【ライブレポート】OAU、シングルリリースパーティーで名演「15年かけてバンドになった」

OAU、4枚目となるアルバム『OAU』のリリースが発表されたのは、赤坂Billboard Live TOKYOで行われたシングル「帰り道 / Where have you gone」のリリースパーティー＜OAU 〜The premium release party〜＞でのことだった。

◆OAU 画像

開場と同時に発表されたうれしいニュースに、客席は早くもポジティヴな雰囲気に包まれた。1st STAGEでは、OAUにとって最早ホームとも言えるこの会場でアンコール含めた全11曲を披露。アイリッシュなテイストが漂うアコースティックサウンドで、満員の会場を大いに盛り上げた。「Where have you gone」では細美武士 (the HIATUS / MONOEYES / ELLEGARDEN)がゲストボーカルとしてステージに現れ、MARTIN (VOCAL, VIOLIN, ACOUSTIC GUITAR)とともに素晴らしい歌声を聞かせた。本編最後の「帰り道」では、感極まって涙を拭う女性客の姿も見られるなど、終始穏やかなムードの中、終演を迎えた。



1stに続いて、2nd STAGEでもメンバーはお酒を片手にリラックスムード。ギターの繊細なアルペジオに導かれて始まる「夢の跡」では、TOSHI-LOW (VOCAL, ACOUSTIC GUITAR)を中心とした美しいハーモニーが響きわたり、シームレスに溶け込んだ「Follow The Dream」では一転、軽やかなリズムに合わせて観客が心地良さそうに体を揺らす。

前回、同会場でのライブを病欠してしまったKOHKI (ACOUSTIC GUITAR)による乾杯の挨拶のあとは、新作にも収録される「Midnight Sun」や「Thank You」を披露。祝祭感溢れる演奏に会場のあちこちから歓声が上がり、手拍子が鳴り響く。



MCでは、観客から差し入れられたワインを美味しそうにメンバーはうれしそうに飲み干したり、なんとも自由だ。この空気はOAUならでは。MARTINの「これは朝までできる」という言葉から、これがどんなライブだったのか想像を巡らせてほしい。

こんなハッピーなムードが演奏にいい影響を与えないわけがない。「Making Time」や「Again」におけるテンションの高いパフォーマンスは、OAUのベストモーメントに数えられるほど素晴らしいものとなった。



1st STAGE同様、ゲストボーカルとして登場した細美は、本日誕生日を迎えるRONZIのためにバースデイケーキを持ってステージに。そして、観客とともに「Happy Birthday to You」の大合唱。いやあ、本当にいいライブだ。

現在、スマッシュヒット中のシングル「帰り道」で本編を終えたあとは、「Dissonant Melody」と「otherwhere」を披露してステージを降りた。バンドとしての成熟度の高まりを肌で感じることができる名演となった。


これまでOAUは、“BRAHMANのメンバーによる別バンド”という認識を持たれることが多かった。しかし、最早それは改めないといけない。彼らは今、日本を代表するアコースティックバンドへの階段を着実に、軽やかにのぼり始めている。細美が彼らを「世界に誇るべきバンド」と評したのは決して言い過ぎではない。テレビドラマや映画のタイアップをきっかけに、これまで縁がなかった層にも彼らの音が届きだしている。OAUの今後が本当に楽しみだ。

アルバム『OAU』は、「こういうことがやりたかった」というものを形にできたとメンバーが話しているように、OAUとして音楽の形が確立された記念すべき作品になっている。音楽を愛する多くの人の耳に届いてほしい傑作だ。ライブ中、TOSHI-LOWが話していた「15年かけてバンドになった」という言葉が、OAUの現在を見事に言い表していた。

取材・文◎阿刀“DA”大志
撮影◎KAZUYAKOSAKA