ローランド新製品発表会レポ、電子和太鼓やステージピアノ、ギター・アンプ、V-Drums新モデルが登場
ローランドが、アメリカで開催された「CES 2020」「The 2020 NAMM Show」で発表した新製品を紹介する「Roland/BOSS 2020春 新製品発表会」を2月7日に開催。世界初の担ぎ桶スタイルの電子和太鼓やステージピアノ、88鍵盤MIDIコントローラー、ギター・シンセサイザー、ギター・アンプ、電子ドラムなど数多くの新製品がお披露目された。
■さまざまな太鼓を演奏できる電子和太鼓「TAIKO-1」
最も注目を集めていたのが、発表会当日2月7日の午前に正式発表となった電子和太鼓「TAIKO-1」(夏発売予定)。和太鼓の基本的な奏法に対応する、担ぎ桶スタイルの電子和太鼓だ。日本には100万人以上の人が和太鼓を演奏していると言われるが、その多くは自分の太鼓を所有していない。その理由として挙げられるのが、非常に大きな音、太鼓自体のサイズや重さ、購入後の管理やメンテナンスが難しいことだ。これらの課題に向き合い、太鼓の新たな可能性を広げるため、ローランドは2017年より太鼓芸能集団「鼓童」の協力のもと電子和太鼓の研究開発に取り組んできた。そしてオリンピック・イヤーの2020年、ついに完成したのが、「TAIKO-1」だ。
▲2つの打面を8本の金属製ロッドでつないだ構造のTAIKO-1。メッシュ・ヘッドの打面に備えられた打点検出機能により、叩く位置と強さで音色が変わる。フチには打面と別の音色が割り当てられる。
▲打面と打面の間に位置する音源部にはディスプレイを搭載。太鼓の種類が漢字で表示されるのが新鮮。音色選択は大きめのボタンでカンタンに行える。
「TAIKO-1」は、桶胴太鼓のほか、定番の長胴太鼓や力強い高音が魅力の締め太鼓、迫力のある大太鼓などを、これ1台で演奏可能。竹バチや雪バチといった撥の違いや複数人で同時に叩いた太鼓の音、チャッパや拍子木などの鳴り物や掛け声、さらに太鼓以外の打楽器や効果音までも内蔵する。和太鼓はたった一つの打面から多彩な音を奏でるが、「TAIKO-1」はそれらも再現。叩く強さによって音量が変化するのはもちろん、V-Drumsで培った打点検出機能により和太鼓と同様に叩く位置によっても音色が変化する。
▲担ぎ桶スタイルのほか、一般的な台を使用した演奏や、表面と裏面を分離して使用する締太鼓2台での座奏にも対応(左)。音源部の裏面には出力端子を用意。メイン出力はモノラルのフォーン端子、ヘッドホンはステレオミニ(右)。
「TAIKO-1」ならこれまで難しかった太鼓の自宅練習も可能になる。打面には「TAIKO-1」専用に開発された3層構造のメッシュ・ヘッドを採用、自然な叩き心地と静粛性を兼ね備えた。さらにメトロノームや太鼓練習に欠かせない“地打ち”フレーズも搭載し、再生しながらのソロ・パフォーマンスも可能だ。重さは一般的な担ぎ桶太鼓と同様の約4.5kg。可搬性にもこだわり、打面と音源部、8つのロッドに分解してコンパクトにすることで気軽に持ち運ぶことができるようになっている。
地域や所属団体によって求められる太鼓の音はさまざまだが、「TAIKO-1」ならそうした心配も無用。USBメモリー経由でオーディオ・ファイルを取り込んで演奏ができるのだ。自身が所有する太鼓の音を収録して演奏したり、内蔵の音色と取り込んだ音を重ねて新しい音を作ることが可能。表現の幅を広げることができる。
▲こちらは試作機壱号機(右)と弐号機(左)。2つの打面をつなぐ構造が製品版とは大きく異る。
電池駆動可能なのも大きなポイント。単3形充電式ニッケル水素電池8本で約5時間の演奏が楽しめる。BOSS WLシリーズなどのワイヤレス・システムと組み合わせれば、ステージ上を動き回ってのパフォーマンスも可能だ。また、ヘッドホンを使用すれば夜の自宅練習も周りに気兼ねなく行える。Bluetooth機能を備えているので、スマホ内の曲に合わせて練習できるのも見逃せない(ヘッドホンからはスマホの音と太鼓の音の両方が聴ける)。
