【インタビュー】KREVA、ノンストップで攻め込む待望のオリジナルニューアルバム『AFTERMIXTAPE』

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ヒップホップ界隈ではすでにカリスマ的領域。様々な音楽ファンが集まるフェスでは、いまや人気者としての地位を確立。これまで歴代に残る“ヒップホップ界初”の冠をことごとくいただきながらも、もっと人気者になりたいという飽くなき向上心で、ソロデビュー15周年イヤーに突入したKREVA。その活動がすごいことになっている。今年の1月から9月08日(クレバの日)までは9カ月連続リリースを敢行。さらに、その後も9月18日には待望のオリジナルニューアルバム『AFTERMIXTAPE』発売。9月26日には今年はいつもの日本武道館から神奈川県・横浜アリーナへと場所を変えて恒例の<908 FESTIVAL 2019>開催と、今後もノンストップで攻め込むKREVAに話を聞いた。後半はアルバム『AFTERMIXTAPE』の全曲解説やっちゃいました。

■カセットシングルや7inch Analogは
■やったことがないことをやろうというのがキーワード


──ソロデビュー15周年おめでとうございます。まず最初に9カ月連続リリース、これは誰のアイデアだったんですか?

KREVA:9カ月といったかどうかは憶えてないんですが、連続リリースにしてずっと続く感じにしようというのは自分が言ったかな。

──次はなんだろうって、毎回お届けモノをワクワクしながら待つ感じだったんです。この時代にカセットシングル(「基準 / ストロングスタイル~2019Ver. ~」)や7inch Analog(「C’mon, Let’s go / パーティーはIZUKO?~2019 Ver.~」)を届けられても、聴けないんですけど‥。

KREVA:あはは(笑)。あれは、やったことないことをやろうというのがキーワードとしてあったので、提案されてGOサインを出したんです。

──じゃあGoods(「王者の休日~2019 Ver.~」)としてパンツを出したのは?

KREVA:元々はTシャツだったんですよ。だけど15年ファンでいてくれる人がいて、全ライブに来ているとしたらとんでもない数のTシャツを持ってるはずだから、もういいでしょうと。「王者の休日」はMVのなかで俺がトランクス姿になるところがあったから、そのレプリカを出そうって話になったんだけど、トランクスだと女性がはけないからってことでボクサーパンツにしたんです。

──なるほど。そして、9月は連続リリース第9弾として『完全1人ツアー2018 at Zepp Tokyo』のLIVE Blu-ray&DVDが先日発売となりました。また一言いいですか?

KREVA:はい、どうぞ。

──この<完全1人ツアー>と、今年6月30日に日本武道館で行なったワンマンライブ<KREVA NEW BEST ALBUM LIVE 成長の記録>を観たら、見事にこの2つがリンクしてて。

KREVA:これ(<完全1人ツアー>)をネタにしてね。


──<完全1人ツアー>でDJ機材、トラックメイク、ライミングを講義しながらラップを披露していく流れが、武道館ではバンドのメンバー紹介を楽器紹介に替えて、各楽器とラップの絡み方を解説しながらKREVAさんがパフォーマンスしていく。あれは本当にシビれましたね。天才!!

KREVA:ありがとうございます。最初から考えてたんじゃなくて、思いついただけ。こうやったら面白いだろうなと思って、同じ切り口を武道館のライブにも使ってみました。

──「完全1人ツアー2018」はどんなところからスタートしたものだったんですか?

