台湾カルチャーの最前線を発信するフェス、<TAIWAN PLUS 台湾新感覚>に注目

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2019年9月28日(土)、29日(日)の2日間にわたり、台湾カルチャーの最前線を発信するフェス<TAIWAN PLUS 2019 台湾新感覚>が今年も東京・上野で開催される。

上野恩賜公園野外ステージで行われるこのフェスは、台湾の旬の音楽、デザイン、グルメ、ライフスタイルをテーマに据え、「今までのイメージとは一味違う、台湾発の新感覚カルチャーフェス」を謳う。主催の中華文化総会は、文化界を筆頭に、官民ともに台湾文化の普及に努めている1967年創設の非政府組織だ。

▲2018年度開催の様子

BARKSがまず注目したいのが、“Taiwan Beats台式レコードショップ”として集結する8組のアーティストだ。台湾のユースカルチャーをリードするソウルシンガー・9m88、圧倒的歌唱力を持つシンガーソングライター・巴賴Balai、台湾の若者世代のハートを掴む実力派ラッパー・李英宏 aka DJ Didilong、台湾のインディーズシーンを支える存在でもあるシンガーソングライター・雷擎レイチン。そして、実力も注目度も台湾を飛び越えて急上昇中のバンド・宇宙人(Cosmos People)、また、スーパーカーに憧れて曲を書き始めたという曾稔文(ツォン・レンウェン)を中心とす3人組インディーギターポップバンド・DSPSといった8種類の異なる音楽スタイルを楽しむことができ、このさまざまな音楽表現を通して、台湾の多元的な新感覚を伝える。

▲9m88(ジョウエムバーバー)

▲巴賴(Balai)

▲李英宏(リー・インホン/ aka DJ Didilong)

▲生祥樂隊(センショウバンド)

▲雷擎(レイチン/L8Ching)

▲DSPS

▲宇宙人(Cosmos People) ウチュウジン

▲Tizzy Bac





▲2018年度のパフォーマンス風景

一方で、台湾の人々が発信する“文創”という発想も興味深い。これは、文化と創造性を融合させた産業、“Culture & Creative”のイメージである。今回のフェスでは“Taiwan Culture Market”として台湾カルチャーシーンをリードする文創な50ブランドが揃い、北は台北〜南は台南や屏東まで各地で活躍するクリエイターやクラフト作家による作品なども出品されるという。

その中でも、アジア最大級のD2Cブランドが集うマーケットプレイス“Pinkoi.com”は、世界の優秀なデザイナーによるデザインプロダクト、カスタマイズ商品、ワークショップに触れられるので、様々な出会いの絶好の機会になりそうだ。また、“喜樹菜奇仔 Craft & Handmade”は、まさに“文創”を地でいくブランドとして気になる。台湾南部にある小さな村“喜樹”には現在、クリエイターやデザイナーが集まり、その地の年配の方々と“温故知新のものづくりの街”として新しく生まれ変わろうとしているそうで、この村の中心が漁業と農業にあった頃の賑やかな市場といった「忘れかけていた風景」が浮かぶようにとデザインした野菜のポーチや魚の小物入れなどを開発した“市場シリーズ”があるそうだ。そしてTaiwan Culture Marketにおいて、台湾唯一のカセットテープ専門店“感傷唱片行(ガンシャンツァンピェンハン)”は外せないだろう。2016年にミュージックキュレーターの游璨賓(ヨウ・チャンビン)が展示会としてスタートさせて大反響を呼んだ。



▲2018年度のマーケット風景

また、フェス参加者にとっての大きな楽しみとして、台湾から本場のグルメを提供するキッチンカーなども出店される。カカオ農園を併設するリゾートエリア福湾荘園で、カカオ豆の生産からチョコレートの製造までを一貫して手掛けるメーカー“福灣巧克力 Fuwan Chocolate”など、現地でも大人気のフードやドリンクで台湾気分を味わうことができるようだ。

ちょっぴりディープな台湾の最新事情を体感できるという<TAIWAN PLUS 2019 台湾新感覚>。この機会に、ぜひ体感してみたい。

【Taiwan Beats台式レコードショップ 出演者プロフィール】

■9m88(ジョウエムバーバー)