▲ステージでは鼓童の北林玲央さんと渡辺ちひろさんがTAIKO-1を演奏。2つの打面とフチを巧みに叩き分け、多彩な音色を繰り出す。時には掛け声などのサウンドも交え、迫力のある太鼓の音を聴かせた。
発表会には鼓童の北林玲央さんと渡辺ちひろさんがゲストとして登場、「TAIKO-1」の演奏を披露した。電子楽器は未経験だったという渡辺さんは初めて演奏した時の感想を問われ、「正直どう扱っていいのかわからないっていうちょっとした不安がありました。ですが、楽器をよく見てみると、本物の太鼓にはあるはずのないイヤホンジャックがありまして、そこにイヤホンを実際につけて耳で聴きながらドンドンドンドンと打ってみると、小さな音から大きな音まで、ほんとに生で打ってるかのような音が聴こえてくるんですね。ですが、周りの人には“パタパタッ”とパッドをバチで打っている小さな音しか聴こえない。音が出せない場所でもこの楽器だと気軽に音を出して、練習ができるっていうのは、すごく大きな魅力だなと思いました。」
▲鼓童の北林玲央さん(左)と渡辺ちひろさん(右)。
以前から電子太鼓に触れているという北林さんは、「打点位置検出で、より和太鼓に近い感覚で叩けている実感があるので、稽古するにしてもすごく使いやすいと感じています。」と練習時のメリットについてコメント。曲作りにおいては「キーボードを使ったり本物の太鼓を叩いてマイクで録ったりとかしてるんですけど、“実際に叩いて”曲を作れるっていうことは、自分にとってすごくありがたいなと思いました。」と、レコーディングでの使用への可能性についても語られた。
■コンパクトな88鍵ステージ・ピアノ「RD-88」
▲RD-88はMainStageをインストールしたMacBookとともにスタンバイ。USBケーブル1本で接続するだけでMacの音もRD-88の内蔵スピーカーから鳴らすことができ、レイテンシーもまったく感じられない。ピッチベンド/モジュレーションホイールを鍵盤奥に配置することで本体幅もコンパクトに。
30年以上にわたり多くのプロ・キーボーディストに選ばれ、世界中のステージで愛用されてきたステージ・ピアノ「RDシリーズ」。最新モデルとなる「RD-88」(3月下旬発売)は、高い評価を得ているRD直系のサウンドと優れた演奏性能を軽量でコンパクトなボディに凝縮。ピアノ演奏で定評のあるPHA-4スタンダード鍵盤を搭載し、なめらかで自然な演奏フィーリングを実現する。音源にはRDシリーズで人気のSuperNATURALアコースティック・ピアノ、SuperNATURALエレクトリック・ピアノを「RD-88」用に新たにチューニングして搭載。さらにあらゆるシーンで活躍できるようローランドのフラッグシップシンセサイザーと同じZEN-Core音源(後述)も搭載する。
▲キーボーディストのDevin Kinoshitaさんが演奏を披露。きらびやかで力強いSuperNATURALアコースティック・ピアノとエレクトリック・ピアノのサウンドを聴かせた。「88鍵の鍵盤がこのサイズになったっていうのにまずびっくりしたのと、とても本体が軽くなっているので、どこにでも持ち運んで演奏していきたいなと思いました。音もすごくしっかりしてますし、たくさん入っているので、これ1台あればどこにでも行けるんじゃないかなと思います。」
直感的な音作りをサポートするコントローラーも装備。トップパネルにはEQやエフェクトをエディットする専用ノブを配置するほか、音色カテゴリボタンによる音の選択やフェイバリットも用意しているので、演奏したい音をすばやく呼び出すことが可能だ。もちろん、MIDIやUSB端子も備え、外部音源のコントロールが可能。さらにApple MainStageにも対応し、本体パネルから音色選択やエディットが行える。「RD-88」本体のサウンドとレイヤーして演奏するなどマスター・キーボードとしての機能も充実している。
