【インタビュー】SHE IS SUMMER、ポジティブな波動が広がる新作『WAVE MOTION』
■暗い歌はいらないんじゃないかなって
──制作のエピソードとして、印象深かったことは何かありますか?
MICO:今回東郷清丸さんと1曲作ったんですけど(M-5「嬉しくなっちゃって」)、私は清丸さんの音楽がもともと大好きだったので、音に関しては、細かくオーダーすることはなかったですね。会ってすぐ「どういうアルバムにしたいんですか?」って聞かれて、「『WAVE MOTION』というタイトルで、そのタイトルはこういう意味で、最近こういうことを考えているんです」みたいなことを話したら、清丸さんも「すごくわかる」って言ってくれたんですよ。なんか、そういうの初めてで。曲については「テンポはこれぐらいがいい」くらいしか言わなくて、それ以外のことをたくさん話して曲を作ってもらうっていうのが出来て、すごく嬉しかったです。
──音楽的な話はほとんどしないで?
MICO:こういう音楽が好きっていうような話はしましたけど、それ以外はほとんどしてなくて、本当に個人的な思想みたいなものしか打ち合わせで話していないですね(笑)。でも清丸さん「あぁ、わかります」「わかりました、作ります」って(笑)。その感じがすごくよかった。
──通じ合うって気持ちいいですね。
MICO:そう。同じこと考えてる人、いるんだって感じで嬉しかったです。
──「MOON LIGHT」は、タイのmamakissというバンドが曲を書いているんですね。
MICO:mamakiss、すごくいいバンドなんですよ。MVとかジャケットとかもすごく可愛い。SISバンドのドラムのOKD(岡田一成-nicoten)が、タイのお土産で貰ったっていうCDをいくつか聴かせてくれた中のひとつだったんですが、タイなのになんでこんなにシティポップみたいなことやっているんだろう!ってすごく面白くて。ディレクターにも聴かせたらすごく気に入っていました。アジアともっと交流をしていきたいよねっていう話は前々からしていたので、早速メールで連絡を取ってもらったら「曲を作りたいです」ってすぐ言ってもらえたんです。
──トントン拍子じゃないですか!
MICO:しかも、レコーディングをしにタイに行ったら、もともとSHE IS SUMMERを聴いてくれていたらしいんです。バンドメンバーの妹さんがタイでアイドルをやっているらしくて、その子が私のファンで、日本に行った時にCDを全部買ったって。さらに……。
──まだ続くんですか(笑)!?
MICO:そのアイドルグループをプロデュースしているのが、Gym and Swimっていう、私が大好きなタイのバンドだったっていうすごい繋がりが(笑)。向こうの人たちとも仲良くなって、本当に楽しくレコーディングをしてきました。みんな、すごくポップな方達でしたよ。お邪魔したスタジオはとても綺麗なところで、しかもアーティストのためにシンハー(※タイのビール)は飲み放題で、私以外みんなずっと飲んでましたね(笑)。mamakissに会いたいからって一緒に来ていたOKDまでずっと飲んでましたからね。
──最高です(笑)。
MICO:移動の時は、車でずっと渋谷系の音楽が流れていました。フリッパーズ・ギターが大好きだって言っていたし、そこまでメジャーではなかったけど私が大好きなLampというバンドまで知っていてびっくり(笑)。逆に、私の知らない日本の曲までかかっていて、あぁ、本当に好きなんだなぁって思いました。
──音楽でどんどん会話が進んでいるような感じですね。ありきたりな表現ですけど、好きな音楽があれば言葉とか国境とか関係ないんだなと思います。
MICO:そうなんですよね。ちなみにこういう渋谷系の音楽って、彼らにはどんな風に聴こえてるんだろうと思って聞いたら“Warm Ear Song”、耳が暖かくなるような曲だって言ってました。
──なるほど、そういう感覚なんですね。
MICO:アジアはやっぱり面白いなと思うので、これからも活動の場として広く見ていきたいなって思いました。12月に台湾のフェスでライブをやるかもしれないんですが、やっぱり「CALL ME IN YOUR SUMMER」はアジアですごく人気がある曲なので、その辺りを踏まえた選曲にしようかなって考えているところです。
