【対談インタビュー】Juri(breakin' holiday) × Shindy(極東ロマンス)、「DELUHIとAnli Pollicinoを経て思うこと」

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▲写真左:Juri(Vo/breakin' holiday)、写真右:Shindy(Vo/極東ロマンス)

BARKS主催イベントツアー<千歌繚乱 1st LIVE TOUR ~錦秋の候~>の開催を記念した対談インタビュー、今回はJuri(Vo/breakin' holiday)、Shindy(Vo/極東ロマンス)の2名が登場。

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両者はこのイベントツアーの名古屋公演、大阪公演に出演する。それぞれヴィジュアル系シーンで長いキャリアを持ちつつも、現在も新たなバンドで挑戦をし続けている。今回はそんな彼らの考えや、今思うことに迫ってみた。

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──おふたりは今日が事実上の初対面というかたちになるそうで。

Shindy:もちろん、勝手にというか一方的に僕はJuriさんの存在は前から知っていましたけどね。

Juri:僕も、Shindyさんのことは去年まで活動していたAnli Pollicinoのヴォーカリストとして前から知っていて、最近になって新しいバンドを起ち上げたっていう話もニュースとして聞いてはいました。

──さかのぼれば、ShindyさんはAnli Pollicino、そしてJuriさんはDELUHIでもともとご活躍をされていたわけですけれど、今思うとその両者はかなりタイプの違うバンドでしたよね。

Shindy:それに、若干ですけど世代的にいうと僕らの方が遅いんですよ。実は、僕らがまだセッションバンドとしてAnli Pollicinoという名前を使いながら池袋サイバーでのライブに出ていた時、ゲストとしてDELUHIさんが出演されたことがありましたから。あれが確か、2008年くらいのことだった気がします。

Juri:えっ?!そうなんですか?

Shindy:確かその日は無料イベントみたいな感じで、そこにゲストでいらっしゃってたんです。

Juri:あー…多分それ、偽名みたいなのを使って出た時かもしれないです。


──シークレットもしくは覆面バンドとして出演されていた、ということですか?

Juri:そうなんですよ。当時、ワンマンの前のライブ慣らしとしてDELUHIの名前ではなく、各メンバーの頭文字をとった別バンドとして出演する、みたいなことをやっていたことがあったんですよね。そんなかたちで出ていたにも関わらず、覚えていてくれてありがとうございます(笑)。

Shindy:いやいや、だってとにかくライブの内容が凄かったですからね。

──ちなみに、その際ほかにはどんなバンドさんたちがいらっしゃったのでしょうか?

Shindy:誰がいたんだろう…?とりあえず、今でもまだ残ってる人たちは誰もいないんじゃないですかね(苦笑)。逆に言うと、その時に観たDELUHIさんのイメージが本当に強くて、「なんだこの圧倒的なバンドサウンドは!」って衝撃を受けたんですよ。自分たちはまだちゃんとしたバンドもやっていなくてセッションバンド状態でしたけど、当時は今の事務所の先輩のゴールデンボンバーさん、ViViDさん、そしてDELUHIさんがめちゃくちゃ勢いがあったので、「上に行きたい」っていう気持ちをその時点から強く持っていた自分からすると、「上に行けるバンドっていうのは、こういうカッコいいバンドのことを言うんだな」っていうところを直接DELUHIさんに見せつけられた感じだったんです。

──魅せられた、と。

Shindy:ほんと、あの音はインパクトが強かったですね。だから、今回こうして<千歌繚乱 1st LIVE TOUR ~錦秋の候~>でJuriさんのいるbreakin' holidayさんとあらためて対バン出来ることになったというのは非常に嬉しいです。今回この対談企画の話を聞いた時にも、僕は「ぜひJuriさんとお話をしたいです」って言ったんですよ。

Juri:そうだったんですね、こちらこそ嬉しいです。ありがとうございます!