▲Mac用のアプリMainStage(左)との連携機能では音色リストがRD-88本体のディスプレイに表示され、音色選択やノブの操作もRD-88で行える。
本体はすっきりしたコンパクトなデザインで、RDシリーズでは初めてとなるスピーカーも内蔵。自宅練習からライブステージまで幅広く使える仕様となっている。MacとはUSBケーブル1本で接続して、MainStageのサウンドを「RD-88」本体のスピーカーやメイン出力から一緒に鳴らすことができるのもポイントだ。
■ZEN-Core Synthesis System
▲1台の楽器でさまざまな機種の音色を演奏することが可能になるZEN-Core Synthesis System。
「RD-88」に搭載されている「ZEN-Core Synthesis System(ゼンコア・シンセシス・システム)」についても紹介。「ZEN-Core Synthesis System」は、ローランドの半世紀に渡るシンセサイザーの研究開発の歴史とノウハウを結集して作られたもので、バーチャル・アナログ、最大同時発音数256音のPCMサウンド・エンジンをあわせ持ち、さらに強力なDSPエフェクトを内蔵したマルチティンバー音源だ。刷新されたオシレーター、フィルター、なめらかなLFOとエンベロープに加え、高解像度なパラメーターエディットも可能となっている。
同システムを搭載した製品は、高い拡張性と柔軟性を持っている。ZEN-Core音源に加えV-Pianoテクノロジーを搭載した「FANTOM」、人気シンセのモデリング音源を収録したMODEL BANKを搭載した「JUPITER-Xシリーズ」、オーディオ・サンプルが使えるグルーヴ・ボックス「MC-707」「MC-101」、そしてSuperNATURAL音源を搭載した「RD-88」がラインナップ(MCシリーズは今後のアップデートで対応)。各製品に特色を持たせる一方で、ZEN-Core Synthesis Systemによりトーンの共有化を図り、異なる機種間での高い互換性も両立。ステージのFANTOMで作った音色をRD-88に持っていってステージで演奏するといったことが可能となる。クリエイターにこれまでにない利便性を提供するというわけだ。なお、「JUPITER-Xm」「FANTOM」には拡張音色のZEN-Core Sound Packsが提供中。「FANTOM」のVersion 1.5ではトーンの共有化に加え新たに2つの音源、「SuperNATURAL Strings」「SuperNATURAL Brass」が追加されている。
▲ZEN-Core音源に加えV-Pianoテクノロジーを搭載したFAMTOM(昨年9月より発売中)。
▲ZEN-Core音源に加えローランドの歴史的なヴィンテージ・シンセのモデリング音源を搭載した最高峰シンセJUPITE-X(下、2020年春発売予定)とコンパクトなJUPITER-Xm(上、発売中)。
■MIDI 2.0対応予定の88鍵MIDIコントローラー「A-88MKII」
▲スリム&コンパクトなボディが魅力の88鍵MIDIコントローラーA-88MKII。
「A-88MKII」は、ピアノ鍵盤として定評のあるPHA-4スタンダード鍵盤を搭載した88鍵MIDIコントローラー(3月下旬発売予定)。剛性の高い木製の筐体設計による高い耐久性と、楽器として優れた演奏表現力を兼ね備えている。レイヤーが可能な3つのゾーンに加えて、アルペジエーター、鍵盤のキーを1つ弾くだけで和音を鳴らせるコード・メモリーを搭載。コントロール部には自照式のパッドとノブを8つずつ装備。本体のスナップショット機能は設定情報を最大8個まで記憶することができ、お気に入りのセッティングをすぐにリコールすることができる。また、Windows/Mac用のコントロールアプリを使えば、パッドやノブへのコマンドの割当て、音色のレイヤー設定がカンタンに行えるだけでなく、設定情報もひと目で確認できる。接続はMIDI端子に加えUSB-C端子によるクラスコンプライアントにも対応し、iOSでも使用OK。バスパワーによる駆動も可能だ。今後スタンダード化されるMIDI 2.0への対応も予定されているので、長く使えるMIDIコントローラーとなっている。