──日本はもちろんですけど、海外の方も実際にライブが見られるとなると嬉しいでしょうね。ではもう少し楽曲のことを聞いてみたいんですが、今回「CRY BABY」という曲ではMICOさんが作曲も手掛けていらっしゃいますね。
MICO:作曲でクレジットされたのは、SHE IS SUMMERのCD収録楽曲としては初めてになります。これはアルバムに向けてというより、ライブで歌うために作ったんですよ。『MIRACLE FOOD』のツアーで新曲をやりたいなぁというのもあって。
▲SHE IS SUMMER /『WAVE MOTION』
──この曲もそうですが、今回アルバムに収められている楽曲には「光」や「光る」というワードがたくさん出てくることに気づきました。「灯り」とか「輝く」とか、そう言った類の言葉が多いなと。
MICO:本当ですか?(歌詞カードを見ながら)あ、本当だ(笑)。でも、前向きなアルバムにはしたいと思っていたんですよね。ポジティブな感じ。波動っていう意味では、さっきお話しした水の輪の感じも水面が光っているイメージだし。だからたぶん、そういう気分が表れているんでしょうね。
──なるほど。
MICO:LIQUIDROOMでの光景を見て、私が感じられてない部分でこんなにたくさん聴いてくれている人がいるんだという気持ちになりましたね。今までは自分の思い出を閉じ込めるというか、作品を作ることの楽しさみたいなところで作っていたけど、それに加えて、やっぱり言霊ってすごくあると思うから、あまり暗い歌はいらないんじゃないかなっていう気分が私の中に生まれたんですよね。どこからか流れてきて、無意識に入ってきた言葉やムードに人ってすごく引っ張られると思うから、せめて自分は、誰かの耳の中にいい言葉を入れられるほうがいいなって思ったり。
──素敵です。
MICO:それとは別に、今回は、自分が音楽を聴く時や自分が音楽を欲する時ってどういう時なんだろうって考えてみたんですね。ファンの方からは、朝お出かけの準備をしている時に聴くと気分が上がりますって言われることが多かったんですが、私自身は結構車に乗っている時や誰かと家でゆっくりしている時にBGM的に聴くことが多いなって思ったんです。だから今回、BGMで流した時にすごくムードが良くなったり、気分が良くなるようなサウンドにしたいなというのもありました。気軽な感じで、ぜひ聴いてみてもらえたらなって思います。
──では最後に、今後についてですが。
MICO:直近で言うと、MV撮影が控えています(※取材時)。「海岸2号線」は先日撮ってきたんですが、もう1本台湾で「嬉しくなっちゃって」を撮る予定です。他にも「CALL ME IN YOUR SUMMER」「会いに行かなくちゃ」「Darling Darling」はすでに公開されているのでぜひ見てみてください。あと年内はWONKのライブにゲスト出演させてもらったり、自主企画のアコースティックライブなどもあります。ワンマンは来年ですね。大阪と名古屋と東京でワンマンツアーを行います。大阪のShangri-Laは前回もすごく楽しかったし、東京のO-EASTはこれまでで最大キャパになります。前回のLIQUIDROOMは思いが強すぎて緊張していたから、今度はリラックスしてやりたいなって思います(笑)。
取材・文◎山田邦子
2nd Album『WAVE MOTION』
品番:SCL-007
¥2,860(税込)
1.(wave motion)
2.Darling Darling
3.CRY BABY
4.CALL ME IN YOUR SUMMER
5.嬉しくなっちゃって
6.夜に溶けないように
7.おとなになるね
8.会いにいかなくちゃ
9.希望の街
10.MOON LIGHT
11.誰より僕ら、未来を探そう
12.海岸2号線
13.Bloom in the city
<SHE IS SUMMER ワンマンツアー「WAVE MOTION TOUR」>
2月23日(日)大阪・梅田Shangri-La
2月24日(月祝)愛知・APOLLO BASE
4月24日(金)東京・TSUTAYA O-EAST
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