──というわけで、おふたりはかれこれ最初の邂逅から現時点で11年ほどが経つことになるようですけど、これまでの間には双方ともに様々な経験をされながら現在に至っているのではないかと思います。また、この両者の共通点として挙げられることがあるとすれば、それはやはり「以前のバンドでの活動を終了したのちに、今はあらたなバンドでの活動を始めている」ということなのではないでしょうか。そこで、まずはJuriさんにおうかがいします。2018年1月にbreakin' holidayを起ち上げられた時に、ご自身が「次に目指すべきこと」とは何であるとお考えでしたか。

Juri:僕は何よりも歌うことが好きなので、純粋にまた歌いたいなと思って始めたのがbreakin' holidayでしたね。DELUHIで一緒だったLEDAからは「俳優とか舞台をやったら?」みたいなことを言われてたし、確かにミュージカルとかも好きだからそういうことをちょっとやってた時期もあるにはあったんです。でも結局、やりたかったのは音楽なんですよね。そして、2013年にはJuri名義でソロアルバム『Blance』も出させていただいていて、それも自分としてはやりたかったことのひとつではあったものの、そこからソロでのライブをやってみたら正直ひとりっていうのは寂しいな、と孤独を感じたのも事実だったんですよ。

──なるほど。故にまたバンドをやりたい、という気持ちになられたわけなのですね。

Juri:はい(笑)。そこからはいろいろとセッションを重ねていきながら、メンバー探しをして、breakin' holidayの結成に至ったという流れでした。

──そうした一方、Shindyさんも昨年11月にAnli Pollicinoとしての活動が終了して以降、今春に極東ロマンスが始動するまでの間に一時的であったとはいえ、ひとりで動いてた時期もあったそうですね。

Juri:あ、それは知りませんでした。

Shindy:僕は極東ロマンスとして動き出すことになるまでの間、アクセサリーのコラボ企画も兼ねて、アコースティックでライブをしてたんですよ。

──その期間に、Shindyさんが何か感じたことはありましたか?

Shindy:僕の場合は孤独感とかは特に感じなかったんですけど、でもかなり勉強にはなりましたね。ピアニストの方とか、これまで一緒にやったことが無かったミュージシャンの方々とライブをしていくことになったので、いろんな人たちがいるんだなということに気付けたんですよ。それぞれ音に対する解釈も違って、凄い“間”を埋めようとするタイプの人もいれば、それとは全く逆のタイプの人もいて、おんなじ曲をやるにしても捉え方がこれだけ違うんだなっていうことを実感したんです。

Juri:初めて一緒にやる人に関しては、そういうのけっこうあるよね。ソロの時のサポートメンバーに対して、僕も似たようなことを感じたことがありました。

──先ほど、Juriさんはソロ活動を通して寂しさを感じたことから再びバンドを組みたい心境に至ったとのことでしたが、Shindyさんの場合は何故あらたに極東ロマンスで始動する、という選択をされることになったのでしょうか。

Shindy:ひとつには、もともと他のジャンルで活躍してたリズム隊のふたりとの出会いが大きかったですね。ベースのユウト(柳山ユウト)くんとは昔も一緒にやってたことがあったんですけど、去年かなり久しぶりに再会したんですよ。そのあと、今度は知人からの紹介でドラムのテッちゃん(Tetsufumi)とも出会うことになったので、おそらく彼ら2人と出会ってなければ“バンド”をやるということにはなってなかったんじゃないかと思います。いわゆるヴィジュアル系の畑とは異なるところでやってきた彼らと僕らが一緒に新しくバンドを組むことで、音的にはもちろんだし、視覚的な面でも他にはない面白くてカッコ良いことが出来るだろうな、というある種の確信があって始めたのが今の極東ロマンスなんです。

Juri:あぁ、そういう流れだったんだ。

Shindy:Anli Pollicinoが終わった時点で、幾つかの話もあったことはあったんですけどね。どこどこの誰とか、元ナントカの誰がいるけど、みたいな。でも、僕は全然そういうのは興味無かったんですよ。ユウトとテッちゃんとだから、この5人だから始めた、というのが何より大きいです。


──かくして、現在はそれぞれにbreakin' holiday、そして極東ロマンスにて活動をされているJuriさんとShindyさんですが、敢えてここからは過去についても振り返っていただくことは出来ますでしょうか。前バンド時代のことを思い返した時に、「当時はわからなかったけれど、今にして思えば…」と何か浮かんでくることがありましたら、ぜひ教えてください。

Juri:その質問に対するちゃんとした答えになるかはわかんないですけど、DELUHIは半ば勢いで結成して、そのまま嵐のような日々を送りながら、気付いたときには終わっていたようなバンドだったので、わりと瞬間的な記憶の方が多いんですよね。個人的には、DELUHIが解散した時に感じた「ファンの人たちに対する感謝の念を忘れずにこの先も歌っていこう」っていう強い思いは、今もずっと残ってます。当然、今のbreakin' holidayになってからもそれは変わらないつもりでいたんですけど、最近いろんなバンドさんのライブを観たりしているうちに、「忘れないつもりでやって来たはずだけど、ちょっとこのところは薄れかけていたかもしれない」っていうことに気付く機会が実はあったんですよ。昔の必死でガムシャラにやっていた頃の気持ちを、ここに来てまた思い出したというか。それがここ最近の自分にとっては、大きな気付きですね。

