【インタビュー】DEZERT、アルバム『black hole』完成「変えるためになにをするのか」
■初めてだと思うんですけど
■まず生演奏で合わせてみた
──メンバー3人がそれだけ変化を感じたということは、全ての曲と歌詞を書いた千秋自身も、変化を相当意識してたんですか?
千秋:“変えるためになにをするのか”っていうことに、時間が掛かった1年で。服装に例えると、おしゃれな人はいろいろなことができるけど、僕はあまりそういうのができないというか。自分のスタイルがあると思い込んでいる。歌い方しかり、歌詞しかり。それを好きでいてくれるのは嬉しいけど、自分では満足できていない。変わりたいけど、じゃあ、どうするか?ってことですよね。
──自分のスタイルがあると思い込んでいるけど、引き出しを開ければ、カラフルなものやシンプルな服などあって、ミュージシャンとしての音楽的な引き出しも実は多いでしょ?
千秋:まあ、でもタンスがそもそもカビ臭かったら、カラフルな服もカビ臭いじゃないですか。引き出しはいっぱいあるんですけど、その前にタンスを変えなきゃいけない。それで自分の歌を改めて聴いてみたら、“しゃべり声のほうがカッコいいな”とか、“なんでこの歌い方しているんやろう”とか。
──そういう細かいところから。それだけ変革期を迎えたいという強い気持ちがあったわけですか。
千秋:そうです。
▲Miyako (G) |
千秋:いや、全然ですよ。短期集中型なんで、今年6月にツアー(全国ホールツアー<DEZERT 2019 TOUR “血液がない!”>)が終わってから曲を本格的に作り始めましたね。
──プレイヤーとして試される部分も多い楽曲でした?
Sacchan:“すごくやりやすくなった”と個人的には思っていて。楽曲の捉え方を言うと、さっきは邪念と言いましたけど、今までは楽曲に対して戦略が絡んでいたんですよ、たぶん。“バンドとして今、活動していくために必要なもの”みたいな。それは音楽的な意味じゃなくて。
──見せ方やイメージなど?
Sacchan:それが要素として大きかったと思うんですよね。昨今のヴィジュアル系ってそれが色濃く出ちゃうから、おそらく全部似てくるんですよ。メンバー内で、“俺はこうするべきだと思う”とか“いや、俺はこう思う”とか、実は音楽的じゃないところで話し合っていたことにも、僕は最近気づいて。だから音楽に、真似事として乗っかっていただけというイメージがすごくあって。ただ今回の楽曲は、バンドのスタンスとか作戦ではなくて、楽曲のみになった。しっかり音楽的な話ができるのであれば、メンバーの色が出ていて良くて、それが聴き心地が良ければなお良くて、それが万人に受けたらさらにいい。
──つまりSacchanは今回、曲に向かってアレンジをするときにストレスがなかったと。
Sacchan:ほぼなかったですね。ベーシストとしての自分で勝負できるっていうのもあるし、聴き心地がいいとかって部分は僕として自信もあるほうなので。
──いい意味でミュージシャンとして煽られる楽曲であったと。そして料理しがいある素材でもあったと。
Sacchan:そうだったかもしれないですね。
▲フルアルバム『black hole』通常盤 |
SORA:今回、DEZERTで初めてだと思うんですけど、千秋が作ってきた曲を一度、全員で合わせるためにスタジオで生演奏してみたんです。そういうプリプロ作業を、アルバムを作るにあたって初めてしたんです。それ以前は、プロトゥールスなどDAWのなかでプリプロをしていたので。今回は“ライブに来たくなるアルバム”っていう最初のテーマもあったから、生演奏で合わせてみて、“テンポがちょっと遅いな”とか“ドラムがどうこう”とか、メンバーみんなで演奏しながらそういう話をして。だからドラムのフレーズもビート感も、全てにおいてバンドで作ったものだと俺は思っているんです。“みんなが言ってることも分かるけど、自分はこうしたいし…”、“ああ、なるほど、そういうことか”とか。そうしたコミュニケーションをしながらのプリプロで。すごくいい時間だったなと思いますね。
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