【速レポ】<中津川ソーラー>the band apartのまっすぐな想い
いよいよ初日のREDEMPTION STAGEも大詰め。締めくくるは、多くのミュージシャンからも絶大な支持を集めるthe band apartだ。
◆the band apart 画像
<中津川ソーラー>でもすっかりお馴染みになった存在ではあるが、荒井岳史(Vo、G)が「出れるだけでも嬉しいのに、まさかのREDEMPTION STAGEのトリっていう」と驚きを持って語っていたように、これまではREALIZE STAGEやRESPECT STAGEでの出演であり、意外にもREDEMPTION STAGEは初。しかも、トリという大役だが、その責務を皆の想像や期待を遥かに超えて果たしていった。
SEを使わず、そのまま登場した荒井、川崎亘一(G)、原昌和(B)、木暮栄一(Dr)は気負ったような素振りなどなく、自然な流れで「coral reef」を鳴らし始める。ハイセンスなアンサンブルが夜空に響き渡る様は、闇を切り裂くようでもあり、包み込むようでもあり、どの瞬間を切り取ってもクライマックス級なプレイに酔いしれてしまう。
イントロからハンドクラップが巻き起こり、荒井と原の声の重なり、全身をしならせながらギターを鳴らす川崎、支えながらバランサーとしても機能する木暮の混じり合い方が素晴らしく、体がフワッと軽くなるような浮遊感を味わえた「higher」はハイライトのひとつ。客席の湧き上がりも際立っていた。
ライヴ中盤に差し掛かったところ、荒井が「(雨が)パラッときたけど、晴れて、しっかり夕焼けも拝めちゃう。これは(佐藤)タイジさんの霊的な何かが……」と笑いを誘ったあとに「あと、みんなの念が強いんだと思います!」と嬉しいひと言。オーディエンスから笑顔がこぼれた後、「前に東北ライブハウス大作戦ステージとしてここに登場したときも言ったけど」と前置きしてから「ソーラーで音楽をやることがコンセプトじゃなくなる日が来るんじゃないか」と語りかける。何に対しても真摯な彼ららしい、まっすぐな想いが心を熱くしていった。
そして、来月2日にリリース予定の新作『POOL e.p.』から、昨日ミュージックビデオが公開されたばかりの「DEKU NO BOY」をここで披露。彼ららしい、そそる音の絡み合いが満載で、まだミュージックビデオを観ていなかったファンにも突き刺さったんじゃないだろうか。また、改めて「みんな力いっぱい楽しんで、その中で“ソーラー武道館、何か違うよな?”(という気づき)から始めればいい」との考えを口にし、「その片棒をかつぐ為に自分で言っちゃうけど……これからもカッコいいバンドでいたいと思います」と力強く荒井が宣言する姿は本当に頼もしく、ファンのみならず嬉しかったに違いない。
終盤に入り、いつまでも色褪せないどころか、聴くたびにフレッシュに響くキラーチューン「Eric.W」では地面ごと揺らすようなノリを見せつける。原のコーラスも熱を帯び、荒井もギターを振り回して飛び跳ねるほど踏み込んでいき、イントロのギターが鳴るやいなや、大きな歓声が湧いた「夜の向こうへ」では、それぞれが想いを馳せる極上のサウンドを展開していく。最後の「beautifull banity」が終わるとすぐに大トリのアーティストのステージへ大移動が始まるのが普通だと思うが、進行上ありえない、アンコールを求める声が客席からやまないほど多くのオーディエンスの心に深く刻み込まれたライヴだった。
取材・文◎ヤコウリュウジ
撮影◎柴田恵理
【the band apart セットリスト】
02. higher
03. Castaway
04. DEKU NO BOY
05. Taipei
06. 夜の向こうへ
07. Eric.W
08. beautifull banity
■<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>
9月29日(日) 岐阜県 中津川公園内特設ステージ
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