデオは映像で楽曲のメッセージを補完するだけでなく、曲を聴いただけでは感じ取れない意味までもが表現されていて、作品としてとても興味深い。

そこで今回は現在公開されているミュージックビデオの中から、私自身が特に好きなものを10個ピックアップして紹介しようと思う。あくまで感想も見解も個人的なものではあるが、「素敵!」という気持ちを誰かと分かち合いたい。(以下、浜崎あゆみ→ayu)

  ◆  ◆  ◆

私が一番好きなのは、この「part of Me」のミュージックビデオ。現世に生まれる前はひとつの命を分け合って生きていたかもしれない、という運命的な物語が、ひとつの映画のような壮大さで描かれている。衣装の豪華さ、美しさも見ての通り。そして生々しい蝶、蟷螂、蛇が登場する点も外せない。一見この作品に似合わないようにも思えるこの生物たちが、輪廻転生や死生観といったもの象徴している気がする。ただの美しいミュージックビデオで終わらせない、このセンスが本当に好き。

そして同じく独特の暗さを孕む、という意味で「Moments」のミュージックビデオもツボ。まず、ちょっと褪せたような映像全体の色味がエモい。0:29のドラマティック感もたまらない。そして目を引くのが2サビで明るい花園へ、そこからの間奏での子どもたちの無邪気で残酷な描写と、倒れこむayu。この急な落差が魅力だ。落ちサビの歌詞に込められたメッセージが、胸に迫る。


「fairyland」も間奏以後の展開に胸が苦しくなる作品だ。南国とayuのベストマッチな可愛さにときめいているうちに、怒涛の展開へ。次々と仲間が逃げていく中で燃え盛る炎を見つめる4:00、4:40あたりのayuを見ているとギュッと胸が締め付けられる。仲間はもうそこにいなくて、ひとりで見つめているのだ。確かに楽しかった過去、でもそれはもはや失われたもの。こういったことを繰り返しながら大人になってきたな、と“愛しくて切ない”思いにさせられる。


ロケでもなく、大掛かりなセットでもCGでもないけれど、シンプルに心を抉ってくるのは「Last minute」。ライティングが素晴らしい。赤いドレスの色味も効いていて作品として完成度が高いのはもちろんだが、やっぱり一番は歌詞に込められた苦しいほどの思いを必死で歌うayuの表情に目を奪われる。感情移入して、泣きそうになってしまうほど。“歌姫”でありながら、こういった生々しい感情をむき出しにしてくるところが、ayuに惹かれる理由だ。

「Zutto...」では、いつもよりナチュラルな感じのスタイリングのayuが白い部屋で優しく歌っている。こういうビジュアルもいいよな、と思って見ているとラストの映像で驚かされる。ただ愛する人への気持ちを歌った柔らかな歌だと思っていたのに。この狂気をも感じさせるラストのayuが、楽曲に強烈な印象を残してくれる。こういう光と闇の表裏一体感は、ayuのミュージックビデオの特徴だと思う。


愛や恋、といえば「Days」が好き。好きな人がいる時の、抑えきれない喜びがあふれ出たayuの表情がとても可愛い。1:48の困り顔、2:08のちょっと拗ねた顔、3:54の戸惑い、4:24の泣き顔……。恋する女子はみんな一度はこういう顔をしたことがあるんじゃないかな、と思う。普段着っぽい衣装も女の子全開でキュート。盛り髪スタイルも、巻き髪ベレーも、ニットにまとめ髮も、真似したくなったものだ。

恋する女子の気持ちを歌ったものなら、「STEP you」も外せない。衣装と表情で、見事に女の子の気持ちを表現しているなと思う。華やかなグリーンのドレス、ゴシックな黒ドレス、ガーリーな白いドレス、セクシーでロックなキャミドレス、それぞれのスタイリングに合わせてayuのキャラクターが変わるのも見どころ。そうそう、女の子ってこんな風にくるくるといろんな表情を見せるもので、そう簡単には囚われないものだよな、と。


別の角度からの女の子の気持ちを代弁してくれる「my name's WOMEN」。時代がいくら変わっても求められる、“女だから”を吹っ飛ばしてくれる。と、いいつつもayuは黒のミニドレスに巻き髪ハーフアップという女性っぽい格好をしているのがポイントだ。Aメロの歌詞を聴けばその理由がわかる。好きなものは光るモノと可愛いモノ、でも着飾ってニコニコしていることだけを求められる人生なんて笑止千万ということなのだろう。ちなみにこのスタイリング、本当にツボ。


スタイリング的な意味でツボといえば、「evolution」も挙げたい。ayuの歴代ヘアスタイルの中で真似したくなったNo.1といえば、このショートヘア。ファーチャームも流行った。今見ても、ギャル全開でめちゃくちゃ可愛いなと思う。この曲が主題歌だった映画『ヘルタースケルター』にも、もちろんハマった。全体的にミュージックビデオは楽しい感じだけど、裏切りも当然のこんな時代でも、地に足をつけて生きていく強さが感じられる。


暗さがなく、純粋に楽しく見れるミュージックビデオとしては、「BLUE BIRD」が好きだ。夏になると見たくなる、爽快感あふれる作品だ。青空と海に映える白い衣装、弾ける笑顔、仲間との飾らないayuの姿。ワクワクする要素がいっぱい。2:12の美しい横顔も大好き。ファンとの絆を歌ったとも捉えられる温かな歌詞が、わかりやすく伝わってくる点もとても良い。


番外編として、「M」も挙げておく。先週4月18日より放送がスタートしたテレビ朝日×AbemaTV共同制作連続ドラマ『M 愛すべき人がいて』が話題なので、やっぱり今改めて見ておくべきだろう。なお、こちらを見たら「M」COMPLETE 2000-2017もチェック。「M」を彩った様々な衣装が楽しめるが、何といっても2003年の<A museum>で着用した50mものロングベールのウェディングドレスは必見だ。



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ここまで浜崎あゆみのお気に入りのミュージックビデオについて綴ってみた。それぞれの楽曲に思い入れがあり、10個セレクトするのにもとても迷った。「kanariya」のボディジュエリーも、「forgiveness」の妖精風の衣装も、「Voyage」の中国風のお姫様スタイルも好きだし、まだまだ語りたいものがたくさん。同時にその曲がリリースされた頃の思い出も甦ってきたりして、時間があっという間に経っていた。

外出自粛のいま、ミュージックビデオは“1DKの部屋に一人”という現実から別の世界へ連れ出してくれる。その時間はいまの私にとって必要なものだ。浜崎あゆみに限らず、ミュージックビデオやライブ映像をたくさん公開してくれているアーティストたちには感謝を伝えたい。

文◎服部容子(BARKS)

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