【インタビュー】IRabBits、15周年にセルフタイトル盤完成「腹くくってるのを見せなきゃいけないタイミング」

■セルフタイトルでアルバムを出すって
■一生に一度。その覚悟が詰まってます

──「ブラックホリデイ」も洋楽的なノリのパーティチューンだなと思いましたよ。

猪野：これは原型となる曲が別にあったんですよね。

竹下：ファンクラブ用の、限定音源みたいので遊びで出したんです。そうやって遊びで出すと、いい曲感が出るんですよね。これはもともと力を抜いて書いていたもので。

猪野：最初は全部英語詞だったんです。メロディがよかったので、なんとかバンドアレンジにしたいっていうことで。

──いろんなリズムパターンもありで、ポップ性の高い曲ですね。こういうのがポロッと出てくる感じっていうのがいいし、バンドのいろんな面が見えますね。

竹下：あとは今回初めての試みが、「ミュージックスター」という曲はミュージックビデオにも出てくれているスフィアの寿美菜子ちゃんに提供した楽曲のセルフカバーです。作曲の仕事をしはじめた最初の提供が寿さんだったんですよ。美菜子ちゃん自身がIRabBitsのファンで、ライブを見に来てくださっていたみたいで、ソロアルバムを出す時に「IRabBitsに曲を書いてもらいたい」と。2014年だったんですけど、そのときはちょうど、どこにも所属していない時期で、寿さんの担当の方が渋谷のO-CrestというIRabBitsがよく出ていたライブハウスに連絡をしてくれて。そこ伝いで私に連絡が来たんですよ、「曲提供の依頼がきてるけど」って。そういうふうに探し当ててくださったんですよね。

猪野：それもIRabBitsが好きだということで、「みんなでシンガロングができる曲がいい」というオーダーだったんです。

──そうやって、ちょっとした空白時期にもいい話が舞い込んでくるんですね。

竹下：そのときも勇気をもらいましたね。寿さんのツアー初日が国際フォーラムで、招待を受けて、わけもわからずに行ったら、自分たちが書いた曲を５千人が熱唱していたんです。本当に関われてよかったなって。寿さんのファンが、この曲を神曲だって言ってくれているので。ならば神曲をセルフカバーしようと（笑）。

山田：で、アレンジもIRabBitsとしてガラッと変えて。

竹下：これもまたライブでどう化けるかが楽しみです。

──本当に今回のアルバムは、いろんな作り方をしているんですね。それも結果的にそうさせる方向に転がっていった感があって。できるべくしてできたアルバムですね。

竹下：セルフタイトルになってよかったなという気持ちですね。このタイトルは、私が言い出したもので。でも、いつもそうなんですけど、私の案を一旦猪野が反対するんですよね（笑）。石橋をちょちょいと叩いて渡ろうとするのを、“ちょっと待て”っていう役目が猪野（笑）。

猪野：僕は“セルフタイトル＝ベストアルバム”というイメージが強かったので。“これはベスト盤ではないんじゃない？”っていう。ちょっとまだセルフタイトルをつけるのは早いんじゃなかって、一旦反対したんです。ですけど、結局押し切られる形で。

竹下：だって他にタイトルないんだもん。実はタイトルの話をしているときは、まだ今の会社からリリースすると決まっていなくて。これからどうなるかもわからないし、自分たちでやるかもしれないしというタイミングでもあったんです。でも結果、『IRabBits』というタイトルをつけて、祐大の力も借りて、こういうふうにリリースできることになった。逆にいうと、このタイトルや思いのおかげで引き寄せてもらたところもあるのかもしれないです。バンドがセルフタイトルでアルバムを出すって、一生に一度だし。長いことやっているとどこかで腹をくくっているのを見せなきゃいけないタイミングがいるんだろうなって思ったので。その覚悟が詰まってます。

取材・文◎吉羽さおり







◆インタビュー【３】へ戻る
◆インタビュー【１】へ戻る