90年代に台北生まれの女性シンガー。NYの名門校『The School of Jazz & Contemporary Music』でジャズを学んで、2018年末に卒業。
2016年にKAO!INCのラッパーLeo王とのコラボソング「Weekends With You(陪妳過假日)」をきっかけに、たくさんの人に知れ渡るようになった。Soft Lipa(蛋堡)、吳青峰(ウー・チンフォン)、LEO37+ SOSS、北京のFishdoll、YouTuberの異郷人、マンドポップのR&B新鋭アーティストのØZIなど、名だたるミュージシャンたちと、様々な形でコラボレーションしてきた。R&B、ジャズ、即興、ポップなどから影響を受けたメロディーラインに、甘くて皮肉のきいた歌詞が特徴的。2017年にレーベル・2manysoundからリリースされたアルバム『九頭身の日奈』には、竹内まりやの名曲「Plastic Love」をカバーした作品も収録されている。現在、ファーストアルバムを準備中、2019年にリリース予定。

■巴賴(Balai)


台湾南部に住む原住民・パイワン族出身のシンガーソングライター。台湾と日本のミュージシャンが参加して完成された1stアルバム「古老的透明」で、2016年の金曲獎にて原住民歌手最優秀賞を受賞。歌手として最高の栄誉を手にした。ギターと、老人のような重厚な歌声で、原住民としてのDNAを場の持つスピリットと、土地に宿る魂に融合させて創作を重ねている。近年はジャンルや民族、国籍を超えた様々なコラボレーションに取り組み、原住民音楽の創作の可能性を更に広げる活動を続けている。台湾国内だけでなく日本、中国、韓国、タイなど海外の音楽フェスにも参加し、ライブパフォーマンスには定評がある。

■李英宏(リー・インホン/ aka DJ Didilong)


台湾の若者世代のハートを掴んで放さない実力派ラッパー「李英宏 aka DJ Didilong」。李英宏 aka DJ Didilongの代表曲である台湾語ラップ『台北直直撞(TAIPEI DIDILONG)』は、2016年にリリースされるやいなや、社会現象となり若者たちの支持を集めた。16歲で音楽を始め、17歲で大手レコード会社と契約した彼は、ラッパーとしてCDもリリース。しかし、ミュージックシーンから姿を消し、大学へ進学。卒業後は道路工事など、様々な仕事を経験。一度引退したものの、セルフプロデュースの才能を活かし、台湾のヒップホップレーベルである顏社(KAO!INC.)にて、ミュージックビデオのプロデューサーとして活躍。数年後、改めてミュージシャンとしてのキャリアをスタートさせ、2016年に再びソロデビューを果たした。代表曲『台北直直撞(TAIPEI DIDILONG)』を新たに収録したアルバムは大ヒットし、2017年の金曲賞で「ベスト台湾語シンガー賞」「ベスト台湾語アルバム賞」にノミネートされた。

■生祥樂隊(センショウバンド)


7人組の音楽グループ。台湾シンガーソングライター林生祥(リン・シェンシャン)率いる、客家語フォーク・ロックバンド生祥樂隊(シェンシャンバンド)。ベースとドラムにはそれぞれ日本人プレーヤーの早川徹と福島紀明が参加している。

■雷擎(レイチン/L8Ching)


台北のシンガーソングライター。台湾のインディーズシーンを支える存在として知られており、ドラマーとして、Leo王、落日飛車(サンセット・ローラーコースター、來吧!焙焙(Come On! Baybay!)など数多くのバンドのサポートを務めた後、2018年に自身のバンドを結成し、創作を開始。グルービーかつメロウな楽曲を数々発表。台湾インディR&Bの新たな才能として知られ、ライブ開始から1年足らずして、落日飛車(TW), Jamie Issac(UK), ADOY(KR), YOUR SONG IS GOOD(JP)などのサポートアクトにも抜擢されている。

■DSPS


台湾の3人組インディギターポップバンド。スーパーカーに憧れて自分の曲を書き始めた曾稔文(ツォン・レンウェン)を中心とし2014年結成に結成。
細かく刻まれるビートの上を行き来する浮遊感あるメロディと、秀逸な男女のコーラスワークで台北のメロウな雰囲気を見事に醸し出している。音楽シーンにも造詣が深く、日本ではシャムキャッツやTaiko SuperKicksなどからも対バンなどを通じて交流があり、日本と台湾のギターポップシーンを繋ぐという意味でも大きな役割を果たしている。またHomecomingsとのスプリットツアーを大成功に収めるなど、台湾国内外の耳の早いリスナーの間で話題となった。

