【インタビュー_#1】Apes From Nine、怒りが原動力の4ヵ月連続リリース第一弾「現代のスピード感はバンド側にも魅力的」
■出るところと引くところを棲み分けたのが
■「HEAVEN」という第一弾シングル
──「USA」の歌詞はダイレクトで、“アメリカを楽しむぜ!”というものですよね?
耕史朗:そのままです。メッセージを投げかけて考えてもらったりするよりも、体感して楽しむ曲にしたかった。だから、敢えて深いことは考えずに、メロディーに対するハマりや響きの良さを重視して言葉をチョイスしました。“Good luck in Japan!!”くらいですね、メッセージとしては。“がんばれ日本!”みたいな(笑)。
岡本:ドラムはちょっとバカっぽくいったほうがいいなと思ったんですよ。なので、自己主張よりも全体の大きな流れを重視して叩きました。要するに3曲収録シングルの中で、出るところと引くところの棲み分けを考えたという。全部がオラオラだと聴いている側はしんどいじゃないですか。シングル全体としていいバランスになったと思います。
▲糀谷拓也 (B) |
岡本:4つ打ちって前乗りになりやすいんですよね。でも、メタルやハードロックの4つ打ちは絶対にスネアが後ろじゃないとダメなんです。前にいくとガチのユーロビートになってしまうから。もともと僕はドラムが後ノリの音楽をずっと聴いてきているので、そのビートが身体に染みついているんですよ。それでも4つ打ちでは前にいきがちなので、前にいかないように意識しました。スネアの音色はアンサンブルとして考えているので、耕史朗に任せました。
耕史朗:ニッケルバックを参考にしたスネアの音ですね。それに、この曲で岡本が結構シンバルを入れているじゃないですか。重たいスネアの音とバシャバシャ鳴っているシンバルが相まって、いい感じになっているんじゃないかな。
岡本:最近のドラマーはシンバル類の選び方も昔とは変わってきていて。今、販売されているシンバルもすごく多種多様なんですけど、その中でロックとかメタル界隈ではスタックシンバル(重ねシンバル)を使う人が多いんですよ。“ドッチー ドッチー”という4つ打ちをハイハットでやってしまうと普通のパーティーロックになりがちだけど、敢えてうるさめのスタックシンバルで裏を入れると圧が出る。最近は僕もスタックシンバルを使うことが多くなっています。
耕史朗:ギターはどの曲も同じようなテーマになってしまうけど、やっぱりリズムですよね。特にこの曲は、16分リフのズクズクというところでピックを弦に当てる角度とか強さを精査したんです。しかも、ダブルで入れているんですけど、その2本のニュアンスがちょっとでもズレると気持ち悪くなってしまうので、左右のギターが合うように弾きました。
──現代メタルならではの精度の高さが心地いいです。それに、ギターソロのバックでクリーントーンのカッティングが鳴っているのも絶妙です。
耕史朗:意図的に“どっちを聴いたらいいんだろう?”という感じにしました。俺は一般的な感覚の人が“これはやめたほうがいいんじゃない?”と思うようなことをしたがるところがあって、この曲もそのひとつ(笑)。それとボーカルは、単調なので逆に難しかったですね、この曲が一番。サビは主旋律がすごく低いんですよ。元々はそれをメインにするつもりだったけど、レコーディングしてみたら少し地味だなと思ったので、エフェクターを使ってオクターヴ上の機械的な声が同時に鳴るようにしました。
──メカニカルな声やシタールのような音がアメリカの闇を表現しているような気がします。
岡本:僕もそう思います。
耕史朗:俺自身はそこまで深く考えていなかったけど、そういうふうにも感じてもらえるとしたら嬉しい。いい空間を創ろうというイメージだったんですよ。
──単にアッパーだけの曲ではないというのがいいんですよね。3曲目の「Masturbation with you」は激しさと爽快感に溢れたメタルチューン。
耕史朗:正直言うと、この曲が投票で選ばれた時は意外だったんですよ、24曲作った中で“どうかな?”って、俺自身、思っていた曲なので。
岡本:“耕史朗がまたひとつ突き抜けたな”と思ったんですよ、デモを聴いて僕は。彼はそういう僕らの反応が意外だったみたいだけど。
耕史朗:いい意味で肩の力が抜けている曲というか。みんなにとってそこが新鮮だったんじゃないかな。本来の自分のノリはもっとギチギチという感じだから。出来上がった今ではすごく気に入っていますよ。
──「Masturbation with you」はセクシーな歌詞を連想させるタイトルですが、“俺は世界を知っている 知らないのはお前の心の中だけ”ということを歌っていて、意表を突かれました。
耕史朗:まさに、“このタイトルでこの内容?”と思わせたかったので。歌詞の内容自体に深い意味を持たせているというよりも、それぞれの解釈で聴いてもらえれば。
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