【インタビュー】IRabBits、15周年にセルフタイトル盤完成「腹くくってるのを見せなきゃいけないタイミング」
■遊んで作った曲のほうが
■意外とライブで人気になるんです
──制作の話を聞いてもすごく勢いがありますね、ここにきて初挑戦もあり。
竹下:ただただ楽しかったよね、この4曲のアレンジは。
加藤:楽しかったですけど、まあまあ時間がなかったので結構急ピッチでしたけどね(笑)。
竹下:私は「まあ、がんばりたまえ」っていう感じで余裕こいてたところ、今年に入って最後の最後にもう1曲追加しましたけど(笑)。
──考えてみれば、元々はお父さんの一言があって、ついに完成となった「This Is LOVESONG」からこのアルバムがスタートしていることを考えると、この一枚にすごく濃いストーリーや背景がありますね。
竹下:そうですね。親が亡くなる前にマスタリングまで完成したので。病室で意識は朦朧としていましたけど、すぐに福岡に帰ってずっと病室で流しまくっていました。そうしたら、看護師さんがめちゃくちゃファンになってくれましたね。息を引き取るときも、母が曲を流してくれていました。
──初の試みということで、加藤さんの「246」はどのように作っていったんですか。この曲はかなりギターをやりたい放題でやってますよね。
加藤:そうなんですよ。
猪野:「そうなんですよ」って(笑)。
加藤:せっかくですからね。ギターリフから考えていって。そのリフを考えるときにはリズムも一緒に考えるんですけど、打ち込んでは弾いてというのをひたすら繰り返して作り上げていきました。
──メタルっぽいフレーズもありますが、この曲には加藤さん自身のルーツ的なところも映っているんですか。
加藤:そういうわけではないんです。間奏部分に入れたメタルっぽいフレーズは、半分冗談で3パターンくらい作ってメンバーに聴かせたんですけど。“これ!”って即決でしたね。
猪野:全部良かったんですけど、ほかのフレーズは別の曲でもできるだろうなと。あのメタルリフはこの曲でしかできないだろうし、しかも、めちゃくちゃおもろいからこれにしようっていうことで。
竹下:そうやって遊んで作った曲のほうが、意外とライブで人気になるんですよねえ。
加藤:いや、遊んではないですよ(笑)。ギターだけは遊んでますけど。
竹下:しかもまさかの英語詞で上がってきたんですよね。なんで英語詞なの?
加藤:サビだけですけどね。ハマりが良かったんです。ライブでやって楽しいというのが、第一に考えました。
──山田さんの「Life is…」はどうですか。
山田:最初に、“1分くらいでわーっと盛り上がれる曲があったらいいな”という話があったんです。アルバムとしてボリュームもあるし。で、自分はもともと智さんとは逆に、ずっとメロコアやパンクをやってきて。最初のバンドでは、自分も曲を書いていて、全部英語詞だったんです。でも、IRabBitsで全部英語詞は違うなというのもあったので。日本語と英語を織り交ぜて作ろうかなと。メロディを作るのはすごく好きなので、人前では聴かせられないギターをぽろんと弾きながらメロディを作って、「あとはお願いします!」って、ドラムとコードとメロディが入ったデモをみんなに投げました。
猪野:智さんは逆にデモを作り込んでくるよね。“このベース、人間には弾けないんだけど!? ”っていうようなフレーズがたまに入っていたりする。
山田:ドラムも腕が3本ないと叩けないようなのがある。
加藤:デモはニュアンスを伝えるものなので、あとは自由にということで(笑)。
──猪野さんはデモをガッチリと作り上げるほうですか。
猪野:僕は、IRabBits以外でも編曲をしたりもしているので、そうですね。ただこのバンドのデモでは、ギターはコードしか弾かないし、ドラムも適当なフィルしか作らないし、あとは全員にポンと投げるだけですね。
竹下:全員がそれぞれのパートを入れるので。アレンジについては、データのやりとりででき上がりますね。昔はセッションでも作っていたんですけど、今は全員がPCでできるようになったし、時代も時代なので。早いです。
──そういうやり方になったからこそ、アレンジの幅やアイディアも広がっていくところもありそうですね。シングルリリースされましたけど「ミスデモクラシー」なんかも、ちょっとラテン的な香りがする面白いアレンジでしたよね。
山田:これは、猪野さんが自画自賛してましたよね。
猪野:「ナイスアレンジ!」って毎回言ってます。
竹下:このナイスアレンジには、実は4人だけでは鳴らせないようなシンセも入っていたり、猪野とエンジニアでいろんな効果を足しているらしいんです。それを今回初めて海外でマスタリングさせてもらったんですけど、その海外のエンジニアがまた“すげえ!”ってなったよね。
猪野:聞こえないレベルなんだけど、そういった音がちゃんと感じられるようなものになっているんですよね。
竹下:マスタリングが上がってきて、「チェックお願いします」っていうLINEが流れてきて、最初に猪野が聴いたんですけど。私は猪野とは大学から一緒なので、もう17、18年くらいの付き合いですけど、18年間でベスト3に入るくらいのテンションの上がり具合でした。「やべえ」「かっけえ」「かっけえ!」ってLINEで連呼してて(笑)。
加藤:“もしかして酔っ払ってる?”って思ったよね(笑)。
──そのくらい、猪野さんとしては理想的なサウンドだったり細かな空気感がしっかりと再現できていたんですか。
猪野:僕はあまりエンジニアさんに対しても、自分の理想を押し付けることはないんです。やっぱり対人なのでその人がどういうエッセンスを持ってくるかというほうが楽しかったりするんですよね。ただそれを圧倒的に超えてきちゃったので。とんでもねえのができたなと。
──元々「ミスデモクラシー」はどういうアイディアからスタートしているんですか。
竹下:これは猪野と私で作曲をしているんですけど。“こういう曲を作りたいね”ってピアノリフから作っていますね。BPMが120なんですけど──。
猪野:マニアックな話するね(笑)。
竹下:ははは。私たちには武道館でやりたいっていう夢がずっとあって。デカいキャパでやるときに、テンポは遅いけど盛り上がる曲を絶対やりたい、それを定番にしておきたいっていうのがあったんです。だから、BPM120くらいでお客さんが跳ねられる曲っていうのは意識して、ラテン系のような跳ねたリズムとかピアノリフとかを入れているんです。今もライブでやっているんですけど、120には思えないよね。すごくアガる曲に仕上がっていて。
──その上でシンガロングが入っているのも、さらにアガるポイントですね。
竹下:そうですね。しかもこの時、海外アーティストのライブをすごく見ていた時期で。FALL OUT BOYやPARAMOREが来日して、全員で見に行って。だからこれだけ、音質が外タレ仕様です(笑)。
猪野:めちゃめちゃ影響受けてます。研究しましたね、あの音圧はどこで出てるんだろう?とか。
竹下:PARAMOREも最近は音源がポップですけど、ライブはめちゃくちゃカッコよかったんだよね。ライブを見た後、猪野がスタジオこもっちゃいました。
猪野:最近の流行りでもあると思うんですけど、みんなそんなにBPM高くないんですよね。テンポが速くないのに乗れちゃうとか、このリズムの跳ね方なんだろうっていうのは、すごく考えましたね。
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