2018年には待望のアルバム「時間の産物」がついに完成し日本でもリリースをし、ソングライティングセンスが光る名曲揃いの大名盤として話題を集める。本国台湾ではすでに大反響を巻き起こし、SNSを通じて日本や韓国、中国でもファン層を大きに拡大することになった。本国台湾でも今やフェスや各種イベント引っ張りだこの評価急上昇中で、台湾ギターポップシーンの旗手として最も期待されているバンドの一つ。

■宇宙人(Cosmos People) ウチュウジン


2009年にデビューした3人組バンド。
台湾本国ではCM/広告にも多数抜擢、さらには香港や中国大陸、シンガポールでのワンマンライブ、USの世界的音楽フェス“SXSW”にも出演するなど、その実力・注目度は台湾を飛び越えて急上昇中!ファンク、ディスコ、ソウルなどブラック・ミュージックからの影響を、抜群のセンスと演奏力を武器に、ダンサンブルでキャッチーなポップスに仕上げた彼らのサウンドは日本のロック/ポップファンにも必ず通ずる台湾ポップスの逸材。

■Tizzy Bac


1999年後半に結成。Piano & Vocal/陳惠婷(チェン・・フェイティン)、Drum/林前源(リン・チェンユェン)、Forever Bass/許哲毓(シュー)、からなる3人組バンド。台湾国内に限らず海外でのライブも数多く行い、ホームではない環境であっても果敢にライブを行うなど、豊富な経験から来るライブパフォーマンスに定評がある。「牢騷系(鬱ロック)」と呼ばれるジャンルでは台湾の代表的バンドと言われている。
常に誠実な気持ちで楽曲を作っていくことをポリシーとしているTizzy Bacの曲には、『愛しさ』と『怖さ』が共存するとファンはいう。愛しさはバンドが奏でる独特の音色。怖さはダイレクトに心に刺さる歌詞が聴く者の心を掴み心から離れなくする。それは彼らの作る楽曲のテーマと深く関係しており、主旋律のメロディをピアノで作曲している彼らの音楽を、「オルタナティブ ミュージック」と言う者も少なくない。他には無い独特な世界を作り出す唯一無二の「ピアノロック」は、「台灣の Ben Folds Five」とも呼ばれている。

【Taiwan Culture Market 出展ブランド】

■PINKOI
デザイナーズマーケットPinkoi.comはアジア最大級のD2C(Direct to Consumer)ブランドが集うマーケットプレイスです。デザインプロダクトはもちろん、ユーザーのオーダーを反映したカスタマイズ商品、ワークショップなども販売しており、世界各国の優秀なデザイナーによる創造性ゆたかな商品・体験をお楽しみいただけます。他にはないユニークなデザインプロダクトで、一人ひとりの個性が輝くライフスタイルの実現をサポートしています。日々の暮らしはもちろん、特別な日の贈りものにも、世界中のデザイナーたちがあなたとの出会いを待っています。

■喜樹菜奇仔 Craft & Handmade
百年前、台湾南部に農業と漁業が生活の中心の喜樹という小さな村がありました。豊かな海や畑に囲まれて平和な時が流れていたその村は、現在クリエイターやデザイナーが集まり、その地を支えていた年配の方々とともに温故知新のものづくりの街として新しく生まれ変わろうとしています。 昔、漁業と農業が中心だった頃の賑やかな市場。忘れかけていた記憶のなかの風景が鮮明に浮かぶように、地元のアーティストとともにデザインした野菜のポーチや魚の小物入れなどを開発した「市場シリーズ」です。アーティストと住民が協力して制作から販売までを行い、喜樹のストーリー伝えていきます。
もう一つの「生活道具シリーズ」は、喜樹が象徴する「黃槿樹」や海辺の貝殼などをデザインした商品、伝統菓子を包む葉をモチーフにした食器などを作っています。現地特有のものに新たな材料を加え、工芸技術でアレンジした暮らしの道具を販売します。

