【インタビュー】果歩、10代のエンドロールにふさわしく20代への追い風となるEP「水色の備忘録」
■果歩というアーティストがどう進んで行くのかを
■ちゃんと考えなきゃいけないなって思うようになりました
――「彼女たちの備忘録」の歌詞は、まるで映画の1シーンを見ているような、何か脚本のようなものがあってそこから生まれたような印象の歌詞だなと思ったのですが、実は全然違うそうですね。
果歩:これは私と、私の大切な幼馴染の曲なんです。でもそんな風に言ってもらえてすごく嬉しい。
――題材は身近なところでも、歌詞として仕上げる時の視野や表現の幅が広かったということなんでしょうね。
果歩:最近、またたくさん本を読むようになったんですよ。しばらく時間がなくてあまり読んでいなかったんですが、喫茶店が大好きでよく行くようになったら、本もまた読むようになったんです。この曲は日記…ではないけど、小説とエッセイを一緒にしたようなイメージで書きました。さっき「水色の備忘録」というこの作品のタイトルについても話しましたが、この曲はまさに、自分の成長過程みたいなものが詰め込まれているので、結果的には映画のエンドロールで流れるような曲になったと思っているんです。
――10代のエンドロールというか。
果歩:そうそう。ちゃんとまとまったなって感じがしました。
――こんなに素敵な曲が生まれるなんて、すごくいい関係性なんですね。
果歩:その子とは2、3歳の頃から仲が良くて、学校ではお互い他の友達と一緒にいたりもするけど家に帰ったらフラッと遊びに行ったりするような、そういう感じだったんですね。でも高校で別々の学校になると、3年で1回くらいしか会わなかったんです。私がライブを始めた時期でもあったから「今日来られる?」って誘ったりしていたけど、「バイトだから行けない」って言われたりして。仲がいい人ほど、断られるとダメージが大きいじゃないですか。そういうこともあって、だんだん誘わなくなったんです。で、私は上京したからなおさら疎遠になって。
――ちょっと寂しいですね。
果歩:私の音楽とかには興味ないんだろうなと思っていたんですが、大学に入って1年くらい経った時に連絡が来たんですよ。前作の「光の街」を出した頃だったかな?急に「来年から埼玉に行くわ」って。「果歩の音楽をもっと応援したいから、近くに行く」って言われたんです。
――いきなり!?それはすごい展開です!
果歩:「本当はずっと応援していたんだけど、果歩が急に大きくなっていったから距離を感じてしまって」って。お互い勝手に距離を感じていたんですよね。そんな風に言われて、あぁ、ちゃんと友達だったんだなと思いました。それですぐにこの曲を書いたんです。普通に生活していたら思い出せないようなことまで、その日はいっぱい思い出すことが出来たんですよね。
――最初の話じゃないですけど、音楽はちゃんと届いていたんですね。
果歩:はい。めちゃくちゃチェックしてたって(笑)。もう本当に嬉しかったです。
――その幼馴染には、この曲を聴いてもらったんですか?
果歩:いや、言ってないんですよ。直接言うのは恥ずかしいから、この記事を送ります(笑)。
――わかりました(笑)。ちょっと話を戻しますが、この曲は冒頭の語りのようなボーカルスタイルも果歩さんの新たな一面を引き出していますね。
果歩:やっぱり他の曲とは違う特別感があったし、思い入れも一番ある曲なんですね。だからちょっと違う感じにしたくて、ギターも普段使ったことのないコードを取り入れたりしているし、ボーカルのあの感じも自分で考えました。さっきの「紀行日記」の語りの部分もそうですが、ベースの部分はデモの段階からほぼ変わってないんですよ。本当にアレンジだけが加わったっていう感じです。
――MVも透明感があって、この曲の雰囲気にぴったりでしたね。
果歩:そうなんです。女の子の、キレイなんだけど儚い部分みたいなところを上手く表現してもらいました。
――以上3曲がmulletによるアレンジで、「テトラポットとオレンジ」はこれまでの作品でもおなじみのa crowd of rebellionのギター丸山 漠さんがアレンジを手がけています。
果歩:同郷ということもあるし、みんなでご飯にも行くくらい仲良しでもあるから、言いたいことも言えるし、私の好みもわかってくれた上でのアレンジになって返ってくることが多いですね。この曲はデモが結構ゆったりしたバラードっぽい感じだったんですが、漠さんから「このままのイメージでかっこよくも出来るけど、こんな感じもきっとかっこいいからやってみていい?」と。
――かなりシャキッとしたアレンジになりましたよね。
果歩:はい。こういうのもアリなんだなって、すごく思いました。さすがです。弾き語りのライブなどではいつも最後にこの曲を歌っているんですが、また違った雰囲気を味わってもらえる音源になりましたね。
――弾き語りの「ぷりん」は高校生の時に作った曲だそうですね。
果歩:ライブではほぼ毎回のように歌っている曲なんですが、「光の街」に収録された「あいつとライブハウス」と同じく、音源にしてほしいっていう声がすごく多かった曲なんです。10代の締めくくりだし、高校生の時に作った曲は入れたいなと思っていたから、この「ぷりん」と「テトラポットとオレンジ」は入れようと決めていました。
――20歳を前にして歌う気持ちはどうでした?