▲鍵盤左側にマルチカラーの自照式のパッドとノブを各8つ搭載。一体型のピッチベンド/モジュレーション・レバーを備え、スプリットやレイヤーには個別のボタンを用意。
■テレビのような演出ができるライブ配信ツール「GO:LIVE CAST」
▲GO:LIVE CASTは、2台のタブレットのカメラを使ったデモを実演。
「GO:LIVE CAST」(発売中)は、スマートフォンと専用のアプリだけでテレビ番組のような映像演出や音声演出ができるアイテム。2台のスマホをリンクさせ、それらに搭載されるカメラを同時に使用して演出することが可能。本体のカメラ切り替えボタンを押すことで入力映像をカンタンに切り替えられる。専用アプリにはBGMや効果音、テロップを設定でき、本体の6つのボタンでリアルタイムに操作することができる。本体にはファンタム電源対応のコンボジャックタイプとステレオミニ、2つのマイク入力を搭載。ヘッドホン出力はヘッドセットマイク入力にも対応する。また、本体でも高品質な配信が行えるようマイクを内蔵。これらのマイク入力には本体のスイッチでリアルタイムにリバーブを加えることが可能だ。
■8入力ビデオ・スイッチャー「V-8HD」
▲本体画面で8つの入力映像と出力映像を同時にモニター可能。iPadアプリによる操作もデモ。
「V-8HD」はコンパクトなボディでHDMI×8入力を可能にしたビデオ・スイッチャー(発売中)。本体パネルには4.3型液晶ディスプレイを備え、一つの画面で8つの入力画像を確認できるので外部モニターは不要だ。一画面には最大5つの映像を合成することが可能。eスポーツなど複数の映像の合成が必要な場合でもスイッチャーを複数用意することなく映像演出が行える。本体重量は2kg、コンパクトで設置場所を選ばないだけでなく、汎用ビデオ用バッテリーでも駆動できるので、さまざまなシーンで手軽に使用できる。iPad専用アプリでタッチ操作が可能になるほか、フットコントローラーで映像切り替えをはじめさまざまな操作ができるのもローランドらしいところだ。
■革新的なギター・シンセサイザー「SY-1000」
BOSSブランドからは、ギター、ベースに新たなサウンドの可能性をもたらす革新的なギター・シンセサイザー「SY-1000」が登場(2月15日発売)。最先端のサウンドエンジン、高性能なDSP、進化したGKテクノロージーを搭載。各弦独立した処理を実現するGKピックアップにしかできない表現を最大化し、かつてないほど自然な弾き心地で膨大なサウンド・バリエーションを操ることができる。
▲デモ機は別売の専用ディバイデッド・ピックアップを搭載したギター(左)とグラフィカルなエディットや音色管理が可能なPC用専用ソフトウェア(右)とともに用意。
音作りはINSTという3つのブロックにシンセやモデリング・ギターを割り当て、それらを組み合わせることで行う。GKピックアップからの各弦独立の信号はすべてINSTでトーン調整、ミックスバランス、チューニングの変更などができ、緻密な音作りが楽しめる。INSTで選択できる新開発のダイナミック・シンセは今までにないまったく新しいギター・シンセサイザーで、GKピックアップからの各弦の信号を忠実にトラッキングし、ギター演奏の自然なニュアンスに追従する高い表現力を実現している。
▲演奏を披露したのは屋敷隆一さん。厚みのあるダイナミック・シンセの音色や音色変化が個性的なGR-300のサウンドを演奏。5、6弦がベース、1~4弦がアコギというユニークな音色も聴かせてくれた。