──良くも悪くも、人間はさまざまなことに慣れて行くものですものね。その中にあって、ここである意味での初心を取り戻せたのは実に素敵なことかと。

Juri:そもそも僕は、ヴィジュアル系の世界のこと自体、DELUHIを始めるまでほとんど知らなかったですからね(笑)。当時、ギターのLEDAがその辺は良く分かったうえでバンドを動かしてくれていたんですけど、僕は僕で知らないながらにいろんなバンドさんのライブを観ては勉強して、っていうことを繰り返していたんですよ。今はまたその頃の感覚に近い感じで、まだまだもっと勉強したいなっていう気持ちになってるんです。

──Shindyさんはいかがですか? まぁ、ようやくこの夏に初ライヴを終えたばかりのところでもありますので、まだまだ振り返っている場合ではないのかもしれませんが(苦笑)。

Shindy:いやでも、まさにJuriさんがおっしゃっていた初心とか初期衝動とか、そこの大事さは僕も今ちょうど感じてるところですね。それこそAnli Pollicinoを始めた頃は具体的な見通しなんて何も考えてなかったし、とにかく必死にやっていただけでしたから。だけど、そこから時間も経って経験値が上がった分、今の自分は“何がムダなのか”みたいなことをヘンに知っちゃってるところがあるんですよ。それは新しいことを初めて行くうえでは、やっぱり良くないことなんですよね。

──経験則が邪魔になってきてしまう、というのはなかなか皮肉なものですね。

Shindy:裸一貫で何にでもぶつかっていく!っていう若いときの勢いを、今の段階でも持つっていうのはほんと難しいですよ。つい、ムダのないように考えたり動いたりしがちなんです。でも、遠回りをしている時ほど多くのもの得ていることが多いのも事実で、ムダかもしれないことを一生懸命にやることが結果的に自分のエネルギーとして充填されていって、爆発的な力を生み出すっていうパターンも意外と多いと思うんですよ。きっと、音楽が理屈とかテクニックだけじゃないっていうのは、そういうところに繋がっていくんでしょうね。マイクの使い方ひとつにしてもノウハウはあれば確かに便利なんだけど、むしろ今はコレ要らないんだけどなって思うことが今の僕はよくあります(笑)。

Juri:うわー。その感覚、めっちゃわかります! レコーディングに関して言うと、当時はエンジニアさんにお任せでかなり頼っていたところが大きかったんですよ。だけど、今はほぼ自分たちでそこまでやってしまっているんですよね。もちろんそうすることの良い面もたくさんあるんですけど、反面ではデメリットになってしまっていることもあるなと思います。

Shindy:何も知らないって、かなり無敵ですよね。知らないし分からないからからこそやれちゃうことって、今の自分にはさすがに出来ないですもん(笑)。

──だとしたら、その事実を踏まえたうえで今のおふたりがご自身のマインドを掻き立てるためにされていること、留意されていることは何かありますか?

Juri:さっきも言いましたけど、いろんなバンドさんのライブを観て刺激を受けることですかね。今はこういうのがあるんだなとか、こういう方法で楽しんでいるんだな、ということを知って自分の中に新しいものとして落とし込んで、さぁ自分はどうしようか?っていうことをやってます。

Shindy:今年の夏<サマソニ>を観た時に、「レッチリは昔からずっと変わんないなぁ」って思ってあれには凄い刺激を受けました。Slipknotの最初カウント入るところで、既に「やっぱりカッコ良い!」って思ったりとか。そういうキッズの時に持ってた感覚も何時までも忘れちゃいけないな、って思いましたね。

◆インタビュー(2)へ

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JuriとShindyが出演するBARKS主催イベントツアー<千歌繚乱 1st LIVE TOUR 〜錦秋の候〜>は、下記にてチケット発売中(極東ロマンスは東京公演には出演しません)。

■チケット一般発売
8月10日(土)12:00〜各公演前日まで
名古屋公演:https://eplus.jp/sf/detail/3015650001-P0030001
大阪公演:https://eplus.jp/sf/detail/3011420001-P0030001
東京公演:https://eplus.jp/sf/detail/3011430001-P0030001

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