【インタビュー】彩冷える、本格再始動の狼煙はアルバム&全国ツアー「9年分の想いがある」
■新しいアルバムは前に進むキッカケ
■なので“モラトリアムを辞める”は正しい
──現代は、動画や音源も自分たちで発信できる時代だし。
タケヒト:なので、いまなら5人だけでやりたいことができるんじゃないか、と思って提案したんです。ここまで来たら家族と一緒なので、人生を賭けてやってみようかって。
インテツ:提案っていうか、事業計画書がタケヒトから配られたんです。
──おお、さすがですね。
ケンゾ:プレゼンですよ。
インテツ:今後の見通しが立つ収支も書いてあって(笑)。活動のサイクルとかタケヒトが思い描いているヴィジョンが見えた気がしたんですよ。自分たちだけというミニマムな状態でピュアにできるから、挑戦しがいのあるスタイルだし、作ったものをすぐファンの人に届けられる。
▲タケヒト(G) |
ケンゾ:さすがCEO、としか言いようがないですね(笑)。
タケヒト:Psycho le CémuさんのCDをWIZYさんがプロモーションしていたので、“こういう方法があるんだ!”って。連絡とってWIZYの方と打ち合わせしたんです。
──なるほど。『辞するモラトリアム』は、もともと彩冷えるが持っていた聴く人を選ばないキャッチーなメロディはそのままに、深みや説得力のあるメッセージが加わった作品になっていると感じました。経験値ゆえの強さや優しさもあるし、ライブで聴いたらより力をもらえる曲たちなのではないかと。
インテツ:じゃあ、まずアルバムタイトルについて葵くん、説明をお願いします。
向日 葵:タケヒトくんが、今年5月の結成日ワンマンのタイトルを<彩、冷めた頃に>とつけてくれたので、その後に続く言葉を考えられたらいいなと。そこで、ひらめいたのが“モラトリアム”だったんです。“辞する”も含めて、あまり使われない言葉だと思うんですけど、新しいアルバムを作ることは前に進む大切なキッカケなので、“モラトリアムを辞める”って意味合いとしては正しいのかなと。歌詞に関しては「あなたに」という曲をケンゾくんと共作した以外は全部、僕が書いているんですけど、“変える”、“変えない”、“変わらなければいけない”、“変えることができない”をテーマにしています。メジャーデビューしてから、わかりやすい言葉選びをしたり、音に乗りやすい言葉を選んだり、いろいろ勉強してきましたけれど、今回は自分の感情を表現するために、できるだけ出てきた言葉をそのまま使っています。個人的にもいままでの自分を変えた作品になっているんです。
──独立体制になったことも含めての『辞するモラトリアム』なのかなと思いました。
向日 葵:そうですね。タケヒトくんを中心に新たな会社を立ち上げて進んでいくっていう。僕も所属していた会社を辞めて、夢(夢人)もベルを脱退したりと、自分たちにとっていろんなものが変わるタイミングだったので、このタイトルに集約したらすごいアルバムができるんじゃないかって。
インテツ:ツアー中にホテルのロビーで葵くんに「タイトル、ひらめいたんだ」って聞いて、「キテるね」って。すごく新鮮でした。
ケンゾ:『辞するモラトリアム』は9曲入りで、アルバムの曲数としては少ないじゃないですか? でも、ヴァリエーションがあって新旧含めて彩冷えるらしさが詰まっていると思います。
──では、その中身を作曲者を中心に紹介してもらえますか?
インテツ:とにかく、みんなと一体感のあるライブをしたくて作ったのが1曲目の「query」です。夢人くんとケンゾくんがコーラスをとってるんですけど、彩冷えるっていまはメインボーカル経験者が3人(葵、夢人、ケンゾ)もいるんですよ。「みんな歌えるんだから、これはハモらないともったいない」って。と同時にバンドとして上がったスキルを証明したかった曲ですね。ベースのフレーズにしてもバキバキにやれるよって。
──1曲目から攻めてますもんね。リード曲の「ミルク」は?
夢人:「ミルク」はキャッチーで自分っぽい曲を作ろうと思ったんですよ。もともと、この曲はあおちゃん(葵)のソロ用でね。
向日 葵:夢は僕のソロワークにも曲を書いてくれていて、もともとは僕がライブで歌っていた曲なんですよ。でも、なにかしっくり来なくて曲出しすることになったときに「あの曲、彩冷えるでやったほうが合うんじゃないかな」って夢に話したんです。構成をプラスしてもらってタイトルも変えて彩冷えるヴァージョンに。もともと僕はいつか彩冷えるに還元したいと思ってソロをやっていたので。
夢人:あおちゃんと何度もやり取りして時間をかけた分、完成度の高い仕上がりになったんじゃないかと思っています。
──ミュージックビデオの再生回数も3万を超えていますね。
夢人:MVは巨匠、インテツ先生が指揮をとりました。
インテツ:自分のイメージで彩冷えるを撮ってみたかったので、信頼できるカメラマンチームに来てもらったんです。絵コンテを書いて「このシーンは何ミリのレンズで」とか「縦のレールで」とか詳細を伝えて。バンド名も含めて、彩冷えるにはカラフルなイメージがあると思うんですけど、あえてモノクロから始めたかったんですね。佇まいからして大人というか、年月がたった分、成熟したものを見せたかった。これからは派手なこともしていきたいと思ってますが、今回はシックにまとめました。とても満足しています。
4人:ありがとうございました(笑)。
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