オシレーターにはローランドならではのSUPER SAWからオーソドックスなタイプまで幅広くカバー。6つのフィルターや2つのLFOを駆使して、あらゆる音色を探求できる。さらにダイナミック・シンセは2基の16ステップ・シーケンサーも搭載する。INSTでは任意のADSRを自由に設定できるOSC Synthに加え、1980年にデビューした伝説的なアナログ・ギター・シンセRoland GR-300を完全再現したサウンドも選択可能だ。モデリング・ギターはエレクトリック、アコースティック、ベースのタイプを豊富に用意。各弦独立チューニングやEQ調整、それらに「GT-1000」から継承されたアンプやエフェクトを組み合わせることで、あらゆるギター・システムの構築がこれ1台で実現できる。また、ベース・モードも搭載した。ギターとベースでは周波数帯域やダイナミクス、演奏方法がまったく異なるが、本器ではコアとなるGKテクノロジーをベース専用に設計。サウンドの核となるINSTはベース専用タイプを装備するほかプリセットもすべてベース用に切り替わる。
▲弾き心地を問われた屋敷さん。「とても気持ちよく弾くことができますし、サウンドも作り込みができる仕様が特徴的」「ギターとしての表現方法をよりいっそう広げてくれる一台」とコメント。ドラム以外のサウンドをすべて「SY-1000」で作ったというトラックをバックに多彩なサウンドをプレイ。
■KATANAアンプの最高峰「KATANA-Artist MkII」
2016年にデビューし、BOSSの独自技術Tube Logicによりチューブ・アンプ同様のサウンドとフィーリング、そして究極のロック・サウンドを追求し、卓越したサウンドと汎用性で世界中のギタリストから高い評価を受けているKATANA Ampシリーズ。3月発売予定の最新モデル「KATANA-Artist MkII」は、初代「KATANA-Artist」の基本思想を受け継いだプロフェッショナル・アンプだ。初代の基本性能に加え、ツアーをサポートする多彩な機能を追加。スピーカーとキャビネットをグレードアップし、中身にも専用にチューニングを施した。スピーカーは広いダイナミック・レンジを誇るカスタム・スピーカーWAZA Speakerを面積の広いバッフル板とセミ・クローズド・バック構造のキャビネットにマウントすることで、豊かな低音域と充実した中音域を実現している。アンプ・タイプは5タイプそれぞれにバリエーションを加え、計10タイプを用意。エフェクトは5系統同時使用が可能だ。専用エディター・ソフトを使えば、60種以上のエフェクトから15種を本体にスタンバイ可能だ。さらに現場での対応力を高める独自の機能も新搭載。サウンドの輪郭特性を選択できるCONTOURスイッチ、本体に3つまで設定を保存できるGLOBAL EQ、瞬時に音量調整を可能にするSOLOブースターなど、プロフェッショナルのための機能が用意された。
■小規模ステージ用アコースティック・アンプ「Acoustic Singer Live LT」
バイアンプ設計による高い解像度とナチュラルでワイド・レンジなサウンド、3バンドEQ、専用エフェクト、アンチ・フィードバック機能など、ライブ・パフォーマンスをサポートする充実の機能を備えたアコースティック・ステージ・アンプ「Acoustic Singerシリーズ」。そのラインナップに新たに加わった「Acoustic Singer Live LT」(3月発売予定)は、シリーズで最もシンプルでありながら、上位モデル同等のサウンドを実現した小規模ステージ用アンプだ。アコースティック・ギター本来の響きを余すことなく観客に届けることができる。
▲ギターとマイクの2チャンネル仕様。ギター・チャンネルではPHASEスイッチとノッチ・フィルターを組み合わせることで、より効果的にハウリングを抑えることができる。
バイアンプ構造の採用によりツイーターとウーファーを独立したパワー・アンプで駆動することで、非常にクリーンでワイド・レンジなサウンドでアコースティック・ギターをプレイすることが可能。ギター・チャンネルとマイク・チャンネルの2つのインプットには、ディスクリート・アナログ・インプット回路で繊細なニュアンスを正確に出力。独立した3バンドEQで幅広い音作りをサポートする。両チャンネルには専用にチューニングされたエフェクトを搭載。ピエゾ・ピックアップ使用時に失われてしまうアコースティック・ギターならではのオーガニックな響きを取り戻すACOUSTIC RESONANCEや、ボーカルに艶を加えるENHANCEなどが用意される。
