【インタビュー】雨のパレード、『BORDERLESS』で何もかも越えていく
2019年に3人体制になり、第二章へと突入した雨のパレードがニューアルバム『BORDERLESS』をリリースする。自由度が増しているバンドの在り方や音楽スタイルを表すのにしっくり来る言葉がやっと見つかったと話したのは雨パレのメインソングライターである福永浩平。蔦谷好位置を共同プロデューサーに迎えて制作されたシングル「Ahead Ahead」「Summer Time Magic」「Story」でポップに振りきった新たな面を提示したかと思えば、先行配信されたHIP HOPユニットDos Monosとのコラボレーション楽曲「惑星STRaNdING(ft.Dos Monos)」のような斬新なナンバーで攻めてくるなど、そのアプローチはまさにボーダーレス。メロディラインとリズム、音像にこだわり、陽と陰、ポップとコアをフリースタイルで行き来する今作はどんな意識の変化から生まれたのだろうか。3人に話を聞いた。
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■しっくり来る言葉が見つけられた
──3人体制になっての初のアルバム『BORDERLESS』はコーラスから始まるタイトル曲からして力強くポップで肯定感に満ちています。この曲が出来たからアルバムのタイトルが決まったんでしょうか?
福永浩平(Vo/以下、福永):時系列的にはアルバムのタイトルの方が先ですね。『BORDERLESS』というタイトルにピッタリな曲だなと思ったので、同じ曲名にしたんです。
──なるほど。「BORDERLESS」には“何もかも越えていけ”という歌詞が出てきますが、ジャンルや海も越えていくという意味でアルバムのタイトルを付けたんですか?
福永:雨のパレードを象徴する言葉って何かないかな?ってチームで話し合ったときに出てきたんです。僕たちはいろいろなジャンルをやっているバンドでオーバーグラウンドもアンダーグラウンドも関係なく、いろいろな時代の曲をやっているのでようやく“BORDERLESS”というしっくり来る言葉が見つけられたなって。3人体制になってから曲作りやライブのやり方も自由度が増しているので、より自分たちにピッタリな言葉なんじゃないかなと思ったんですよね。
──枠に当てはまらないというのはバンド活動をしていく中で思ったこと?
福永:そうですね。僕は基本的に洋楽の新譜ばっかり聴いていて、そこからアイディアやアレンジを取り入れたり、そのときどきの自分たちがいいと思えるものを吸収してきたんです。
──新しい洋楽がいいんですか?
福永:そうなんですよね。ときどき、こういうタイプの人間っていると思うんですけど(笑)、気になる新譜が出たらすぐ聴きます。つねに新鮮さを求めているというか、聴いてハッとさせられるような音楽が好きなんです。
▲福永浩平(Vo) |
大澤実音穂(Dr/以下、大澤):私は雨のパレードで活動するようになってから、福永の趣向性もあって新譜を漁るようになりましたね。音作りに必要不可欠なので。自分が見つけたものの中から「これカッコいいかな」ってメンバーに聴かせたり、今、流行っているビートの中でどれが自分たちにしっくり来るんだろう? って考えて曲に落とし込んだりしています。
──3人でつねに音楽を共有しているんですね。3人体制になって雨のパレードは第二章に突入しましたが、第一章との違いというのは?
福永:サウンド面でいうと、4人体制だったときはスタジオでセッションしながら曲作りをしていたので、手の本数でしか音を奏でられなくて。僕らがやろうとしていることとは正反対の手法で制作していたんですね。だからこその良さもあったのかもしれないですけど今はPCのDAW(DTMのソフト)上で組み上げるようになったので、これまでできなかったアプローチができたり、使いたかった音を惜しみなく使えて、音を重ねて表現できているんです。
──作曲の手法自体が変わったんですね。
福永:そうですね。それと今年になってから蔦谷(好位置)さんと共同プロデュースという形で作業して、先生のようにいろいろなことを教えていただいたので、すごく良い経験をさせてもらったなって。一緒に作ることによってメロディも歌詞も一段階、上に行けたという実感はあります。
──中でも印象に残っているアドバイスは?
福永:数え切れないですけど、歌詞の言葉尻を合わせることによって全体のグルーヴ感が出るとか、韻を踏むとリズムが出るとか、ブレスを短くするとリズムが際立つとか、勉強になることばかりでしたね。だから、3人体制になってからの気持ちが反映された歌詞がたくさんあります。
──蔦谷さんから「こういう言葉はどう?」って提案も?
福永:ええ。「この言い回しだと伝わりづらいかも」とか。
──雨のパレードの間口を広くするような作業だったんですね。
福永:完全にそうだと思います。前回のアルバム(『Reason of Black Color』)がひとつの区切りという感覚があったので、より多くの人に届けるという気持ちを強く持って取り組みましたね。
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