果歩:気持ちとしてはちょっと大人になりつつあるけど、「ぷりん」なんかは本当にあの時のまま歌えるというか。ちゃんと、あの時の気持ちを思い出して歌える曲です。
――「水色の備忘録」。この作品もたくさんの方に届けたいですね。
果歩:はい。ライブハウス限定でCDを売っていた時は、地元の新潟の人には届いていたかもしれないけど、関西とかもっと遠くの場所の人にはなかなか音を届けるっていうことができなかったんですね。だけど今は自分から足を運んで行く機会も増えたし、こうして全国で流通してもらえるようにもなったし、届いているんだっていうその広がりが目に見えるようにもなってきたからこそ、果歩というアーティストがどうやってこれから進んで行くのかをこれまで以上にちゃんと考えなきゃいけないなって思うようにもなりました。
――いわゆる”アコギ弾き語りの女子”っていう言葉でひと括りにはされたくない、もっと色んなことができるんだっていうことを知ってほしいっていう果歩さんの思いがしっかり形になっているわけですからね。今回も胸を張って届けましょう!
果歩:はい(笑)。そしてライブもぜひ見てもらいたいです。今度東京でワンマンをやるんですが、下北沢のSHELTERでやるんですよ。女の子のシンガーソングライターだから弾き語りっぽいハコでとかじゃなく、バンドの音でちゃんとやりたいから。
――頼もしいです。
果歩:その後はリリース記念のツアーもあるんですが、新潟にも行けるからすごく楽しみです。音源はもちろんですけど、ライブでしか伝わらないものもしっかり届けていきたいって思っています。
取材・文●山田邦子
リリース情報
2019年10月9日(水)発売
MKLP-004 ¥1,500+税
1.紀行日記
2.彼女たちの備忘録
3.法則のある部屋から
4.テトラポットとオレンジ
5.ぷりん(Acoustic ver.)
ライブ・イベント情報
10月18日(金) 20:00 START@ヴィレッジヴァンガード下北沢
内容:アコースティックライブ+ポストカードサイン会
配券対象店舗:ヴィレッジヴァンガード下北沢
10月20日(日) 19:00 START@タワーレコード池袋店
内容:アコースティックライブ+CDサイン会
配券対象店舗:タワーレコード池袋店・渋谷店・新宿店・秋葉原店・横浜ビブレ店
10月24日(木) 18:30 START@タワーレコード新潟店
内容:アコースティックライブ+CDサイン会
配券対象店舗:タワーレコード新潟店
10月26日(土) 14:00 START@ヴィレッジヴァンガードアメリカ村
内容:アコースティックライブ+ポストカードサイン会
配券対象店舗:ヴィレッジヴァンガードアメリカ村
10月26日(土) 18:00 START@タワーレコード難波店
内容:アコースティックライブ+CDサイン会
配券対象店舗:タワーレコード難波店、梅田大阪マルビル店、梅田NU茶屋町店、神戸店、京都店、あべのHOOP店
10月30日(水) 19:00 START@HMV栄
内容:アコースティックライブ+CDサイン会
配券対象店舗:HMV栄
【ライブ情報】
■<「水色の備忘録」リリース記念ワンマン『彼女の備忘録』>
10月15日(火) 下北沢SHELTER
■<果歩「水色の備忘録」リリースツアー 大阪編>
10月27日(日) 南堀江qupe
果歩 / 石庭未来 / and more
■<果歩「水色の備忘録」リリースツアー 京都編>
「Have it All vol.4」
10月28日(月) KYOTO MUSE
果歩 / フタエ / 小林未奈 / 奥野涼 / and more
■<果歩「水色の備忘録」リリースツアー 奈良編>
「trickster vol.6」
10月29日(火) 生駒RHEB GATE
果歩 / 窪穂乃香 / 徳永由希 / ですあゆみ / and more
■<果歩「水色の備忘録」リリースツアー 愛知編>
「sunset BLUE 4th Anniversary」
10月31日(木)名古屋sunset BLUE
果歩 / 坂田穂乃花 / 遠藤理子 /他
■<果歩「水色の備忘録」リリースツアー 新潟編>
11月29日(金)新潟CLUB RIVERST
果歩 / and more
◆インタビュー(1)へ戻る
この記事の関連情報
【インタビュー】「DAM CHANNEL」20代目MCに森 香澄、サポートMCにチャンカワイが就任「プライベートな部分も引き出せたら」
2024年3月のDAM HOT!アーティストはアーバンギャルド、フジタカコら4組
【イベントレポート】<ビッグエコー35周年記念カラオケグランプリ>決勝大会が大盛況。応募4,061件の頂点決定
2024年2月のDAM HOT!アーティストはOHTORA、我生ら4組
2024年1月のDAM HOT!アーティストRKID'z、EINSHTEINら3組
果歩、TVアニメ『星屑テレパス』コラボレーション映像公開
2023年12月のDAM HOT!アーティストは学芸大青春、the paddlesら4組
2023年11月のDAM HOT!アーティストはACE COLLECTION、3markets[ ]ら4組
T-BOLANのメンバーと一緒のステージで歌えるチャンス、大好評実施中