■V-Drums新音源「TD-27」&コンパクトな新スタンダード「TD-27KV」
▲デジタル・パッドに対応したミドル・クラスの音源モジュールTD-27。
電子ドラムV-Drumsには新音源モジュール「TD-27」が登場した(5月発売予定)。「TD-27」は、フラッグシップ・モデルゆずりのサウンドと表現力を兼ね備えたミドル・クラスの音源モジュール。アコースティック・ドラムさながらのサウンドを700以上収録するほか、従来は「TD-50」のみの対応だったデジタル・パッドの使用が可能に。Vパッド・デジタル・スネアPD-140DSやVシンバル・デジタル・ライドCY-18DRとの接続で自然な演奏表現を実現した。エディット機能も充実。自分だけのドラム・キットを作成できるのも特徴だ。専用のつまみでチューニングやミュートの調整もカンタン。ヘッドやシェルの素材、スネアのスナッピーの張力などのサウンドメイクもとことん楽しめる。新開発の「PureAcoustic Ambience」テクノロジーは、ドラマー・ポジションにおいてどこで叩いているかを再現することが可能、より演奏に集中することができる。
レコーディング性能も強化。USBケーブル1本で最大28chのオーディオを送ることができ、DAWでのマルチトラック・レコーディングがスムーズに行える。もちろんMIDIインターフェイスとしての機能も装備。さらにBluetoothによるPCとの無線接続にも対応、お気に入りの曲に合わせて演奏したり、YouTubeのレッスン動画を聴きながらの練習も可能だ。さらにタイム・チェック、クワイエット・カウント、ウォーム・アップといった3つのコーチ・モードは、マンネリになりがちな日々の練習を楽しくしてくれる。
▲背面にはマスター出力に加えダイレクト出力を2系統装備。スネアとバス・ドラムを別系統で出力し、PAで調整するなどステージ使用を考えた設計となっている。ボタンひとつで本体での録音も。
この「TD-27」を核にしたV-Drumsのラインナップとして登場したのが「TD-27KV」。音源の高い表現力を生かせるようスネアとライド・シンバルにはデジタル・パッドを採用。口径も大きく、高い演奏性を備える。推奨スタンド(別売)として「MDS-Standard2」もラインナップする。大口径のパッド類をコンパクトに設置することができる。「TD-27KV」「MDS-Standard2」ともに1月25日より発売中だ。
▲フレッグシップ・モデルのクオリティをコンパクトにまとめた新スタンダード・モデルTD-27KV
■ドラムらしい存在感のある外観のV-Drums Acoustic Designシリーズ
▲アコースティック・ドラムのようなルックスのVAD506をそうる透さんが演奏。
まったく新しいV-Drumsのラインナップとして登場したのが、ドラムらしい存在感と電子ドラムをリードするローランドならではのテクノロジーを融合した「V-Drums Acoustic Designシリーズ」。ウッドシェルのタムやバス・ドラム、クローム仕上げのシンバルスタンドなどアコースティック・ドラムさながらの存在感を実現。臨場感溢れるサウンドやレイテンシーを感じさせない高速レスポンスなどによる、まるでアコースティック・ドラムを叩いているかのような感覚で、演奏に入り込むことができるシリーズだ。
▲2タム/1フロア/3シンバルのVAD506。別売の推奨バス・ドラムKD-200-MSとの組み合わせ。
▲「VAD503」は1タム/1フロア/2シンバル構成。こちらもKD-200-MSとセッティング。
