【速レポ】<中津川ソーラー>LIVE FOR NIPPON SPECIAL!和田唱(TRICERATOPS)、音楽と自由と平和
夏の再来とばかり、14時ごろから強い日差しと蒸し暑さに包まれたRESPECT STAGEに現れたのは、「晴れとるよ〜!」と佐藤タイジだった。そのタイジに呼び込まれて、「晴れました」と出てきたのはTRICERATOPSの和田唱。二人がこれから行なうのはLIVE FOR NIPPONの100回記念ライブだ。
◆LIVE FOR NIPPON SPECIAL!和田唱(TRICERATOPS) 画像
LIVE FOR NIPPONとは、2011年の震災後に佐藤タイジが被災地の復興を目的に、下北沢のライブハウス「風知空知」で開催をスタートさせたチャリティイベント。いわば、<中津川 THE SOLAR BUDOKAN>のルーツである。だからこそ、二人が手にしたのは電力エネルギーいらずのアコースティックギターだった。和田唱がコードを鳴らし始めると、タイジが渋いギターフレーズでオーディエンスを酔わせていく。
その流れで始まったのがPaul McCartney & Wingsの「Silly Love Songs」だった。和田唱がメインボーカルを歌えば、タイジはファルセット・コーラスでハモる。そこにオーディエンスのみんなもコーラスで加わっていく。おだやかな空気と音楽だけが流れる幸せな場所だ。また客席エリアとなっている芝生の丘からは、中津川の山並みも目に飛び込んでくる。太陽を受けて青々と輝く山々は、自然の豊かさや平和を象徴するようでもあった。
1曲を終え、佐藤タイジは和田唱とがっちり握手。そこから今度は和田唱の一人ステージに切り替わる。始まったのはTRICERATOPSの「Fly Away」。アコギの弾き語りだから、もちろんバンドサウンドなどない。しかし、だからこそ浮かび上がる和田唱のシンガーとしての力。独特の甘い歌声と伸びやかなメロディが、蒸し暑さを忘れさせていった。
「言い忘れましたけど、新人なんですよ。新人のわりには<THE SOLAR BUDOKAN>に何回出てんだっていう。でも新人なんですよ。初めてのソロアルバムを去年、出しました」──和田唱
事実ではあるが、バンドでデビューして20年以上の和田。自然に笑いも起こる。ここから続くのは、その2018年に発表したソロアルバム『地球 東京 僕の部屋』からのナンバー。愛情豊かで優しい人柄も伝わる歌が、みんなを心地よく包んでいく。そして次のアルバムのために作っているという曲のなかから、生まれたばかりのバラード「さよならじゃなかった」をエレピを弾きながら歌い上げた。
それで締めくくっても何ら不思議ではなかったが、やっぱり母親に平野レミさんを持つ男。親譲りと思われる、楽しく盛り上げようという気持ちが出てしまうのである。「みなさん、踊っちゃったりとかします?」と和田唱。足元のループマシンに、まずはアコギでベースライン、ボディを叩いてキックの音、リズム感あるミュート刻みなど、次々に重ねて、ファンキーな多重サウンドを作り上げた。
こうして始まったのはTRICERATOPSでもおなじみの「Raspberry」。自分で生んだファンキーサウンドの上で、歌はもちろん、自由奔放にソロを弾きまくり、踊る空間へと一気に塗りかえていった。そして全てのループをカットして、オーディエンスみんなのコーラスと和田唱のギターだけで決めるエンディングのサビも。全員のコラボレーションは、バンドサウンドに負けないエネルギッシュなものとなった。
取材・文◎長谷川幸信
撮影◎古川喜隆
【LIVE FOR NIPPON SPECIAL!和田唱(TRICERATOPS) セットリスト】
2. Fly Away
3. Moonwalk Moonwalk
4. 1975
5. さよならじゃなかった
6. Raspberry
■<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2019>
9月29日(日) 岐阜県 中津川公園内特設ステージ
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