【人間椅子連載】ナザレス通信Vol.67「腰痛」

もう何年も腰痛とお付き合いしています。腰の痛み自体はそんなにつらくはないのですが、そこからくる左脚の痺れはどうにも我慢できない程の苦痛です。一番良くないのはじっと立ち続けることで、立ち見のライブは最悪です。杖を使うとかなり解消できますが、なるべくぎりぎりに入って、途中で一度抜けるなどの工夫をしています。その点、座席のあるライブは楽で、ドラムソロやギターソロやバラードなどで座って、前の人の背中を見ながら音だけ聴き、自分の好きな曲で再び立ち上がるのに備えます。こんな状態なので、自分達のライブでもお客さんを、開演前に30分から1時間、そこから更に演奏が始まって2時間余りの長い時間立ちっぱなしにさせることになるので、申し訳ない気持ちでいっぱいです。皆さんの高齢化のことも考慮し、いつも座席のあるホールでライブができるように頑張りたいと思います。

以前は整体に通ったこともあるのですが、数回でやめました。その病院ではまず回数券を結構な値段で買わされます。初回に「相当ひどい状態です。今までよく我慢しましたね。根気よく通えば必ずよくなりますよ」と言われて、「あぁ、自分の苦しみを解ってもらえた」と喜んだのですが、後にネットで驚きのページを見つけます。「悪い整体の見分け方」みたいなタイトルの記事で、「回数券を買わされる」「今までよく我慢しましたねと言われる」という項目がトップを飾っていたのです。あまりにもぴったり当てはまって笑ってしまいました。まだ回数券がかなり残っていましたが、もう二度と足を運ぶことはありませんでした。針の治療が終わっても針を数本身体に残したままにするし、何か変な病院だなとは思ってはいたのですが、早めに気付いてよかったです。ただ、回転寿司のベルトのようなローラーがごろごろするベッドは気持ちよかったなぁ。

それ以来、整体にあまり期待しなくなったのですが、期待しないといえばベスト盤に収録されている新曲です。ベスト盤を買う理由は、そのバンドを聴いた事がないけど興味があるので手っ取り早く代表曲を聴きたいとか、一曲だけ気に入ってどうせ買うなら他の曲にも期待できそう、といった感じでしょう。そんな消極的な買い方をした人の心におまけの新曲が響くはずもなく、毎回飛ばすことになります。では何故ベスト盤に新曲を収録するのかというと、スタジオ盤を全部持っている熱心なファンの皆さんにも買ってもらうためです。レコード会社の巧みな作戦です。自分がその作戦に最初にはまったのが、KISSの「Double Platinum」です。このアルバム、目玉であり再録の「Strutter'78」が良くないのです。1stアルバム1曲目のあのテンションがどこかへ消え去っています。特にドラムが悪い方に変化していて、本人が叩いているのか疑わしくなります。2枚組で4千円だったので中学生だった自分には大金で、そのぶん騙された感は大きかったです。でも、大好きなKISSに騙されたのですから嬉しくもありましたけれど。


一方、嬉しいベスト盤もありました。以前にも書いたDEEP PURPLEの「Deepest Purple」では、日本盤になかった「Demon's Eye」が収録され、シングル「Black Night」のスタジオ版も聴く事ができます。KING CRIMSONの「AYoung Person's Guide To King Crimson」ではシングルB面のみ収録の「Groon」を聴く事が出来ました。更に一方では、全くおまけのないベスト盤も多数あります。QUEENの「Greatest Hits」やUFOの「High Level Cut」などで、これらこそ真のベスト盤だと言えます。特にUFOのこのアルバムは何度も聴いた名作でおすすめ作品です。こういった真のベスト盤は本当に実力と人気のあるバンドにしか出せないので、人間椅子のこの度発売になるベスト盤は新曲が2曲と未発表曲が1曲という大盤振る舞いの内容となっております。新曲は気合いを入れて作ったので飛ばさないでくださいね。

腰痛の話に戻りますが、ライブ中に脚が痺れないようにいろいろ工夫しています。まず事前に10分くらいストレッチをします。そしてライブ中は無駄に動くようにしています。お客さんから自分がのりのりに見えたとしても、それは半分はロックのリズムに身体が反応してだとして、もう半分は脚が痺れないようにするためだったりします。



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