【インタビュー】KØU、「自分が生きた証を世界に刻んでおきたい」
8月5日に渋谷REXで開催されるBARKS主催イベント<千歌繚乱 vol.21>に出演するKØU。彼は2018年に解散したヴィジュアル系バンド、CLØWDのボーカルで、2019年2月よりソロアーティストとしての活動を始めた。
◆ミュージックビデオ ほか
なぜ彼はソロという道を選んだのか。ソロ活動を通してどのような未来を描いているのか。<千歌繚乱 vol.21>でステージを見る前に彼の考えに触れてみて欲しいという思いから、今回BARKSではインタビューを行った。ソロとしては初のインタビューである。
◆ ◆ ◆
──CLØWD解散後、どうしてソロという形で音楽を続けることにしたのでしょうか?
KØU:実はCLØWDを結成して1年くらい経った頃から、ソロをやってみたいという気持ちがあったんです。これはメンバーにも話していたことなんですが。
──え、そうだったんですか。
KØU:ボーカルが前面に出るスタイルのバンドもありますが、CLØWDはちゃんと個々が引き立つバンドを目指していたので、僕はメンバー全員が考えるものを代弁して歌っていたんですよね。それはそれで楽しかったし、嫌な思いとかは一切なかったんですけど、“KØUとはどういう人間なのか”ということを考え始めて。せっかく音楽をやっていてそれを世に出せるツールがたくさんある時代で、自分が生きた証を世界に刻んでおきたいと思ったんです。ただただ生きて、ただただ何もなく終わってしまうのは生きる意味があんまないのかなって。死ぬ前に“ちゃんと自分は生きてましたよ、こういう人生歩んできましたよ”っていうものを残したかった。
──当時20代前半だったと思いますが、ある種、悟っていたんですね。
KØU:生い立ちも関係していると思います。僕はフィリピンとのハーフで。フィリピンでで幼少期の頃は貧富共に経験しまして、ある時急に家族ぐるみでホームレスになったりとか……。僕はこれが普通の人生だと思っていたけど、周りからすると結構壮絶みたいですね(笑)。そのことで「KØUという人間を知りたい」と思ってくれている方がいると知って嬉しかった。だからCLØWDの後半くらいからは生い立ちについてもちょっとずつ公開していたんですけど、CLØWDには壮絶な過去とかは似合わなくて。当時はCLØWDとして成功することを一番に考えていたから、自分を出すのはいつかソロでやろうと思っていました。ただCLØWDも急な解散だったので準備が足りず、割と見切り発車な部分がありましたが。始動ライブの時と今では全くスタンスが違いますし。
──KØUさんの、音楽に対するスタンスとは?
KØU:“いくつになっても歌える歌”を歌っていきたいと思っています。自分が生み出した曲が年齢の問題でやれなくなっちゃったら嫌ですし、生み出した意味がないと思っちゃうので。先のことも見据えた音楽を作っていきたいというのは大前提です。やっぱり音楽は続けたいですからね。
──ちなみに、ソロではなく自分が前面に立ったバンド、というのは考えませんでした?
KØU: バンドってなってしまうと、各メンバーの思いがふとした時に爆発しちゃうってのをこれまで色々経験してきて分かっているので。あくまで自分の考えですが自分ひとりで舵取りして、責任持ってやりたいなと。それとメンバーとなると、自分も人に甘い部分があるので「まぁいいんじゃない?」って妥協しちゃう部分があるんですよね。今はサポートメンバーを入れて活動しているんですが、そこにはいい意味での距離感があるので、いい関係性でいられる。ただ仲が良いだけで一緒に音楽するのは、今はもう無理だなとも思います。
──昨今の若手ヴィジュアル系シーンでは始動して1年立たないうちに解散、という流れが多いじゃないですか。そんな中でKØUさんのような活動スタイルって、ある意味安心感があるのかも。
KØU:すぐに解散するバンド、多いですよね。実際、お客さんが「解散されると辛くなるからバンドを応援するのを辞める」といったこともあるんですよね。それがバンドの衰退にもつながっているんじゃないかな。バンドの都合でお客さんを振り回してはいけないですよね。だから僕は自分が守りたい場所は、自分が守ろうと思っています。
──責任感が強いんですね。
KØU:昔はなかったんですけどね(笑)。CLØWDの頃は事務所に入ってましたし、メンバーもみんな有能だったので、周りに任せっぱなしでした。でも責任を持てないというのは、人としてよくないなと。ソロでは人としても成長していきたいですね。音楽って人間性だと思うんで。それがステージにも出ますし。バンドマンだからって色々許されるご時世でもないですしね。
──実際にソロを始めてみて、感じたことは?