ラインナップは、「VAD 5 Series」2モデルと「VAD 3 Series」1モデルの計3モデル。VAD 5 Seriesの「VAD506」は2タム/1フロア/3シンバル構成、「VAD503」は1タム/1フロア/2シンバルのシンプルな構成で、音源は最新の「TD-27」を採用。スネアとライド・シンバルはデジタル・パッド、バス・ドラムには大口径20インチのウッド・シェル、タム類は新開発のセンサーを採用した深胴のウッド・シェルを採用している。クラッシュ・シンバルはサイズを拡大&厚みを従来モデルより40%削減し自然な揺れを実現した。さらにシンバル・スタンドも自社開発、安定性と伝統的なルックスにもこだわっている。
▲2タム/1フロア/3シンバル構成の「VAD306」は浅胴のスネアとタムを採用。
「VAD306」は、2タム/1フロア/3シンバル構成で、スネアとタムには浅胴のウッド・シェル・モデルを採用。従来のラック・スタンドを使用するモデルと同等の設置スペースでセッティングすることができる。音源はエントリー・モデルの「TD-17」を採用。本器のために10キットのアコースティック・ドラム音色を追加している。また、VAD 5 Series同様のシンバル・スタンドを使用し、ドラムらしいルックスとスムーズなセッティングを両立している。3モデルとも発売は5月を予定。各種ドラム・セットを構成するパッドやハードウェアは5月より順次販売予定。
▲「VAD 506」の演奏を披露したそうる透さん。
発表会のラストに登場したのはドラマーのそうる透さん。感想を聴かれ、「すべてが新しいですね、ほんとに。ヘッドから何から何まで新しいので。下(の展示エリア)で試奏できますよね? とにかく座っていただいて、このバスドラの踏み具合(と言いつつペダルをキック)、そしてデジタル・パッド、サイド・スティック(さらにパッドを叩く)、ぜひ体感していただきたいな、と思っております。」とコメント。そのアコースティック・ドラムらしいルックス同様、存在感のあるリアルなドラム・サウンドをパワフルにプレイして、イベント最後のステージを締めくくった。
▲展示エリアには昨年12月の発売後すぐに品切れが続くほど大人気のヘッドホン型ギターアンプ・システム「WAZA-AIR」もハンズオン。頭を動かしてもアンプの音が定位置から聴こえるモードや、後ろからBluetooth接続のスマホの音楽やアンプの音が聴こえステージで演奏している感覚が味わえるモードを備え、楽しく演奏ができる。まさにこれまでにない体験ができるアンプ・システムだ。
▲トランスミッターをヘッドホン本体に接続するだけで最適な無線チャンネルなどの設定が完了(充電はヘッドホンとトランスミッターで個別に行う必要あり)。多彩なアンプ・モデルやエフェクトを内蔵し、詳細な設定はスマホ/タブレットの専用アプリでカンタンに行えるほか、プリセット切り替えや音量調節はヘッドホン本体で操作できる。アンプの音とBluetooth経由のスマホの音楽を個別に音量調整できるのも便利。写真右は付属のトランスミッターをギターに装着した状態。
▲CESに初出展された、未来のピアノを提案する新たなコンセプトモデル「GPX-F1 Facet」は映像で紹介。伝統的な音や形の制約を超え、理想のピアノのあり方をさぐるべく2015年に行われた「Roland Digital Piano Design Award」でグランプリに選ばれた作品「Facet Grand Piano」の具現化を目指し製作されたモデルだ。譜面台には大型Android対応ディスプレイを装備し、デジタル譜面の表示やオンラインのビデオレッスン、Amazon Alexaにも対応する。名称のFacetは複雑にカットされ美しく輝く宝石を意味する。先日行われたグラミー賞のステージでも使用されたことでも注目を集めたこのピアノ。コンセプトモデルのため発売予定はないが、楽器フェアなど国内でのお披露目に期待したい。
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