KREVA:最初の発想は本気で授業をするということだったんですよ。大学の講義室を借りて自分が何をしている人なのかを教えたいと言ってたんですよね。でも音響的なことなどを考えるとライブハウスがいいという話になって、こういう形に着地したんです。

──バックバンドもDJもいなくて、KREVAさん自ら機材を操ってDJ作業をしながらヘッドセットでラップをしていく完全1人スタイルは2007年「K-ing スペシャル」ノンゲストデー、ソロデビュー10周年(『KREVE~完全1人武道館~』)でも実証済みで。まず、こんなことをやってるラッパーはKREVAさんしかいない訳で。あれをさらに分かりやすく進化させ、ツアーにまでしちゃったところも画期的です。

KREVA:やってきたことの発展形ですよね。例えばDJミックスは武道館でもやっていて。そのときにDJミックスしながらラップするのはすごいことだよとは説明したんだけど、このツアーではまず具体的に機材の使い方をレクチャーしてから25分間DJミックス(“変わる”をキーワードに「Change my mind」、「国民的行事」、「Revolution」などをメドレーでつないでパフォーマンス)をやりました。そもそもDJ機材って、分かんない人には意味分かんないじゃないですか? ウニウニつまみをいじってて、TVとか見ると手を振ってるだけのDJもいっぱいいる。このままだと何をやってるのか理解されないなと思い始めて。ご飯屋さんに行って、例えば「これは〇〇で今朝採れたものですよ」とか、食材のストーリーを聞くだけで、その料理のよさがより分かって深みをもって味わえるなというのを何回も感じていたので、自分がやってることももちろんそうだろうと。だから、うまく教えながらやってみようと思いました。

──そんなレクチャーができるのは、KREVAさんが他のラッパーとは違って自らトラックメイクまでこなしているからですよね。

KREVA: DJもやっていたので、そこの部分も大きいと思います。最初のコーナー(DJとして「ひとりじゃないのよ」などをマッシュアップしながらスクラッチをしつつ、「トリートメント feat.DABO,CUEZERO」、「神の領域」をラップしていく)とかは。

■『AFTERMIXTAPE』は心の向くままに作って
■MIXTAPEの自由さが欲しかった


──ここからはアルバム『AFTERMIXTAPE』について聞いていきますね。

KREVA:もう今作に関しては、どのインタビューでも必ず言ってるんですが。“心のままに作った“というのがピッタリで。“気の向くままに”という言葉にはちょっとだけネガティブなものを感じるんですよ。「“どうにでもなれ”みたいな感じが含まれているような気がして。

──ああー。たしかに。

KREVA:俺は気分じゃなくて、心のままにやったという感じ。だから「この曲はこんなこといったらこういう風にみんなに響くかな」とか、作為的なものや意図的なものはあんまりなくて。本当に心のままに作った。だから、いままでのアルバムではなかったような曲。例えば「アイソレーター」のような特定の対象に怒ってる、そういうのはアルバムではあまりやらなかったんですけど、自分のなかで今回は”MIXTAPE”を作っている感じだったので、より自由になれました。そこからは心のままに音楽を楽しんだ感じです。


▲『AFTERMIXTAPE』【初回限定盤】


▲『AFTERMIXTAPE』【通常盤】

──それで結果、前作『嘘と煩悩』と比べると抜け感があって遊び心もあってポップな仕上がりになったんですかね。

KREVA:そうですね。心のままにやったら。このときはそういう気分だったんですかね。

──聴いてても楽しいんですよ。今作は。なのに、これを聴いて最初に思ったことことは、これはKREVAさんから遺言か? ということ。

KREVA:ぶはははっ(笑)。そんなつもりはまったくない。

──でもですね、「S.O.S.が出る前に」では“頑張ってると思うよ”なんて言葉を、あのKREVAさんから掛けられちゃうんですよ?「人生」というタイトルの曲では大人の人生観教えられちゃうし、「無煙狼煙」では“俺はここの開拓者 でも居なくなったらどうする”とか言ってるし。「君の愛 Bring Me To Life」では“俺を生かすのは そうだ 君の愛、愛、愛、愛”だなんて連呼されて。KREVAさんがいつも以上にやさしくて、このまま居なくなっちゃうんじゃないかと想像してしまったんですが。考えすぎですか?

KREVA:考えすぎですね(笑)。「無煙狼煙」に引っ張られすぎだ。

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