ヤマハからコンパクトなドラムセット&ジルジャンのエントリー向けシンバル新シリーズも登場
ヤマハからアコースティックドラムの新製品「Stage Custom Hip(ステージカスタム ヒップ)」が登場。2月25日に開催された発表会でジルジャンのシンバル新シリーズ「i Family」とともにお披露目された。発表会にはゲストとして有形ランペイジの今井義頼が登場し演奏を披露、その魅力を語った。
「Stage Custom Hip」は、ステージカスタムの新パッケージ。利便性、拡張性を備えた新しいコンセプトのコンパクトなシンプル4点キットだ。オールバーチ材の6プライシェルは浅めの胴を採用しているのが特徴で、サイズ構成はバスドラムが20”×8”、フロアタムは13”×8”、タムタムは10”×5”、スネアドラムは13”×5”。浅い胴を採用することによって、コンパクトキットならではの運搬性能を追求。演奏時のセッティングが150×90cmに収まる省スペース性も魅力だ。
バスドラムは特殊なサイズだが、口径は従来のバスドラムに近い20インチで、バスドラム特有の豊かな低音域の鳴りを実現。深さを8インチとすることで、省スペースでコンパクトなセッティングを可能としている。フロアタムもユニークだ。コンパクトながら十分な低音域を出すことが可能。ストレイナーと響き線(スナッピー)を搭載しているので、フロアタイプのスネアドラムとして使うことも可能。サブスネアとして多様なジャンルを演奏できる利便性も備えている。
持ち運びが容易なのでストリートライブに向くのはもちろん、ライブハウス/カフェなどのコンパクトなスペースでの演奏にもぴったり。自宅での練習キットとしても魅力的だ。また、ジルジャンのローボリュームシンバルなどと組み合わせれば消音コンパクト練習キットとして使用可能。エレクトロニックアコースティックドラムモジュール「EAD10」やドラムトリガー「DT50S/DT50K」と組み合わせれば電子ドラムのような多様な音色で演奏できるキットに早変わりする。発表会ではこれらのユースケースとともに、いろんなパターンで楽しめる、新しいコンセプトの「ハイブリッドコンパクトドラムキット」と紹介された。
▲アドバンスドライトウェイトハードウェアHW3、エレクトロニックアコースティックモジュールEAD10、ドラムトリガーDT50S×3、DT50K、ジルジャンのローボリュームシンバルセットLV348を組み合わせたセッティング例。
カラーバリエーションはナチュラルウッド、レーベンブラックに加え、新色のマットサーフグリーンを加えた3種類をラインナップする。
▲ナチュラルウッド(左)とレーベンブラック(右)は、従来からあるステージカスタムの定番カラー。新色マットサーフグリーンが新たに追加。
■ジルジャンのエントリーモデルが一新、「i Family」登場
ジルジャンからはNAMM Show 2020で発表されたエントリーモデルの新シリーズ「i Family」を紹介。「ZBTシリーズ」の後継モデルであり、名称はトルコ語の「Ilham/イルハム」(=インスピレーション)に由来する。シンバルの素材はB8合金を採用。精密な加工を加え、ブライトかつパワフルなサウンドを実現している。
エントリーモデルながら、スプラッシュの10インチ(8,000円)からライドの22”(20,000円)までオーソドックスなサイズを中心に幅広いバリエーションを用意。さらに豊富なエフェクトシンバルも揃えた。定番のスプラッシュ、チャイナシンバル(12,500円~)、穴あき加工を施した17”のトラッシュクラッシュ(13,500円)、重ねシンバルにも有用な14”のトラッシュトップ/クラッシュ(11,000円)がラインナップされる。
▲多彩なエフェクトシンバルや、ボックスパック(右)もラインナップ。
最初のシンバルとしておすすめのボックスパックも用意。14”ハイハットペア、16”クラッシュ、20”ライドの4枚をセットにした「I Stdパック」(45,000円)、18”クラッシュを追加して5枚組とした「I Proパック」(51,000円)の2種類がラインナップ。これらを含め、全22モデルが2月29日より発売される。
▲デモ演奏は有形ランペイジのドラマー、今井義頼さん。自身のバンドのほか多くのアーティストのレコーディング、ツアーをサポート。演奏にとどまらず作曲・アレンジも手掛け、自身主催のセッションライヴ、イベントなどマルチに活躍。生ドラムに電子ドラムYAMAHA DTXを組み込んだハイブリッドキットドラムを駆使したユニット「DTXperiment」でも活動。
「Stage Custom Hip」と「i Family」シンバルのサウンドを聞かせるべく登場したのは、有形ランペイジのドラマー、今井義頼さん。さまざまなフレーズ、リズムパターンを次々と繰り出し、「非常に楽しく見たんですが、叩いたインプレッションは?」と、MCに問われると、「僕の方が楽しかったです」と笑顔で一言。「初めて叩かせていただいた時に非常に気に入っちゃいまして。今、叩いていてもどんどん気持ちがノッてくる。僕のテンションを上げてくれる太鼓」と語った。演奏ではフロアタムがスネアドラムになる点もフィーチャー。「これは非常に画期的。フロアタムにストレイナーとスナッピーが付いてるってのは、今のソウル系とかR&Bとか現代のドラマーが好むスタイルに非常にハマっているなあと思いまして。この“デジッ”っていうスネアの音は今の音楽に欲しい音。これを気軽に出せるっていうのが……、しかもメインのスネアはありつつの、フロアタムとして使っていたものがそれになるっていうのは、“その手があったか”という、非常にドラマーの僕としてもうれしい機能」と評価。
シンバル「i Family」のデモンストレーションで多彩なサウンドを披露後、「シンバル……、いい音が集まるといろいろやりたくなっちゃいますよね」とまたも笑顔。「現代的なサウンドには新しい、たとえば穴あきシンバルでしたりとか、こういった音が必須になってくるんですけど。こういうのが入ってくることで表現の幅が広がっていきます。」「i Familyはエントリーモデルなのに種類がいっぱいあるのはびっくりしました。」「叩いていて違和感なく、僕が現場で使っている感覚での演奏ができる」とコメント。最後は「シンバルのテクノロジーもここまで来たのか、と感じました」と語った。
製品情報
価格:72,000円(税別)
発売日:2020年5月23日
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