【インタビュー】彩冷える、本格再始動の狼煙はアルバム&全国ツアー「9年分の想いがある」
■この9年間、活動を止めた理由
■真実は曲の中にあると思っている
──では、「透明ゆえに色を選べずに」は?
ケンゾ:僕が書きました。
夢人:また、あなたですか?(笑)。
ケンゾ:ははは。いままでは夢人とインテツがメインで曲を作っていたんですけど、今作は僕の曲がいちばん多いんです。そういうのも含めてバランス的に新しいかもしれない。この曲はもともと4人でやっていた頃にデモを持っていった曲で。
タケヒト:夢人がボーカルを担当してアルファベットのAYABIEでメジャーデビューしたあとぐらいですね。僕的にはすごく気に入っていたんですが、なぜか採用されなかったので、僕から「あの曲やろうよ」って。
▲インテツ(B) |
向日 葵:最近はみんな同じになりたがるというか、自分を消そうとする傾向があるな、というところから実体験を混ぜて書きました。歌詞に出てくるように僕、よく電車でボーンってぶつかられて追い越されるんですよ。昔の自分ならカッとなって追いかけたと思うんですけど、そんなことしたらいまの時代、すぐSNSで攻撃されちゃうじゃないですか?
──動画とか撮られちゃいますからね。
向日 葵:そうそう。だからツイッターでぼやくみたいになるのもなんか違うよな、っていうことをそのまま歌詞に書きました。2番ではよく使ってきた言葉をあえて並べて、過去の自分を否定するじゃないけど、もっと自分の個性を大事にしたいって。生まれたときからみんな自分の色を持っているのに消したがるけど、そうすることによって、音楽もそうですけど、どんどんつまらなくなると思ったんですよ。いまの僕たちには守るものはないので、好き勝手とがって書こうと思った曲のひとつです。ほかの曲もそうですけど、怒られたら謝ればいいやって(笑)。いままで自分を抑えて書いていたので、そういうことも含めての“辞する”なんですよ。
──より生身の自分が出ているんですね。ファンに向けた「あなたに」は?
ケンゾ:(手を挙げる)
夢人:また、あなたですか(笑)。
タケヒト:インテツなんか1曲目でしゃべったきりですよ(笑)。俺なんか1曲もしゃべってない(笑)。
ケンゾ:この曲も4人でやっていた頃に採用されず、当時は「じゃあ、絶対やらない!」って啖呵きったんですけど、だんだん「あおちゃんが歌うほうが合うのかもしれない」と思うようになってきて、5人でやれるようになったときのためにとっておこうって。歌詞も6割ぐらい書いていたんです。
向日 葵:サビの歌詞は全部ケンゾくんですね。
ケンゾ:仮タイトルも「あなたに」だったんです。
──ということは、そもそもファンに向けて書いていた曲?
ケンゾ:そう。でも、個人的な気持ちというよりもバンドとして言いたいことだなと思って。それをあおちゃんに伝えて一緒に完成させました。
向日 葵:いちばん大変でしたね。イメージははっきりわかっているもののサビの歌詞ができていて、そこに肉付けしていく作業は初めてだったので“ありがとう”っていう言葉が何度も出てくるサビの入り口をどう作ったらいいのか、かなり考えました。結果、ケンゾくんの書いた歌詞はストレートで優しいので、Aメロ、Bメロではちょっとひねった表現をしています。この9年間、活動を止めていた理由について、僕たちは明確にしていないんですが、真実は曲の中にあると思っていて、それをいちばんわかってもらえるのが「あなたに」という曲だと思います。
──「あなたに」から最後の「君は、アジテーター」の流れがグッときます。
インテツ:9年の間に自分が得てきたもの全てを注ぎ込むぐらいの気持ちで作った曲です。僕は大事なときほど自分のモノサシを信じたいと思っていて、それがオリジナリティーであり、代えがきかないものなんだっていう持論があるんです。歴史を振り返ると、彩冷えるはリーダーでソングライターだった涼平くんが脱退して、曲を作る人がいなくなった状態でバンドを続けていく選択をしたんですけど。当時、シングル「君の声と約束」(2006年発表)という大切な曲を作ったときは“自分が音楽を聴いて感動したときのような曲を作れるんだろうか?”というモノサシだけが頼りだったんです。この曲はいままで彩冷えるを応援してくれた人たちや、これから出会う人たちに自分の気持ちやバンドに対する想いとか生き方を届けたいって。あのときぐらいの熱い想いを込めて彩冷えるのライブのピークの瞬間をイメージしました。
向日 葵:インテツくんの今作の楽曲は聴いたときから最初と最後だなと思っていました。「query」がクエスチョンというか問いかけの曲なら、その答えが「君は、アジテーター」という立ち位置です。ファンの人たちにも自分たちにも発信しているんですが、それぞれの人生の中、誰かの後をついていくのではなく、自分自身が決めるべきだっていうところに最終的に落とし込んでいるんです。そういう意味を込めたタイトルですね。
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