【インタビュー】英チャート1位も記録、令和三姉妹が“みんな”と作った「みんなの旅☆みんなの歌」

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▲左から中村ピアノ、美良政次、間々田優

“感情突き刺し系”シンガーソングライターの間々田優。ヴィジュアル系バンドのボーカルと演歌歌手という顔を持つ美良政次。昨年は猫ひろしの公式マラソンソングも手がけた中村ピアノ。それぞれに唯一無二の個性を放つアーティストとして活動中の3人が、令和三姉妹というユニットを結成。2月に「みんなの旅☆みんなの歌」という楽曲をリリースした。3アーティストでの全国ツアーがコロナ禍で中止や延期となる中、希望を託してファンの皆さんと一緒に作り上げた8分にも及ぶ大作だ。音楽家としての真摯な思いと収まりきれない遊び心を躍らせながら、寄せられたたくさんの思いに正面から向き合った本作。“三姉妹”の誕生から楽曲完成までの経緯を聞いた。

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■可能性を秘めている曲

──まず、令和三姉妹とはどういうユニットなのか教えていただけますか?

間々田優:私たちはそれぞれソロのシンガーとして活動しているんですが、去年の2月から一緒にツアーをしていたんですね。全国30ヶ所という大きなツアーだったんですが、始まってすぐに新型コロナウイルスの影響で中止や延期が重なっていったんです。そんな中でお客さんや私たちにとっての希望になるような、何かひとつ作品というか形として残るものが欲しいなと思い、みんなの思いやワードを集めて曲を作ろうということになりました。それが、「みんなの旅☆みんなの歌」。私たち3人とお客さん、みんなで作った曲ですから、それぞれのシンガーとしてではなく、ユニットとして発表し活動していこうということで結成したのが令和三姉妹です。

──お寄せいただいた皆さんの声や言葉を受け取って、率直にどんなことを感じました?

間々田優:3人が思っていた以上にワードが集まって、最初は嬉しいという気持ちでした。会場に来てくれたお客さんや今回は行けないけど応援しているよっていうお客さんだけではなく、まだ私たちに会ったことがない、ライブにも来たことがないっていう方が全国からワードを送ってくれたので。でもその次に感じたのは、驚きでした。言葉のひとつひとつを見ていくと、これからの希望になるようなもの──例えば「明るい」「光」「風」「これからも旅を続けていこう」などポジティブなものもあれば、逆に「戦後最大の」「当たり前が当たり前でなくなってしまった」とかネガティブなものも含まれていたんですね。「光」と「闇」がいろんな角度から含まれていて驚いた、というのが嬉しさの次に思った感想でした。

中村ピアノ:ツアーが始まって、これからみんなで頑張ろうって意気込んでいた時にコロナが流行して、緊急事態宣言が出て外出を控えるなど、これまで経験したことがない状況になりましたよね。私はなるべくネガティブな方に引っ張られないようにしようと心がけていたんですが、SNSのタイムラインを見ると、毎日誰かが怒ったり悲しんだりしていて。これはもう、応援してくださっている方の中のひとりでも、少しでも、楽しい気持ちになってほしいと思って歌詞の募集をしたんです。するといわゆる恋の歌とは違う、「未来に対して希望を持ちたい」とか「現状を変えたい」のように、葛藤している言葉が多いなと思ったんです。あぁ、みんな同じ気持ちなんだって思いました。だからこそ、せめて私たちの音楽を楽しんでくださっている方には、ちょっとでも楽しい気持ちで1日を過ごしてほしい。今みんな頑張ってるんだって、その気持ちがすごく伝わってきましたよね。

──きっといろんな世代の方が声を届けてくださったんでしょうね。美良さんはいかがですか?

美良政次:僕はこの3人の中でもあまり真面目な方ではないというか(笑)、日頃からどちらかというと楽観的なんですね。みなさんの送ってくださる言葉も、「あぁ、いろんな言葉が集まってきているな」って、そういう感じだったんです。例えば何か壁にぶちあたってもそこまで考え込んだりする方ではないので、この状況はこの状況として受け止めるというか。僕らは魅せる立場ですから、例え状況的にそうであっても、自分はなるべく普段と変わらずいようと思っていました。

──必要以上に重く受け止めない、と。

美良政次:はい。それに、いただいた言葉の中にはかなり面白いものもあったんですよ。

中村ピアノ:これは試されてるなって感じのもの(笑)。「あなたたちはどうやってまとめるの!?」って言われているような、大喜利じゃないですけどちょっとワクワクしました(笑)。

間々田優:感情として「明るい」「暗い」だけじゃなくて、例えば「チャンス」とか「ピンチ」、花の名前の「デイジー」、ツアーになぞらえて「ご当地」、「サバ缶」とか(笑)。そういう面白さも曲の中に盛り込めたかなと思いますね。

▲令和三姉妹/「みんなの旅☆みんなの歌」

──では改めて、制作の過程を振り返ってみていかがですか?

