【インタビュー】DEZERT、アルバム『black hole』完成「変えるためになにをするのか」
DEZERTが11月27日、ニューアルバム『black hole』をリリースする。フルアルバムとしては約1年3ヵ月ぶりとなる『black hole』には先行配信リリースされた「バケモノ」を含む、全14曲を収録。そのサウンドは突き抜け、4人の一体化したグルーヴ感が全体を支配した仕上がりだ。と同時に、ジャンルのカテゴライズが無意味に思えるほど、豊かなオリジナリティーに溢れているところに、DEZERTならではの醍醐味がある。
◆DEZERT 画像
「不特定多数に向けて歌ったほうが、一度きりの人生、チャレンジしがいがある」とは千秋の弁だ。過去に積み上げられてきたものを破壊することすら恐れず、新たな地平を切り拓く。結果、広がり続ける可能性と変わらぬ本質が、アルバム『black hole』をより深くより濃いものにしたようだ。“ライブに来たくなる曲たちを作ろう”をテーマにスタートしたというアルバムについて、メンバー4人に語ってもらったロングインタビューをお届けしたい。
◆ ◆ ◆
■今回は歌詞がリアルに聴こえて
■歌詞の変化は大きかった
──ライブ直後に反省会をよくしているらしいじゃないですか?
千秋:そうですね。いろいろ話を聞くと、他のバンドに比べたらやっているらしくて。
──次に向けて話をするなかで、自分たちが以前より高いレベルに進んでいることも確認したり?
千秋:ここ1年はだいぶ。レベルというより、メンバー全員の目指している地点が一緒になってきたというか。なんとなくそれぞれ目標ってあるじゃないですか。それがまとまったのが、去年、アルバム『TODAY』をリリースしてからで。そしてやっと今回の『black hole』で、ひとつの目指す道みたいなのが分かってきた感じがしますけど。
──『TODAY』を発表した時期、ライブも通してDEZERTの変化を感じたんですよ。それまでは攻撃的な方面で突き進んでいたのが、聴かせる曲や自分たちに引き込むようなステージを見せるようになりました。あの時点で、自分たちの目指す理想形もだいぶ変わったんですか?
千秋:それはもう完全に。顔も知らない人に向けてライブをするっていう。昔は攻撃的、というのは否定しないですし、“僕らDEZERTはこういうバンドなんだ”って知ってもらいたくて必死だった部分があったんです。これまでライブハウスや大きいところでもやらせてもらって、そこで満足なら、攻撃力を上げるだけでいいかなと思うんです。
▲千秋 (Vo) |
千秋:多分、みんなそうだと思うんですけど、いろんな人に知ってもらうほうが継続できるというか。例えばそれが、おばあちゃんでもいいし、名前も知らない少年でもいい。不特定多数に向けて歌ったほうが、一度きりの人生、チャレンジしがいがあると僕は思っていて。あの当時、それをよく周りから“もがいている”とか言われたけど、全然そんなことはなくて、チャレンジしているとしか言いようがないんです。
──変化しようとしている時期、DEZERTが迷走しているようにも感じていたんです。なにをやろうとしているのか、なにをやりたいのか、そしてお客さんの盛り上がり、それらがうまくかみ合っていないような気がして。
千秋:うん、そうですね。去年のツアーファイナル(<DEZERT LIVE TOUR 2018「What is ”Today”?」>11月18日@Zepp DiverCity)はそうでした。でも全然気にしてなかったですけどね、そこは。ファンのためにライブをするのは当たり前のことなんで、反省会ではそこの部分の議題は出ない。でも顔が見えるライブをしてしまうと、つまらないというか、その先がないって部分があって。それに気づいて、去年はわざとああいうアルバム『TODAY』を作った部分もあったんです。
──ファンの心情的なものを理解していながら、『TODAY』では敢えて期待と違うところに自分たちで踏み込んだんですか?
千秋:まあ、そうですね。メンバーは仲いいんですけど、例えばなにか意見の食い違いが起こるとするじゃないですか? 人間だし、そういうことは絶対にあるんですよ。1万人が1万人、100%満足できるって無理、支持率100%の国もないでしょ。だから、目指すものとか方向性とか、出てきた意見のなかで一番のプライオリティを決めようと。今のところはそれを徐々にやっていってる部分もありますけど。
▲フルアルバム『black hole』初回生産限定盤 |
千秋:まあ、そうかもしれない。
──千秋からの原曲を最初に受け取ったメンバー3人は、どう感じました?
Sacchan:『TODAY』のときからそうでしたけど、今回も変化をだいぶ感じてました。邪念が消えたというか。
──今までは邪念だらけだった?
千秋:いや(笑)。
Sacchan:“0”から作り上げる作曲者ってそうだと思うんですよ。僕も0から1にするときたまに思うんですけど、自分の頭のなかからたくさん要素が出すぎちゃって、“果たして、それが純粋にいいのか”ってところが隣に置かれちゃう。これまでは、たぶんそうだったと思うんですよ。『TODAY』でも、以前とはちょっと違う邪念が入っていたと思うんです。でも、今作の原曲に関しては、わりとスッキリというか、シンプルにというか。“あっ、吹っ切れているっぽい”みたいな。“いいものを、ただ良くしようぜ”っていうテンション感で作られていて、そこに千秋くんの好みがガッツリ入っているだけのものになっていたんじゃないかな。
SORA:俺、千秋とは好きな音楽とかけっこう話すんですよ、友達として。そういう話をしたなかで、今回アルバムを作るとなったとき、“ライブに来てもらうため”というか、“ライブに来たくなる曲たちを作ろう”っていうテーマがあったんです。ところが、最初に受け取った原曲が今回のアルバムに収録されている「I'm sorry」という静かな曲で(笑)。“どうしよう、どうしよう”みたいな。“ドラムはなくてもいいんじゃないか”とかね(笑)。もちろん、こういう静かな曲を千秋が好きなことは知っていたし、みんなで話していたこととは違う。でも、歌詞を読むと、いつもの千秋らしいんですね。最初はビックリしたけど、そこから原曲がどんどん出てきて、“あっ、おっ、オオーッ”みたいな経過がありました。
──最後の、文字にしづらい(笑)。
Miyako:ははは。原曲の時点で歌詞もついていたので、僕はまず“歌詞が変わったな”と思ったんですよ。今までのものは分かりやすく例えるとフィクションみたいな歌詞、今回は歌詞がリアルに聴こえて、スッと自分の心に入ってくるようになって。“この曲はあのことを歌っているのかな”とか、自分に当てはめて共感もできたりするようになったんです。その歌詞の変化は大きかった。
◆インタビュー(2)へ
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