KREVA、15周年記念全国ツアー第一弾ライブハウスツアー最終日の模様をレポート

今年ソロデビュー15周年を迎えたKREVAが全国ツアー“KREVA CONCERT TOUR 2019-2020「敵がいない国」”の第一弾として行っていたライブハウスツアーが、昨日12月23日に東京・豊洲PIT公演でファイナルを迎えた。

全国ツアー“KREVA CONCERT TOUR 2019-2020「敵がいない国」”は、6月にリリースしたニューベストアルバム『成長の記録～全曲バンドで録り直し～』と9月にリリースしたニューアルバム『AFTERMIXTAPE』の2作品を引っさげた15周年記念ツアーで、第一弾となるライブハウスツアーは仙台、名古屋、大阪、福岡、東京で全5公演が開催された。

『KREVA CONCERT TOUR 2019-2020「敵がいない国」』“第一弾”として、 12月13日・宮城・仙台PIT公演を皮切りに各地のライブハウスを巡ったツアーも、いよいよ最終日。東京・豊洲PITのフロアは、瞬く間に人々で埋め尽くされていった。

紗幕が切って落とされ、露わになったステージ。白根佳尚（Drums）、熊井吾郎（MPC & DJ）、SONOMI（Bass & Chorus）が既にスタンバイしていて、中央には両腕を広げて天を仰いだポーズのKREVAが立っていた。そして、「敵がいない国」が華々しくスタート。掲げた腕を一斉に掲げながら激しく揺らし、歓声を上げる観客の熱気が早くも凄まじい。続いて「パーティはIZUKO？ ～2019 Ver.～」に突入。《パーティはIZUKO？》とKREVAが歌ったのに対して、《ここだ！》という観客の声が力強く返される。瞬く間に会場がひとつになったオープニングの2曲であった。


「ラップという音楽の力で敵がいない国を作った国王が私です。敵がいない国なんてないんですけど、ここにあるんですよ。国民のひとりひとりが思えば、それは敵がいない国。」――敵がいない国とは何なのかを説明する見事な言葉が届けられて、観客は拍手喝采。そして、至福の時間は、さらに続いた。

KREVAのライブは、いつも全体の構成の工夫がものすごいが、今回はソロデビュー15周年記念ツアーとして、この上ないものだったと言う他ない。随所で最新アルバム『AFTERMIXTAPE』の曲を披露しつつ、今年の6月にリリースした『成長の記録 ～全曲バンドで録り直し～』に収録されている“～2019 Ver.～”による代表曲もたっぷりと盛り込んでいたセットリストは、彼の15年間の軌跡を示していたと同時に、最新の姿も鮮烈に浮き彫りにしていた。そして、今回のバンドメンバーだからこそ作り出せる音が思いっきり鳴り響いていたのも、特筆すべき点だ。フレッシュなサウンドが特に発揮されていたのが、3ヶ所で繰り広げられたバンドセッション。絢香＆KREVAのコラボ曲「Glory」／「One feat. JQ from Nulbarich」／「神の領域」と「Rain Dance / MIYAVI vs KREVA vs 三浦大知」――バンドメンバーたちとKREVAが生々しいエネルギーを交しながら様々な曲をダイナミックに再構築する様に、とてもワクワクさせられた。


爽やかな大合唱を巻き起こしていた「国民的行事」。KREVAのラップの切れ味のよさを強烈に体感させられた「無煙狼煙」「基準 ～2019 Ver.～」「ストロングスタイル ～2019 Ver.～」。込められているメッセージを観客が一心に受け止めていた「S.O.S.が出る前に」。これまでのライブで殆ど披露されたことのない超レア曲だが、今回のツアーをやるにあたって「絶対にやる！」とKREVAが決めていたのだという「涙止まれよ feat. SONOMI」……などなど、印象的な場面をたくさん噛み締めている内に、本編は終盤に差し掛かっていた。「ここが本当に敵がいない国とするならば、今から歌うのは国歌。国歌じゃなかったら、俺たちのアンセム。誰か敵が現れた時に、我々は武器を手に取るんじゃなくて、大きな声で歌いましょう。敵が“入ってきたい！”って言うならば、両手を広げましょうよ。我々は誰も拒まず、いくらでも広がっていける国です」――と語った後にスタートした本編ラストの曲「Na Na Na ～2019 Ver.～」。観客の大合唱の輪が広がっていく様は、平和そのもの。敵がいない国が、完璧に作り上げられていた。


先日リリースされた『井上陽水トリビュート』でKREVAがカバーした「最後のニュース」。KREVAがギターを弾きながら歌った「希望の炎」――アンコールでも、素晴らしいサウンドが鳴り響いていた。そして、「最後までステージにたくさん愛を届けてくれてありがとうございます。最後に思いっきり愛の交換をして、終わりにしたいと思います」という言葉が添えられて、このライブを締め括った「君の愛 Bring Me To Life」。KREVAが《Bring Me To Life もちろん君の》と歌ったのに対して返される《愛 愛 愛 愛》という観客の声が、とても温かい。穏やかなムードが広がるエンディングとなった。


全国ツアー『KREVA CONCERT TOUR 2019-2020「敵がいない国」』の“第一弾”は、この豊洲PIT公演でファイナルを迎えた。しかし、ツアーの全てが終わったわけではない。“第二弾”である全15公演のホールツアーが、2020年2月27日・埼玉・三郷市文化会館 大ホール公演からスタート。“第三弾”となるアリーナツアーの予定も、後日発表されることになっている。また新たな工夫を凝らした内容で「敵がいない国」が各地に作り上げられていくのだろう。2020年のKREVAの活動も濃密極まりないものになりそうだ。


“KREVA CONCERT TOUR 2019-2020「敵がいない国」”は、ライブハウス、ホール、アリーナ公演と内容や構成を変えて開催される予定で、第一弾のライブハウスツアーに続き、第二弾としてホールツアーの開催が発表されている。ホールツアーは来年2月27日（木）埼玉・三郷市文化会館 大ホールから5月24日（日）北海道・札幌市教育文化会館 大ホールまで14都市15公演が行われる。このホールツアーのオフィシャルHP最速先行受付は12月25日(水)18:00～スタートする。

なお、KREVAは12月27日（金）放送のテレビ朝日系「ミュージックステーション　ウルトラSUPER LIVE 2019」に出演が決定。「音色 ～2019Ver.～」を歌唱することが発表となっている。