KØU: “ヴィジュアル系だから”って音楽聞いてくれない人が多いんだなと。悔しいですね。化粧しているかどうかなんて関係ないはずなのに。せっかく音楽やるんだったら、いろんな人に聴いてもらいたいから、僕はいろんなことに足を突っ込んでいくつもりです。例えばこの間、メンズアイドルの方達と対バンしたんですよ。俳優やってみないか、と言われることもあるし。結果バンドに繋がるならそういう挑戦もありだなって思っています。
──KØUさんはどんな思いを込めて楽曲を制作していますか?
KØU:コンセプトはなくて、そのとき感じていることを曲にしています。例えばソロ始動のときにリリースした「DAYLIGHT」は、「僕はまだ死なないよ」という意思表示の曲。始動して一曲目がバラードって周りに「大丈夫なの!?」って驚かれたんですが、僕はもう頑なにこれでいく、と。ソロを始めると思ったときから、この曲をひたすらブラッシュアップしていました。
──確かに普通は「これから新たなスタートだ!」というような曲をもって始動するイメージです。
KØU: CLØWDすごく好きでしたし無くしたくなかった。そういう気持ちを隠して「ソロ始めました!いくぜ!」っていう気分にはなれなかった。それだったら思いを引きずってでも、俺はまだ音楽をやる、という意思表示がしたくて。「DAYLIGHT」というタイトルは “ずっと引きこもっているわけにはいかないから外に出よう”という意味合いで、この曲を作りました。ほぼ英詞にしたのは、世界に通用するアーティストになりたいという気持ちがあったので。
──楽曲制作はどのように?
KØU:自分が作って、CLØWDの冬真に編集してもらっているんですが、シンプルであることにこだわっています。音を重ねるとかっこよくていい曲にはなるんですけど、根本的に何を伝えたいのかがわかりづらくなってしまう。僕の場合はソロですし、あくまで僕の歌詞と声がメイン。
──KØUさんの曲は、ビジュアル系ファン以外でも聴きやすいと思います。こういった楽曲だと、CLØWDのときとはライブの雰囲気もだいぶ変わったのでは?
KØU:コーラスが多いので、ヘドバンじゃなくて、できればみんなで歌って欲しいですね。ライブはみんなで作り上げる空間だ、ということを考えたら、振り付けではなくて声を出すことが一番お互いの想いが伝わりやすいなのかなって。みんなで気持ちよく歌って、“今日のライブ楽しかったね”で終わらせたいです。
──今後はどんな曲を作っていきたいですか?