中村ピアノ:せっかくソロとしても活動している3人が作るんだから、3人でしか出せないことをやってみたいなと思っていました。今回はラップのパートもあるんですが、ラップはみんな一度もチャレンジしてこなかったジャンルなので、そこはあえて入れてみたいというのはお伝えしました。美良さんは特に普段は演歌を歌われているので、ラップとは真逆の世界観ですよね。ただ希望を与えるとかではなく、ちょっとクスクスっと笑えるユーモアも盛り込めたらいいなと思ったので、そういうところも3人でディスカッションしながら作っていきました。

美良政次:あのラップのパートはすごく難しかったです(笑)。レコーディングも本当に大変でした。

間々田優:3人が、それぞれ挑戦して作り上げたっていうのはすごくありますよね。得るものがとても多かったと思います。

──完成した楽曲について、どんな手応えを感じていますか?

間々田優:1月末にツアーのグランドフィナーレがあって、そこで初めてお披露目をさせていただいたんですね。その後は多くのメディアに出させていただいてMVなども放送されているんですが、とても大きな、まるで映画のような曲ですねっていうようなありがたい感想もいただいています。単純に「すごく長い」なんて感想もありますが(笑)、私たち3人のことを全然知らない人でも、これは感動する曲だと思ったとか、展開があって面白いみたいなコメントもあったりして、令和三姉妹というコミュニティーを超えて広がっていっているんだなというのはすごく感じています。可能性を秘めている曲だと思いました。

──ということは、海外からの反応もありそうですね。

スタッフ:今回カップリングとして収録されている「恋の旅☆恋の歌」は3人それぞれのバージョンがあるんですが、実は今、その美良政次バージョンがイギリスで1位になっています。

間々田・中村:えー!すごーい!

美良政次:(笑)。僕はMoi dix Moisというヴィジュアル系バンドもやっているんですが、このバンドのリーダーがMALICE MIZER(※活動休止中)のリーダーということもあって、海外にもファンが多いんですね。その影響もあると思います。僕も今、初めて聞きました(笑)。

──(笑)。

間々田優:もともと国内とか海外とかの隔たりは考えたことないんですが、例えば中村ピアノさんはキャッチーなメロディーや耳に残るメロディーを作るのが本当に得意で、海外のファンの方も多く、言語を超えて届く曲を作るのがとても上手なんです。美良政次さんは今言われたように海外でも認められているバンドをやられているので、自分たちが今見える範囲を超えた広がりやきっかけというのは、充分にあるユニットだと思うんです。自画自賛で申し訳ないんですけど。だからそこは限りなく、今後も考えていきたいなと思っているんですよね。

──もちろん音楽の力ありきだとは思いますが、SNSでの発信や広がり、繋がりなども、音楽家の皆さんにとってよりプラスに働いているのではないかなと思います。

中村ピアノ:そうですね。昔だったらファンレターを送らないと届かないとか、お客さん側の気持ちって意外とわかっているようでわからなかったのかなと思うんですね。でも今はエゴサーチをすると、自分のことを呟いてくれている人が世界中にいることが見てわかる。こんなところにまで届いてるんだなって、そういうことがダイレクトに伝わるから私はすごくいい時代に音楽がやれているなって感じています。そういうお客さんの声は、ちゃんと見ていたいなと思っているので。

──SNSの良さも、これまでのようなダイレクトなコミュニケーションの良さも、今後はきっとみんなが上手く取り入れながらの活動になっていくんでしょうね。

間々田優:私はアーティスト活動を始めて15年以上経つんですが、その中で主となるSNSが変わったり、コミュニティーが変わったり、時世が変わったりもしてきました。でもやっぱり、生で実際に会うとか触れるとか言葉を交わす、それに勝るものはないよなって改めて感じているんですよね。今でこそ有観客でライブが少しずつできるようになってきましたけど、ガイドラインで規制がかかっていたとしても、そこだけは本当に変わらない大切なものだなっていうのはこれからも強く認識してやっていきたいなと思っています。

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