【インタビュー】SHE IS SUMMER、ポジティブな波動が広がる新作『WAVE MOTION』
MICOのソロプロジェクト、SHE IS SUMMERによる2ndアルバム『WAVE MOTION』が完成した。海外のリスナーを巻き込みながらロングヒットを続けている「CALL ME IN YOUR SUMMER」や、初のドラマ主題歌として書き下ろした「Bloom in the city」(テレビ大阪『まどろみバーメイド 〜屋台バーで最高の一杯を。〜』)など全13曲を収録。GREAT3 / Chocolat & Akitoの片寄明人やevening cinemaの原田夏樹などお馴染みのアーティストに加え、東郷清丸やフレンズのおかもとえみ、タイのバンド・mamakissなどが新たに参加し、ボーカル・MICOのさらなる魅力と表現力を引き出した作品になっている。
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■今までで一番一貫性があるのかも
──前回インタビューさせていただいたのが、5月にリリースされたE.P.『MIRACLE FOOD』の時でした。6月にはLIQUIDROOMでワンマンライブもありましたが、そこからずいぶんいろんな動きがあったようですね。
MICO:そうなんです。まずあのLIQUIDROOMのライブが終わった翌日から、メキシコに行っていたんですよ。すごく素敵な国だって聞いて、興味を持ったから。普通にプライベートな旅行で、2週間くらい行ってきました。
──いろんな刺激があったんでしょうね。
MICO:締め切りの兼ね合いで、その旅の間に、「Bloom in the city」の歌詞を書かなきゃいけなかったんです。なので、その旅の感覚みたいなものがこの1曲にすごく表れている気がしますね。ライブをやったLIQUIDROOMの景色を見て思ったこと、ドラマの原作や台本を読んで感じたこと──屋台バーの話だったので、飲食店がその街に根付いていて、街を彩ったり変えていったりみたいなのは素敵なことだなと思ったので、そういうことを書きたいなというのがまずあって。あとは、メキシコのグアナファトという都市で感じたことも大きかったです。メキシコは自然がすごく溢れているんだけど、グアナファトという街は、人の営みとテクノロジーと自然がとてもいい感じで融合していたんです。私が思うに、ですけど。なんだかすごくいいバランスの街だなと思って、その土地とか人のパワーを感じたんですよね。
──行ってみて、肌で感じるものってありますよね。
MICO:あります、あります。天候でも違うじゃないですか。寒い地域と暖かい地域、葉っぱ系の自然なのか海系の自然なのかでも、そこに暮らす人の感じって変わると思うんです。当たり前のことかもしれないけど、風とかも全然違うし。そういうニュアンスみたいなものが、この「Bloom in the city」には詰め込まれているなと思っています。
──“Bloom”という言葉が、生命力みたいなものを伝えてくれますよね。息づいている感じというか。
MICO:<いつの日か 花が咲くように救われる>という歌詞から“Bloom”という言葉に繋がったんですが、街全体が開花するみたいなイメージでタイトルをつけました。でもこれ、最後の最後までタイトルが決まらなかったんですよ。アルバムの最後に入れることは決まっていたんですけどね。
──この曲が最後に来ることで、アルバムは聴き終わったんだけど、この先へと続く前向きな気持ちのような余韻が残りますよね。いつもの街の見え方がちょっと変わったような気もしました。
MICO:ありがとうございます。この曲を作っていた時はアルバム収録のことを意識していたわけではなかったのですが、曲順を考えるにあたって、これは最後だなっていうのは自分の中で決まっていましたね。1曲目も、これだなって決めました。
──ではその「(wave motion)」で幕を開ける今回のアルバムですが、『WAVE MOTION』というタイトルだけで、全体のムードを余すことなく伝えてくれる素敵な言葉だなと思いました。
MICO:よかった!このタイトルは、前作の『MIRACLE FOOD』を発売する前には決めていたんです。フルアルバムを年末あたりに出すことは決まっていたので、その辺りから考え始めて「タイトルは『WAVE MOTION』がいいかもしれない」って思っていたんですが……。あれ?なんでそう思ったんだっけ(笑)?
──直感的にってことですか?
MICO:何かメモ、残っているかな?(スマホを取り出して)あ、4月4日にアルバムタイトルが浮かんだみたいです(笑)。<まだ3rd E.P.もリリースしてないのに、次のアルバムタイトルの破片が急に頭の中に浮かんだ>って書いてある。<隕石とか波とか水晶とか、クリアでパワーがあるものがいい><波動><WAVE MOTIONがいいかも>って。
──すごい(笑)。
MICO:アルバムのタイトルが先にあると、いろんな人と一緒に曲を作る中でひとつの指針になると思うんですよ。もちろん、意味はそれぞれの解釈でいいんですけどね。でも作るにあたってタイトルがあるのとないのとでは違うなって思ったので、今回は先に付けたいというのがあったんです。
──なるほど。しかしこの“波動”って、あまり日常的に使う言葉じゃないなと感じたのですが。
MICO:結構こういうことについて調べるのが好きなんですよね。波動って、何かが伝わっていくっていうイメージもあるし、水がポチョンと落ちて広がる波紋みたいなものもある。私、あの水の輪のビジュアルが大好きなんですよね。
──だから1曲目の「(wave motion)」も、水滴を思わせるような音で始まるんですね。
MICO:はい、完全にそのイメージでした。あと、「Darling Darling」とか「CRY BABY」かな?私、波打っているようなギターのサウンドが好きなんですよ。前作の制作時から、SHE IS SUMMERにちゃんと自分の好きなサウンドを取り入れようっていうことをやってきたので、そういうところにもこだわりました。曲自体も、ちょっと波打っているようなグルーヴ感のあるものにしたかったので。そういうのが好きなんですよね、聴覚的にも視覚的にも。
──揺らぎの心地よさみたいなもの、ありますよね。
MICO:そう。ピッチも揺れてるほうが好きなんです。あまりにもガツッ!としたものはしんどくなっちゃうから(笑)。
──このアルバムにも、MICOさんの感性やSHE IS SUMMERとしての個性が、いろんなクリエイターの方へ柔らかく伝わっていくようなイメージを持ちました。解釈はきっとそれぞれなのに、すごく一貫性がありますよね。
MICO:グラデーションはありつつ、今までで一番一貫性があるのかも。
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