■福灣巧克力 Fuwan Chocolate
「もしチョコレートが言語の一種であるならば、私たちはチョコレートで台湾の風景を伝えたい」。福灣巧克力(フーワンチャオコリー)は、カカオ農園を併設するリゾートエリア福湾荘園で、カカオ豆の生産からチョコレートの製造までを一貫して手掛けるメーカーです。
屏東(ピントン)産のカカオは果実やミルクティーの香りを持つのが特徴で、最高経営責任者(CEO)の許華仁は、台湾で唯一、国際的なチョコレート鑑定士の資格(IICCT)を持っています。 2017年、オリジナル商品である「台灣⼀號巧克⼒62%」は国際的なチョコレート大会『International Chocolate Awards(ICA)』のアジア太平洋地域ダークチョコ部門で金賞を獲得。みごと総合優勝に輝き、世界から注目を集めました。

■感傷唱片行(ガンシャンツァンピェンハン)
2016年、ミュージックキュレーターの游璨賓(ヨウ・チャンビン)が展示会としてスタートさせて大反響を呼んだ台湾唯一のカセットテープ専門店。古きを懐かしみ、感傷に浸るこの店は、2017年7月に香港の『銅鑼灣 Causeway Bay』でポップアップショップを展開、2017年11月には台湾の台中で店舗をオープンしました。1980年~1990年代に流行ったカセットテープを通じて、自分の過去と思い出や記憶とつなぐことをテーマに、台湾だけでなく海外のアーティストのカセットテープを数多く販売しています。「レトロ」とは、時を巻き戻しノスタルジーに駆られる気持ち。実際に目で見ることができる手間をかけてカセットテープを巻き戻すことが、現代ではとても魅力的に映っています。2016年、ミュージックキュレーターの游璨賓が展示会としてスタートさせて大反響を呼んだ台湾唯一のカセットテープ専門店、感傷唱片行(ガンシャンツァンピェンハン)。古きを懐かしみ、感傷に浸るこの店は、2017年7月に香港の『銅鑼灣 Causeway Bay』でポップアップショップを展開、2017年11月には台湾の台中で店舗をオープンしました。1980年~1990年代に流行ったカセットテープを通じて、自分の過去と思い出や記憶とつなぐことをテーマに、台湾だけでなく海外のアーティストのカセットテープを数多く販売しています。「レトロ」とは、時を巻き戻しノスタルジーに駆られる気持ち。実際に目で見ることができる手間をかけてカセットテープを巻き戻すことが、現代ではとても魅力的に映っています。

■原印臺南(ユェンインタイナン)
台南の老舗印刷ブランド。台南をはじめとする地方文化を大切に、台湾と日本のアーティストとコラボレーションした展覧会を実施したり、アートとデザインを組み合わせた、質の高い印刷物を制作しています。アートやデザインを取り入れて、感性豊かなライフスタイルにしていきましょう。

■在欉紅(ツァイツォンホン)
在欉紅(ツァイツォンホン)とは台湾語で「果実や農作物がほどよい熟成されてる状態」という意味。 台湾はフルーツ王国として知られていますが、それは絶え間ない品種改良と細かな品質管理の結果。実際に甘く、良い香りのフルーツが多いのですが、それが良いジャムになるとは限りません。在欉紅では、子供の頃に覚えた今はもう忘れてしまった味や香りの記憶を、その土地の恵みと共に思い出すことができるでしょう。

■<TAIWAN PLUS 2019 台湾新感覚>

会期:2019年9月28日(土)〜29日(日)10:00〜18:00
会場:上野恩賜公園野外ステージ(東京都台東区池之端三丁目)
主催:中華文化総会
音楽ディレクション:B’tween Music
マーケットディレクション:株式会社朝寝坊屋
デザイン統括:JOEFANG STUDIO
後援:台北駐日経済文化代表処/台東区
特別後援:台湾文化部/台湾外交部/経済部国際貿易局/交通部観光局/原住民族委員会/客家委員会/僑務委員会
スポンサー:第一銀行/台湾菸酒株式会社/台湾エクセレンス Taiwan Excellence/チャイナ エアライン China Airlines
メディアスポンサー:PINKOI、初耳 / hatsumimi

【中華文化総会について】
「中華文化総会(以下、文化総会)」は1967年に創設された非政府組織です。様々な変遷や段階を経た後、現任の総統が会長を務める体制をとり、文化界を筆頭に、官民ともに台湾文化の普及に努めています。文化総会のミッションとは台湾の民間における文化を耕し、その力を育み、異文化を背景とした領域の横断しながら、文化の持つ可能性を拓き、台湾と世界との連携を推進し、文化の振興に取り組むことにあります。

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