【インタビュー】ReN、EP「Fallin'」に温もりとギターとの出会い「目をつぶったら景色が見えるような音楽」

■飛び出す絵本のような曲を
■作れるんじゃないかと思っている

──もう1曲の「Love you」は打って変わってレゲエ要素が入った曲で、こちらも新鮮ですね。

ReN：「HURRICANE」と「Hot and Cold」という2曲はトライを入れたので……といってもこの曲もトライではあるんですけど、ちょっとごきげんなラブソングです。でも、必ずしも恋愛だけではなくて、大切な仲間と火を囲んで歌うようなイメージ。あとは、ドライブしながら、肩を揺らしながら、みんなで優しい気分になれるように。

──気持ちのいいチルアウト感がアコースティックギターとオルガンの音色にも映っています。これまでのReNさんの作品やサウンドのイメージってモダンできらびやかな印象が強いんですが。今回のEPでは、それとはまた違った温もりのあるアコースティックな音が中心になっていますね。このあたりは今のモードでもあるんですか？

ReN：もともと自分のなかにあったアコースティックな面が出たと思うんですけど、過去の作品を振り返ったときに、今回みたいな楽曲はあまりなかったんです。たくさんの幅広い層の人たちがライブに来てくれるようになった今、ライブで自分の音楽を楽しんでもらったり一体感を作れるもの……というと、自分はひとりでやっているからこそアコースティックサウンドが大事だなと思っていて。そこは真骨頂として持っていないといけない。それに今回はアルバムではなくEPなので、よりトライがありますね。

──今、ギターの他に自分をインスパイアする音、これが面白いなっていうブームの音はありますか？

ReN：自分が使っているループステーションはサンプラー的な要素もありますよね。例えば、自分の声やブレスのサンプリングを使って、曲の隙間に埋めていくことで飛び出す絵本のような曲を作れるんじゃないかって思っているんです。必ずしもきれいに当て込んだハーモニーじゃなくて、開いた時に飛び出てくるような仕掛けのある音楽。そういうことをやってみたいと思ってます。さっき言ってもらったようなモダンな世界観も自分の音楽チャンネルとしては大事だけど、今回はアコースティックを軸にしたり、次はもしかしたらまた違うものになるかもしれない。やりたい世界はいろいろありますね。

──ワンマンツアーがスタートしますが、ツアーを重ねてきて、ReNさんならではのひとりセッションの在り方が固まってきた感触はありますか？

ReN：そうですね。いろんなことにトライしながら、そのプロセスをリアルタイムでみんなに見てもらえている。ここからも増やしたり、削ぎ落としたり、失敗も含めて、繰り返していくとは思うんです。ただ、ひとりでの多重演奏でいうと、“今の音数がマックスなのかな”とか、“もっと違う驚きを表現していきたいな”とも思っていて。可能性は無限だから、ひとりに戻ることもできるし、ひとりを増幅させることもできる、その人数感が常に変えられるのは多重演奏の面白さであり、会場の規模も大小関係なくできるのは強みだと思っています。

──今年5月30日に新木場STUDIO COASTで行われたライブ(ワンマンツアー「衝動」)を観て、この大きなステージにひとり立って、ループステーションを使った多彩なサウンドを生み出して、しかもそれをショーとして見せるのはすごいことだなと思いました。あのショーがまたどう発展していくかは、興味深いです。

ReN：この4年間、ツアーをしながらひとつひとつステージを大きくしてきたんですけど、みんなで作り出すグルーヴに助けられたこともすごくあるんです。同時に、自分のパフォーマンスを理解するのに時間がかかる人も実際にまだいるので。そこをより身近なものにするのが、今回のワンマンツアーだと思っています。STUDIO COASTのときより、もっといいものができるんじゃないかなと思っています。

取材・文◎吉羽さおり
撮影◎野村雄治







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