【インタビュー】中村ピアノ、オルタナティブ新感覚な魔法めいた歌謡ディスコポップ
すべてがサビのように心に響くキャッチーなメロディーとハッとさせられる言葉が持つ凄み──鍵盤を弾きながら歌うシンガーソングライター・中村ピアノが生み出す、メロウな歌謡センスと加速するロック感、“パパ活”や“メンヘラ”など赤裸々に時代の闇を抉っていくオルタナティブな新感覚に才能を感じた。
◆中村ピアノ 画像
そんな彼女が7月31日にリリースする2ndシングル「東京ディスコティック!!」は、表題曲で突き抜けた、キャッチーでありつつも初期衝動でいっぱいのディスコサウンドに注目したい。とらわれていたネガティブなアイデンティティからの解放…新境地を開拓したポップアンセムが今鳴り響く!
◆ ◆ ◆
■普通の人のままで
■終わりたくなかった
──表現者になろうと思ったきっかけは?
中村ピアノ:もともと、歌うことは好きだったんですけど、中学生の頃、ふと“自分には何もやりたいことがない”ってことに気が付いて。それで“普通の人のままで終わりたくない”って思ったんです。そんな時にたまたまGLAYのライヴに行って、何万人をも圧倒するパワーに“音楽ってこんなに力があるんだ!?”と感動して“私も音楽をやりたい!”って思いました。
──楽器は子供の頃からやっていたんですか?
中村:ピアノをやっていたんですけど、発表会とか人前で弾くのが嫌ですぐ辞めちゃったんです。その後、ギターに手を出したんですけど……楽器は苦手でしたね(苦笑)。とにかく歌を歌いたかったんです。それで歌詞を書いてみたり、バンドを組んで曲をメンバーに作ってもらったりしました。でも、進学や就職でメンバーが抜けてしまって、“このまま一生、音楽を続けるにはどうすればいいんだろう”って考えた時に、自分で曲を作ればいいってことに気が付いたんです。
──音楽家・亀田誠治さんの企画『亀田大学』にも参加されていたそうですね。
中村:当時、“あなたの曲を亀田誠治が聴きます”みたいな感じでやっていたんですけど、本当に亀田さんの作品やベースが大好きで。そこで「火傷」という曲を聴いてもらって、評価していただけて嬉しかったです。その後、亀田さんが主催されたライヴイベントにもオファーをいただいて出演しました。野外だったんですけど、ゲリラ豪雨で……。でも、亀田さんが“観てたよ!”って言ってくださって嬉しかったです。鍵盤とかびしょ濡れだったんですけどね(苦笑)。
──それはターニングポイントとして大きそうですね。ピアノさんはこれまで耳にしてきた音楽が幅広そうですよね。軸は90年代J-POPだと思うのですが、すごくリスナー体質なセンスも感じました。
中村:小学生の頃とかはお小遣いが少なくてCDが買えなかったので、毎週CDのレンタル屋さんに通って今週の10位から1位までを全部借りるっていうのをやっていたくらいJ-POPが大好きでした。
──歌のテーマとしては、女子の気持ちを今の時代だからこその赤裸々な歌詞で表現されてますよね。
中村:私、性格がネガティブなんです。常に落ち込んでいるタイプで、世の中と上手く関われない劣等感がすごくて。なので、あまり人に言えないことを曲にして表現しています。“どうせ自分なんか……”とか(苦笑)。
──メンヘラ体質?
中村:そうですね。でも、小学生の頃は正義感いっぱいでした。運動もするし、学級委員をやったりするタイプだったんですけど、中学生の頃に“逃げてもいいんだ”ってことを悟ってしまって、性格が真逆になっちゃったんです(苦笑)。それが未だに治ってないんですよね。それで、音楽もそうですけど、漫画を読んだり、ゲームをしたり、イラストを書いてみたり。
──自ら表現をしたい欲求が強かったんだ?
中村:漫画を書くのも好きでしたからね。表現で吐き出すことがストレス解消になるんですよ。あと、高校生の頃はバンドをやってたんですけど、LUNA SEAとかのコピーをしていました。集まったメンバーがLUNA SEA好きで……私は東京事変のカバーをやりたかったんですけど、採用されず(苦笑)。
──LUNA SEAはヴォーカルが難しそうですよね。演奏力も高いバンドだし。
中村:そうなんですよ。でも、そのおかげでLUNA SEAは好きになりました。良い経験になっていて、悲しみの掘り下げ方など歌詞の世界観作りを学びましたね。
──なるほどね。あと、ピアノさんの曲って曲中の加速度が半端ないんですよ。その辺は、自然とLUNA SEAに影響を受けているかもしれませんね。
中村:あぁ、そうかもしれませんね。
──ピアノさんは自分のメンタルが駄目になっちゃう時はどうするんですか?
中村:そんな時はひたすら悲しい曲を聴きますね。誰かに相談したとしても、その人を不幸せにしちゃったり、落ち込ませたら悪いなって思っちゃうんです。なので、とにかく引きこもって暗~い曲を聴いてます(笑)。で、そんなことをしてると気持ちが紛れてきて、歌詞を書きたくなってきたりするんですよね。
──言葉って悲しみのどん底でも生まれてくるものなんですね。
中村:よっぽど悲しい時は出てこないんですけど、心のどこかで“転んでもタダでは起きないぞ!”みたいな気持ちもあって(苦笑)。“今だから書ける歌詞があるかもしれない”と思ってしまう自分がいるんです。
──気持ちはもっと爆発してそうなのに言葉も歌詞もメロディーも削ぎ落として、研ぎ澄まして、作品化してますよね? だからなのか、例えネガティブなテーマな曲でも嫌な感じとかしないんですよ。
中村:そうですね。完成する前の曲は、歌詞がたくさんあるんですよ。作文ぐらい言いたいことがいっぱいあって。そこから、どうやってメロディーにはめようかって考えて削ぎ落としていますね。
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