KØU:今は落ち込んでるんで、ちょっと暗い曲というか、何くそ、みたいな曲になるかも(笑)。“ライブでこういう曲が欲しいから作ろう”とかじゃなくて、そのときの気分なんですよね。
──じゃ、曲を聴けばKØUさんの気持ちをダイレクトに感じられるんですね。
KØU:それが大事なのかなって思います。曲は感情のままに作ったほうがいいかなと。じゃないと、自分が生きている意味がない。
──生きている意味、か。
KØU:自分が音楽をやることで、生きている意味を見失っている方が「生きるってこういうことだよな」って感じ取ってくれたらいいなと思います。僕も一人の人間なんで、いろんな感情があるし、それを隠さず出して、みんなが共感してくれたらいいなと。共感を狙う訳ではなくて、嘘偽りのない音楽活動がしたいです。
──ミニアルバムも制作されているんですよね。
KØU:はい。ライブでしかやっていない曲が収録されるのと、「DAYLIGT」を打ち込みではなくバンドサウンドで再録しました。7月の後半か、8月頭には全てできるかな。今はソロですし事務所にも入っていないので、「絶対この日に出す」というのはなくて。「できたら出す」という(笑)。
──でもそれが一番、アーティストとしては最高のものが送り出せるということでもありますよね。
KØU:今後も何かに合わせて曲を作ることはないですね。期日って、大っ嫌いな言葉なんで(笑)。自分のペースで最高のものを出していきたい。周りもそれについてきてくれるのでありがたいですね。
──ワンマンライブの予定は?
KØU:ワンマンやることが今年の目標だったので、やるとは思いますがいつになるかはわかりません(笑)。12月あたりにやりたいけど、曲もめっちゃ増やさなきゃだ。
──<千歌繚乱 vol.21>でのステージも楽しみにしていますね。
KØU:僕も初めて対バンする方がいるので、楽しみです。来てくれる皆さんが“本当に楽しい一日だったな”って思える日にしたいな。でも、気分次第なんで、当日どういう感じなるかはわかりません(笑)。ぜひ会場に来て、確かめてください。
取材・文◎服部容子(BARKS)
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KØUが出演する<千歌繚乱vol.21>は、8月5日(月)渋谷REXにて開催。チケットの購入はコチラから。
<千歌繚乱 vol.21>
会場:渋谷REX
出演:新井崇之(LIPHLICH)/ WING WORKS / 怪人二十面奏 / KØU / LAPLUS
チケット:一般チケット 3,800円/当日券 4,000円
【一般先着受付】
7月19日(金)12:00~8月4日(日)
チケット購入ページURL:[イープラス] https://eplus.jp/sf/detail/2950490001-P0030001
主催・制作:BARKS(ジャパンミュージックネットワーク株式会社)
<千歌繚乱 1st LIVE TOUR 〜錦秋の候〜>
日時:2019年10月10日(木)開場 16:30 開演 17:00
出演:AXESSORY / 極東ロマンス / K / JILUKA / Develop One's Faculties / breakin’ holiday
会場:名古屋ell.FITS ALL
料金:【先行チケット】4,000円(整理番号A)【一般チケット】4,200円(整理番号B)【当日券】4,500円※ドリンク代別途
■大阪公演
日時:2019年10月11日(金)開場 16:30 開演 17:00
出演:AXESSORY / 極東ロマンス / K / JILUKA / Develop One's Faculties / breakin’ holiday
会場:大阪RUIDO
料金:【先行チケット】4,000円(整理番号A)【一般チケット】4,200円(整理番号B)【当日券】4,500円※ドリンク代別途
■東京公演
日時:2019年10月22日(火・祝)開場 15:30 開演 16:00
出演:AXESSORY / K / JILUKA / Develop One's Faculties/ defspiral / breakin’ holiday / THE MICRO HEAD 4N'S
会場:高田馬場AREA
料金:【先行チケット】4,200円(整理番号A) 【一般チケット】4,500円(整理番号B)【当日券】4,800円※ドリンク代別途
【チケット先行抽選受付】
7月8日(月)12:00~8月9日(金)16:00
チケット購入ページURL:[チケットデリ] http://ticket.deli-a.jp/
※東名阪3公演分の先行チケットをご購入の方に特典あり(特典内容後日発表)
チケット一般発売
8月10日(土)12:00〜各公演前日まで
名古屋公演:https://eplus.jp/sf/detail/3015650001-P0030001
大阪公演:https://eplus.jp/sf/detail/3011420001-P0030001
東京公演:https://eplus.jp/sf/detail/3011430001-P0030001
主催:BARKS(ジャパンミュージックネットワーク株式会社)
制作:rivabook
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