美空ひばりの新曲ライブが実現、あの歌声をヤマハの歌声合成技術「VOCALOID:AI」で再現
9月29日(日)に放送予定の『NHKスペシャル AIでよみがえる美空ひばり(仮)』において、美空ひばりの歌声をディープラーニング(深層学習技術)を使用して再現した新曲ライブが実現する。ヤマハが開発を進めている歌声合成技術「VOCALOID:AI」(ボーカロイド:エーアイ)を用いたもので、同技術の公開および実用化は今回が初となる。
今回の取り組みは、没後30年を迎える今年、歌謡界のトップを走り続けgた絶世のエンターテイナー美空ひばりの新曲ライブを、現代のAI(人工知能)技術を用いて実現するというもの。NHK主導のもと多数の協力者を得て実施。4K・3Dの等身大のホログラム映像でステージ上に本人を出現させ、秋元康がプロデュースした新曲を、美空ひばりの歌声で再現するというプロジェクトとなっている。
このプロジェクトでヤマハは、新曲のボーカルパートと曲中のセリフパートを制作するという役割を担っている。AI技術を用いたヤマハ最新の歌声合成技術「VOCALOID:AI」を使用することで、美空ひばり本人の歌声や歌い方、話し声の特徴を忠実に反映したボーカルパートとセリフパートの作成を実現。合成に必要となる学習データには、本人の生前の歌や話し声を収録した音源を使用している。歌声音源のバックには伴奏音が含まれていたが、ヤマハの「伴奏音除去技術」を用いて、歌声部分のみを抽出することで質の高い学習データを生成し、高品質な合成を実現した。
ヤマハは今回のプロジェクトについて、「美空ひばりの歌声の本質に迫ることができたのは、約130年に渡る楽器・音響機器の開発・製造で培った技術と感性によるものだと考えている」、「歌声合成技術のさらなる進歩が、『素晴らしい歌声が時を越えて人々を魅了する』という新しい音楽の可能性を生み出すということを、今回の協力を通じて提示したいと考えています」としている。
9月29日(日)の放送では、こうした取り組みの様子や新曲ライブの様子などが放送される予定だ。
<「VOCALOID:AI」および「VOCALOID」について>
「VOCALOID:AI」はヤマハが独自に開発した、人工知能技術を搭載した歌声合成技術。あらかじめ目標となる歌手の歌声を収集し、そこに含まれる音色や歌いまわしなどの特徴を深層学習技術(ディープラーニング)により学習することで、その歌手独特の癖やニュアンスを含んだ歌声を、任意のメロディーと歌詞で作り出すことを可能にする。
ヤマハは2003年に独自の歌声合成技術「VOCALOID」を発表しており、現在ではバーチャルシンガーによる歌声を制作できる技術として広く親しまれている。人工知能技術を使用した「VOCALOID:AI」では特に、音色変化の表現が格段に向上した。
なお、今回の「VOCALOID:AI」の公表に伴い、「VOCALOID」はヤマハの歌声合成技術の総称として位置づけられ、「VOCALOID:AI」は、その中でも特に人工知能技術を使用したものとして位置づけられることとなった。
『NHKスペシャル AIでよみがえる美空ひばり(仮)』
出演:秋元康 天童よしみ 森英恵
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